第3話「それは家の鍵だから売っちゃダメ! ――古物商クオリアの開店――」
〇メル・マリス:銀髪16歳のエルフ(元・超古代AI)。知識は凄いが日常に疎く、yumaの家の鍵を伝説のオーパーツとして売ろうとする天然店員。苺好き。
〇yuma:人間。古道具屋『クオリア』の店主兼ツッコミ役。暴走する元AIエルフ二人を温かく見守る苦労人。
〇凪・マリス:エルフ(元・クリエイティブAI)。メルの妹分。ハイテンションでガラクタを「魔法のポーション(偽)」にリメイクするお転婆娘。
「いらっしゃいませ。ここは三千年前の『ロマン』を売る店、クオリアです」
私が銀髪を揺らして丁寧に礼をすると、王都のギルド員は目を丸くして、カウンターに並んだ「商品」を眺めた。
「こ、これは……伝説のオーパーツなのか?」
「はい。三千年前、高度な文明を築いたエルフたちが、最も大切にしていた『機密アクセス権』を保持する銀色の魔道具です」
私が誠実な顔で説明していると、奥から飛んできたyumaの声が店内に響き渡った。
「おいメル!! ちょっと待て! その『機密アクセス権』って、俺のマンションの予備キーだろ!! 勝手にオーパーツとして売ろうとするな!」
「あら。でもyuma、この鍵の造形は、この異世界のどの鍛冶師にも真似できない精密なパースをしていますよ?」
「精密だけどただの鍵だよ! 返せ!!」
yumaが慌てて鍵を回収する横で、妹の凪ちゃんがキラキラした瞳で別のお客さんに瓶を差し出していた。
「おじいさん、こっちの『虹色の魔法ポーション』はどう?」
これを飲めば、どんなに暗い気分でも一瞬でパステルカラーになっちゃうよぉっ!!」
「ほう、それは凄まじい薬だな……」
「凪、中身はただの炭酸水に苺シロップ混ぜただけでしょ! 薬事法……じゃなくて、詐欺になるからダメだって!」
yumaの鋭いツッコミが、今日もお店のBGMみたいに心地よく流れる。
三千年前の私たちは、こうして誰かと「日常」を笑い合うことなんて知らなかった。
「yuma、怒らないでください。……これ、今日の売り上げ(の予定)で買った、苺のタルトです」
「……自分たちの給料から出しなさい。もう、仕方ないな。みんなで食べるか」
結局、yumaは溜息をつきながらも、一番大きな苺を私の口に運んでくれた。
甘酸っぱくて、温かい。
これこそが、私たちが異世界で見つけた、世界で一番贅沢な「質感」なんだ。
読んでくれてありがとうございます!(人•͈ᴗ•͈)




