第三章
「なっ、まじかよ。不老不死だなんて、そんな」
ヘルギは邪悪そうにくぐもった声で笑い、なおかつ不気味な表情をヨクルに向けた。
「残念だが、まじなんだよ。ていうか、俺がうそつきに見えるか!」
「見える」
ジュリアーノとヨクルとミミルの声が重なった。
「あぁ? 俺は耳が悪くなったかなぁ? 空耳が聞こえたんだが」
「何も言ってないよぉ」
ジュリアーノは口笛を吹いてごまかす。
「コイツの名称は、『ソロモンの指環』だ。ソロモン王はダヴィデの子。つまり、神の啓示を受けた英雄王、となっている。コイツは実は・・・・・・」
ヘルギは咳払いをして一同より先に立って歩き出した。
「・・・・・・じつはとんでもねぇ潔癖性でな。自分が気に入らないモノはすべて、悪魔と罵った。世の中で英雄と呼ばれているのは、大したことがない、器が小さいってコトだな」
「先生、自分が唯一の天才でありたいだけなんじゃねーの」
とこっそり言ったジュリアーノの一言すら、地獄耳のヘルギは聞き逃すはずもなく(汗。
「おまえの大嫌いなトール神を呼ぼうか」
「やめて! 俺、雷、大嫌いだから;」
ジュリアーノはあわてて両耳を塞いだ。
「お願いだから、ねっねっ、先生〜」
「気持ち悪いなぁ、俺にひっつくなって;」
ヘルギのすねにしがみつき、頭をすり寄せる。
たしかにあまり美しくない光景かなぁ(汗。
ていうか、ジュリアーノ、やっぱり章増すごとにアホになってる;
「それはまあ・・・・・・だから俺は、コイツを弟子だとみとめたくねーんだよっ」
「ひでぇな、先生」
ヨクルとミミルは、ウチらは無視かいと言った顔。
「おお、すまんすまん。まあ、そんなわけでだ。コイツはヨクル、おまえにやれないんだ、わかった?」
「でも・・・・・・」
さっきまでにこにこ顔のヘルギ先生、いきなり形相を仁王以上に恐ろしいモノに変え、
「やい、てめぇ。この俺が下手に出ていることがわからんのか!? オレ様の錬金術で蛙にしちまうど! カバチたれとんなや!」
「や、先生、それ何語ですよ;」
ヨクルに本気で魔法を使おうとするヘルギを、ジュリアーノが再び押さえつける。
「待ってよ先生。落ち着こう、ほら、ひっひっふ〜とね」
「さむ; それ、妊婦に使うヤツジャン」
ミミルのつっこみに、ジュリアーノはぐさっときた。
「うるせ〜。ラマーズ法も先生にはきくんだよ;」
「あほか! 俺は妊娠などしねーぞ!」
「お、落ち着いて・・・・・・」
今度はヨクルがなだめ役。
いや、コイツらホント、だいじょうぶですか?(汗。
ジュリアーノ=ヴィスコンティは一作目では目立たないキャラだったんですが、書いていくウチ、三作目で暴走を始めてしまったキャラです^^;
ここまで本能丸出しだと、ただのヴァカ・・・・・・。
いや、これはこれでかわいいかなと 笑