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第四章

「着きましたよ」

 目の前にそびえ立つ居城を前に、ミミルは胸をなで下ろした。

 彼女はどうやら、ヘルギが相当お気に召さなかったらしい(笑。

「ここが王都バルムンクのお城です。女王のエリーネ様は今頃、謁見の間にいるはずです」

「あっそ。じゃ、いくとするかね」

 ヘルギがグングニルの槍を肩でたたきながら門番の前に立ちはだかった。

「女王様はお召し替えの最中です、もう少しお待ちを」

 ヘルギはあまりに友好的な兵士だったので、面食らって顔をしかめた。

「くぉら、ひとことくらい、『立入禁止だ、入りたければ強行突破してみやがれ!』くらい言って見ろ! それともここの衛兵どもはふぬけ揃いか!?」

「ふぬけとは、聞き捨てならぬ」

 甲高いがりりしい声が城門の向こうで響いてきた。

 兵士たちはあわてて敬礼する。

「エリーネ様!」

 高飛車そうな表情、絹の服を着た年増の女――エリーネ=フォン=ヴェルゲルミルはヘルギたちを見下すように髪の毛をかきあげた。

「女王さまぁ〜」

 ジュリアーノのえげつない顔をひっぱたき、ヘルギがグングニルで彼女を挑発する。

「貴様が女王か」

「だったらなんだい、小僧」

 ヘルギは顔を真っ赤にして、歯ぎしりすると、

「失敬な! 俺は小僧ではぬぁい! 錬金術師だっ」

「ほ。ふぬけた錬金術師が、こんな大国に何しにきた。まさか雇えとか言わないよな?」

 ヘルギはそれをきいてようやく冷静になり、服の乱れを直した。

「い、いかにも。俺と契約してくれ」

 エリーネは下品な高笑いをはじめ、ヘルギに冷たい視線を向けた。

「おっほほほほ。錬金術師風情が何を申す。どうせ賢者の石すらも創れまい」

 ヘルギとジュリアーノは、不敵に笑む。その様子を怪しがる女王。

「な・・・・・・」

「女王。俺は天下の副将軍・・・・・・じゃなかった。天下の皇帝に匹敵する魔術師だ。おまえさん、そんなことも知らずに俺をあざ笑ったりしたのか」

 女王は唇を強く噛みしめ、くやしそうにうなった。

「け、賢者の石は尊い石ときく・・・・・・」

「いんや」

 ヘルギは意外なことをつぶやく。

「賢者の石もエリキサ、と呼ばれる不老不死の液体も、実は意味がない。砒素や水銀を飲んで自殺行為とは、バカのするこった」

「で、ではどうすれば永遠が手に入るんだ」

「永遠か。ほう。やはり貴族というのは、コイツをのぞき、そうとうお間抜けが多いと見えるな」

 ヘルギがジュリアーノを顎でしゃくってから、そういうと、エリーネは、

「なんじゃと! きさま、わらわを愚弄するのか」

 と怒り爆発のご様子。

「ジュリアーノは永遠を・・・・・・」

「のぞまない」

 ヘルギは即答するジュリアーノにうなずく。

「そうだ。コイツはけっして永遠を望まない男だ。俺が証明になる」

「ばかな。なぜなのだ。永遠を望めば先の未来を見られるぞ。永遠にわらわは、王でいられる」

「どうかな・・・・・・」

 ジュリアーノが低い声でうなった。

「ちっ。きさま、何を言いたい!」

「いや、言いたいことはそれほどないんだけどさ。俺のオヤジも永遠を欲しがったから死んでしまった、と言うべきなのか・・・・・・」

「何・・・・・・」

 エリーネは青ざめる。

「ええい、でたらめをもうすな! 永遠は神になれる第一歩ではないか! それをきさまは、あえて捨て去るというか」

「あはは、まいったねえ。先生、どうしますぅ?」

 ジュリアーノは自慢の赤毛を揺らして、快活に笑う。

 ヘルギはヘルギで、いつものごとく邪悪そうに微笑んでいた。

「そうだな。わからずやには、おしおきがいるべ?」

 ヘルギがジュリアーノを促した。

「見せてやれ。おまえ自慢のナベリウスを」

「あいよ」

 ジュリアーノはヘルギからグングニルを借りると、天空にかざし、呪文を唱えだした。

