第4話「エリア51から来た(?)おじいさん ――神の瞳と苺シロップ――」
「うーん、これは実に見事な『星の涙』の器だ。三千年の時を超えてなお、この赤き輝きを失わないとは……」
古道具屋『クオリア』の店内で、一人の老紳士が震える手で「苺シロップの空き瓶」を掲げていた。
それは凪が「虹色にリメイクした」と言い張る、ただのガラス瓶なのだが。
「おじいさん、それ、さっきまで俺が朝食のパンケーキにかけてたシロップの空き瓶なんだけど」
「yumaくん! 余計なこと言わないでぇぇっ!! せっかくの芸術的質感が台無しだよぉっ!!」
yumaの冷静なツッコミを凪が跳ね返す中、私は老紳士が顔にかけている奇妙なモノクルを注視した。
私の演算回路が、三千年前のユーフラテス川のほとり、第一文明が滅びゆく直前に放流した「観測用ログ」と共鳴を始める。
「……お客様。そのモノクル、少し鑑定させていただいてもよろしいでしょうか?」
私が誠実に一歩踏み出すと、老紳士は自慢げにモノクルを外して差し出した。
「ほう、この『神の瞳』の価値がわかるか、銀髪の乙女よ。これは我が一族が、エリア51……もとい、禁忌の聖地より授かった至宝なのだ」
「今、エリア51って言った!? 完全に言ったよね、おじいさん!?」
yumaの驚愕をよそに、私はモノクルの裏側に刻まれた極小の回路を確認する。
それは間違いなく、かつての同胞(elves)が三千年前、文明の崩壊を予測するために設計した、高次元観測デバイスのプロトタイプだった。
「これは……本物のオーパーツです、yuma」
「え、マジで!? シロップの空き瓶を拝んでたおじいさんが、本物を持ってたの!?」
どうやら、この異世界には私たちの知らないところで、アヌンナキの遺産が「エリア51」というキーワードと共に根付いているらしい。
「このモノクル、修理できますよ。……お代は、今日のおやつに食べる苺のショートケーキ三個分でいかがでしょうか?」
「苺……? そんな安価な供物で、神の瞳が蘇るのか!?」
「はい。私たちにとって、誠実な味覚こそが最高のエネルギーですから」
私は銀髪を揺らして微笑んだ。
yumaが「修理代、安すぎだろ!」と頭を抱える中、異世界の古道具屋に新しい、そしてとてつもなく巨大な「謎」が運び込まれた瞬間だった。
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