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真相1

「シィ・ジェンシス、二人を脅かすのはやめてくれ」

エイスの諌めるような言葉に、シィと呼ばれた女性は、うふっ♡と笑って、表情を崩す。

途端に、周囲の不穏な空気が一掃された。

シィ・ジェンシス。

エイスの師スパーク・ホワイトが、この世界とは

別の、竜の住む世界から召喚した相手。

竜の世界の姫。

そして、スパークの恋人でもある。

「シィ、いい加減離れてくれないか」

いつまでも抱きついている彼女にエイスは半眼になる。

「どうして? 私たちにとっては瞬きの間でも

 人はこういうの、久しぶりって、いうのよね?」

だから、再会のハグよ、と更にぎゅうと抱きつかれる。

確かに会うのは3年振りだが、何故ハグ。

エイスがシィを引き離そうとしていると、ロルと

リィルが吹き出した。

「仲がいいんだな」

「スパーク以外にも気を許せる相手がいて安心しま

 した」

「だって私はエイスの『お母さん』だもの」

シィの言葉にエイスはまた、半眼になった。

「竜を母に持った覚えはないな」

「つれないわ。前にスパークをお父さんみたいって

 言ってたじゃない」

「小さい頃の話だろう」

なおも口を開こうとしたシィを制してエイスは

話を戻そう、とロルとリィルに話しかけた。

すると二人は再び姿勢を正す。

それを見て、シィもようやく離れてくれた。

「二人は、シィに驚かなかったな」

「はい。何度かお会いしたことがありましたから」

「スパークからは、水晶をはめたらエイスに必要な   相手が現れる、としか聞いてなかったけどな」

そこで、シィがあっ、と声を上げた。

「私、エイスと契約しないと」

「契約?」

エイスが聞き返すと、

「そのために、スパークは私を喚んだのよ」

「それは、初めて聞いた」

シィはエイスに立つように促すと、

「私のあとに続いて同じ言葉を」

と、エイスの手を取った。

『我、新たな縁を望みし者

 汝、我と共に歩め。我、汝と共に歩む者

 紡がれよ、紡がれよ

 新たな縁を今、ここに』

不思議な光景だった。

詠唱が進むにつれ、力の奔流が沸き起こり、

シィとエイスを取り囲む。

室内なのに風で、シィとエイスの髪がなびく。

そして、詠唱が終わる直前、2人が糸のような

もので繋がれた。

すると、風がやみ、力も霧散してゆく。

「これで、ある程度までは気にせず魔法を使えるわ」

シィはエイスにだけ聞こえる声で囁くと、

軽く浮いて移動し、ソファにすとんと座った。

「そういえば、シィは今までどこにいたんだ?」

自分もソファに座りながら、エイスが問う。

「この世界のちょっとした穴、みたいなところよ」

エイス、ロル、リィルが首を傾げると、シィも少し

考え込んでしまった。

「スパークは家の仕事部屋に近いって言ってたわ」

そこでエイスはロルとリィルに説明した。

エイスの家にある仕事部屋は、どれだけ魔法を

使っても、失敗しても大丈夫に作られた場所で。

師スパークがやっていたのと同じように、エイスも

依頼の品に魔法を込める時に使っている。

シィによれば、故郷の竜の世界に、魔法の環境が

似ているらしい。快適さはこちらが上だそうだが。

「そこで、眠っていたの。エイスに喚ばれるまで」

「それは、待たせて悪かった」

「いいのよ。ほんのちょっとしか待ってないわ」

改めて、竜の寿命の長さを自覚するエイスである。

竜によっては千年単位で生きる者もいるとか。

「それで、エイス。スパークのことなんだが」

どうにも逸れてゆく話をロルが引き戻す。

ああ、と先ほどよりは落ち着いて話を聞く

態勢に入ったエイス。

「俺たちは、スパークを看取っている」

ロルのその言葉に、持ち上げかけたお茶のカップを

かしゃんと、ソーサーに落としてしまった。

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