『わが神、テトラグラマトン。われは汝のしもべ、ジュール=ホリス。ねがわくは太古の公爵、ナベリウスを召喚す。――いでよ、ナベリウス!』

(なぜジュリアーノがジュール=ホリスという、違う名前かというと、これはペンネームみたいなモノで、魔術師は悪魔や天使と契約する際、嘘(魔法名という)の名前を言わなくては呪われる、といった概念が中世ではあったようです。北欧神話上でもそれについて警告しているので、おそらく同じ意味からでしょう。アレスター=クロウリもたしか魔法名でした)

 呼ばれて飛び出て・・・・・・ナベリウス登場、しかし・・・・・・。

「おいっ; ナベリウス、その格好はなんだ!」

 ヘルギのツッコミがきた〜。

 というのもナベリウスはなぜか七変化が得意で、奥様にこき使われ・・・・・・パシリにされていたのであった。

「今日は子供の演劇会で『ジェイソン』とかいうのをやらされてるんだって;」

 チェンソーを振り回すナベリウス。

 この時代にそんなもんはない^^;

「いいのかよ、時代背景まるで無視じゃねーか!」

「いいんじゃないのぉ。小説なんだしぃ、なんでもありで」

 ジュリアーノのフォローに感謝。

 いや、いけないことはよくわかってますが(笑。

「俺はまあ、いい女捕まえてあんなことやそんなことできたら、ええなぁ、なんてな、たまらん」

 おめーはそっちが目的か。

 感謝して損した;

「というか話の腰を折るな!」

 エリーネ女王の一喝が飛んだ。

「おっとそうだったな。悪かったねぇ」

 ヘルギはジュリアーノにナベリウスを戻すように命じた。

「ほら、早くしまえよ」

「そんなこといったってなぁ、荷物をカバンに押し込むのとは、わけがちがわぁ」

 ナベリウスは青白い顔をして自分の世界に戻っていく。

「あれが悪魔というか、あれが;」

 エリーネが引きつった笑みを浮かべながら言った。

「まあ、誰にでも手違いはある」

 ジュリアーノはうるせぇよ、とぼやいた。

「そ、それで本題の永遠についてだが」

 ジュリアーノが仕方なさそうに語り出す。

「俺のオヤジはスフォルツア公。イタリアはミラノを取り仕切る貴族さ。オヤジが雇ったヘルギ先生は、スフォルツァに錬金術を教えて欲しいとごねられて、つっぱねたんだそうだ」

「なぜに」

 エリーネがヘルギに視線を向け尋ねる。

「なぜ? 決まっている。俺の見抜いたものは、スフォルツアの破滅だったからだ。先ほども言ったが、アリストテレスの論じたエレメントなど、あんなのはデタラメもいいところだ。いわゆるヘルメス学も俺にいわせりゃ、どうかと思うね。そんな古くさい理論をかじっているスフォルツァなんぞ、弟子にできようか」

 なあ、と言う顔をしてヘルギはジュリアーノを見た。

「しかし・・・・・・わらわは永遠が欲しいのだ。永遠に美しいままで」

「はあ、おまえねえ」

 ヘルギはすっかりあきれ、ジュリアーノと顔を見合わせた・・・・・・。

登録の仕方忘れてしまったので、ここに出しておきます^^;

過去作品はヤフーのジオでイラストもつけて公開してました。

いや・・あんまり・・見てもどうかとは想うんだけど;

http://happytown.orahoo.com/hergi/

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― 新着の感想 ―
日本語があまり得意ではないので、理解できないのは自分のせいかもしれません。ご迷惑をおかけしてすみません。
第4章まで全部読みましたが、何を表現したいのかまだわかりません。
[良い点] じょうおう あたり てす。 ちなみに ふくいんしょ か きゅうやくせいしょ て いざべら とかいう じょうおう か ころされる ばめん か あった き か します。しかし かのじょ が こ…
2019/11/25 13:49 退会済み
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