説明のお時間です
「オーケィ、認めよう。俺は中ニ病だ。そしてこいつは幻覚だ。」
「幻覚じゃないですよー」
俺の独り言に、同年代位の少女が答える。
「あーあー、聞こえない。」
れは耳をふさいで声を遮ると、自室から出て階段を下りる。今日は土曜日なので本当は昼間で寝てる予定だったが、目が覚めてしまったのでは仕方ない。
「待ってくださいよー。って、誰もいないですねー」
幻覚少女は宙に浮きながら俺の後をつけてくる。うん、幻覚である何よりの証拠だ。
「高校時代の恩師が亡くなったんだとさ」
八ッとして口を押える。しまった、幻覚と話してしまった。いや、幻覚を消すためにもここは無視はできないか。
「なぁ、おい。ちょっと、話がある。……えぇっと、その、座れ。」
椅子に座りながら、幻覚少女に声をかける。俺が生み出した幻覚ならば、俺の意思で消せるはずだ。手短に終わらせないと、恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
「はいはい、なんでしょう?」
幻覚少女は、空中に正座をする。
「すでに突っ込みたいことがいくつかあるが、それは置いておこう」
「ご用件は何でしょう?」
無垢の天使……とでも言うべきか、笑った顔は可愛い。
「我ながら、飽きれる妄想力だ。」
ついつい呟いてしまう。そんな俺の呟きに、幻覚少女はほほを膨らまして反論した。
「実体はちゃんとありますよー! 嘘だと思うなら、触ってみてください」
幻覚少女は俺に近づいて、右のほほを突き出す。たとえ幻覚であろうと、美少女にそんなセリフを言われれば、是非とも触りたいのはほほではない。
「せいっ」
胸だ。その大きな胸は、俺の指先に当たることなくすり抜け……
『むにゅ』
……やわらかい。
「キャッアアアアアアッ!!!」
「うおおおおおっ!? マジで触れた!」
「どこ沢てるんですか! エッチ!!」
「どぅえ!? あ、その……すまん」
お互いパニックになりながらも、その後の検証で、幻覚少女……いや、実体少女が幻覚でないことを理解した。もちろん、「触れれた」なんてのは理由にはならない。物を持ち上げてもらったり、何かを食べてもらったりといった検証を重ねた。
「……ふぅ。じゃあ、本題入りますね」
唐突に、本当に唐突に、少女はそういった。
ちなみにだが、相変わらず宙に浮いていた。
「どうです? わかりましたか」
「ん~、まぁ……うん。」
生返事で、そう答える。
「ええ、ええ、やっと理解してくれたようですね♪」
「ああ、お前が幻覚少女ではなく、電波少女であることをな」
「でっ。全然理解してないじゃないですか! 説明聞いてたんですか!?」
そんなことを言われても、「貴方は正義のヒロインに選ばれた」なんてセリフを信じる高校生はいないだろう。
「証拠がないとなぁ」
何気なく、つぶやく。
「なんだ、証拠があれば信用してくれたんですか? そうならそうと初めから行ってくださいよぉー」
「ゔー」っと、不満そうな声を上げて電波少女は右手の人紗守備を、俺の額に当てる。
「『お試し変身』ですから、変身時間は1時間位でいいですかね」
「ハァ……、へいへい」
正直に言えば、あきれている。あほの子か、この子は。うつむき、目をつむる。そして、ため息をはくと同時に、額に手を当てた。
「これ終わったら帰れよ」
俺はそんなことをつぶやく、しかし、ここで違和感が発生した。
「はい、ばっちり変身完了! 説明のお時間→変身のお時間ですよ❤」
始めの小説ですから、グダったものにはしたくないので
読み切り漫画っぽく終わらせる予定です。