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第一村人

お日さまが頭の上にきた頃、大きな犬が近付いてきた。

あまり動物とふれあった事がなかったので、凄く怖かった。

だって、牙がにょきんと生えていて、擦るだけで血とか出そうなんだもん。


ところがこの犬、目の前に来るとコロンとひっくり返り、お腹を出して撫でろって催促してくるの。

これって服従だよね。

怖くてビックリだけど嬉しい!


撫でようと手を出すと、ムクッと起き上がり『うーっ』と威嚇しだした。


「えっ、ワンちゃん騙し討ち?」

仲良くなれると思ったのに、残念…。


「お嬢ちゃん、ゆっくりとこっちに来るんだ。」

背後から優しい声で誰かが話しかけてきます。

ゆっくり後ろを振り向くと、弓矢を構えたおじさんがいました。

矢は私の後ろにいるワンちゃんを狙っていたのですが、矢の先が私の方を向いているのを見て、足がすくんで動けなくなってしまいました。


おじさんは「大丈夫だよ。助けてあげるからね。」ともう一度声を掛けてくれたので、やっと私がワンちゃんから救出されていることに気付きました。

うーん、私のにぶちん…。


私がオロオロしているうちに、ワンちゃんは無事(?)逃げて行きました。


ワンちゃんが居なくなるとおじさんは弓を降ろし、私に「お嬢ちゃん、お父さんとお母さんはどこにいるんだい?」と優しく話しかけてきました。


このおじさんは背が大きくて、顔には髭がモジャモジャ、腕は太くて力がありそうだけど、話し方は優しくて、まるで森の熊さん。


ほら歌にあるじゃない?森の中でイヤリングを落とした女の子に怖がられ、逃げられても諦めず、追いかけて落とし物を返すって歌が。


私の中での森の熊さんのイメージそのまんま。


「…お、お父さんもお母さんもいません。」

うん、嘘じゃないよ。

うちは母子家庭で、その母も先日他界したし…。


あっ、まずい。目の前が霞んで見える…。

「ママ、ママ。」

フレアとユピィが心配そうに私を見ている。

熊さんもオロオロしている。

「大丈夫です。」フレアとユピィを心配させまいと笑顔で答えた。


熊さんは、ワンちゃんに襲われて生還を果たした私がほっとして流した涙だと思ったみたい。

おじさんはちょっと挙動不審だけど、「そうか、そうか。」と頷いていた。

「ところでお嬢ちゃん、何処に行くんだい?」


うーん、難しい質問ですね。精霊の事は知られないようにしなきゃ行けないし…。

『ぐぅーーーーーーっ』キャー、お腹がなった!


「わっはっはっ。もう少し歩けば村に着くから、なんか食わしてやるよ。それまで我慢出来るか?」

村? 村があるんだぁ!

「あっ、でも私、お金がないです。」

「ここで会ったのも何かの縁だ。俺が食わしてやるよ。」


取り敢えず、村まで行って何を食べさせてもらえるようです。



熊さんは良い人みたいです。

まさか悪い人じゃないよね?




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