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ギルドより神様のこと!②

『えっ!? いつの間にそんなことしてたんですか?』


 ギャルメジロが言うには、断罪劇が始まってすぐに何らかのことを仕掛けてくるだろうってことで警戒していたんだって。僕は転移寸前に身を守るための結界しか対処できなかったのに……。


 しゃべり方めっちゃギャルだしメジロだけど、ギャルメジロは正真正銘の神様なのだ。こういうさり気ないところでサラッと助けてくれる今世のお母さんのような――。


『今、アタシのことおかんとか考えてなかった? やめてー! ジャンっちはアタシの愛し子だけどぉ、そこはお姉ちゃんでしょ!』


 ギャルメジロはお母さんでなくお姉ちゃんが良いのか。っていうか、今更だけどこっちの世界に来てからだいぶ口数増えてるような?


『あんたさぁ、さっきから~全部考えてること口から出てるからねぇ。アタシのことギャルメジロって呼んでんの初めて知ったし~』


『す、すみません! 神様のことそんな呼び方してて』


 勝手にあだ名付けてたのがバレて気まずくて慌てて謝罪を口にしたけど、神様は心が広いのか笑って許してくれた。


『ジャンっちの前世の世界のギャルのマインド、アタシ好きなんだよねぇ。だからギャル扱いされても、逆に嬉しいって感じぃ?』


『僕の前世の世界を知っているんですか?』


『それこそ今更じゃね? 向こうの世界の神様とたまたま知り合いなんだけどぉ、間違って若くして死んじゃったからそっちで引き取って欲しいってお願いされちゃってぇ。アタシもジャンっちの前世の心根とか気に入ったから『もちオッケ~♪』って引き受けたんだ~。で、転生させる前にジャンっちの前世の知識とか世界感とか覗かせてもらったわけ』


『そうだったんですね……』


 僕が戸惑っていると神様(恐れ多くてもうギャルメジロなんて呼べない)は、声を出して笑いだした。


『あははっ! ジャンっちってば、今世神子だからか、考え方とか少しお堅いぞっ! もうこっちでは自由なんだしぃ、もう少し気楽にいこうや! 手始めにアタシに名前付けて!』


『えっ!? 名前ですか?』


『うんそう。こっちの世界に来たらもう神様って感じじゃなくなっちゃったから~』


『神様じゃなくなった……!? どういうことですか?』


 僕が異世界に追放なんかされてしまったから神様の力が失われてしまったってこと!? 一人でパニックに陥っているとまたもや明るく笑い飛ばされた。


『ジャンっち~! まぁた声に出てるよぉ~! 神力が失われたとか神から降格とかそんなんじゃないから~、重く考えないでよぉ? 自分で出てきたんだしぃ! そうじゃなっくって~、アタシ元の世界ではあの国の唯一神やってたじゃん? で、異世界に来て担当の国もないしジャンっちと同じく自由の身になったわけ。そんでジャンっちだけの神様っていう感じのつもりでいたんだけどぉ~、神様っていうよりも、ここではジャンっちの保護者的な感じかもって思ったりしてて~。んんっ!? 自分でもよく分かんなくなってきたけど、神っていうより精霊とか妖精とかそんな感じかなぁ』


 神様の話をまとめると、元の世界の国では唯一神として信仰されていたけど、こっちの世界では認知されていないから、信仰の対象から外れて神様という立ち位置でいるのは難しいということだった。この世界にも勿論神様はいるから、出しゃばるっていう言い方はおかしいけど、神業はしないってことで、それだったら精霊とか妖精とかって立場のほうが僕と行動を共にしやすいと考えたということだった。


『それと名付けってどう繋がるんですか?』


『アタシ元の世界では真名広まってないから~神様とか女神様とかって呼ばれてたじゃん? ジャンっちだったら真名教えても良いんだけどぉ、知ることでちょっと神子よりも神に近い存在になっちゃうしぃ、まだ人間でいたいっしょ? だから名前つけて欲しいのよぉ! そしたら絆がより深まると思うしぃ』


『まだっていうか、ずっと人間でいたいです!』


 とんでもないことをサラッと言われたので慌てて否定する。神子業だって頑張っていたけど、前世の記憶がある自分にはやっぱり重荷に感じていたし。神様に近い存在になるとかごめん被りたい。


『じゃあ名前ヨロ~』


『う~ん……。フルールってどうですか?』


『フルール! 可愛い~! どういう意味?』


『元の世界のメジロと神様を一緒にするのも申し訳ないんですが……。メジロっていう小鳥が神様と似ていまして、花の蜜や果物が好物だったんです。それで【花】を英語にしたら【フラワー】だけど、それじゃあ流石にちょっと安直かなと思って、フランス語で【花】は【フルール】だということをたまたま覚えていたので良いかなと思いました』


『へぇ~! じゃあいまからアタシは【フルール】で!』


 神様改めフルールがそういうと、僕の手の甲にある紋章が光った!


『これで、こっちの世界でのアタシはジャンっちと契約した精霊ってことで~! 神様業やってる時より気楽だしぃ~、ジャンっちとも気兼ねなく喋りたいからぁ、これからは敬語禁止ねっ! 愛し子であることには変わりないけどアタシはこの世界では神様じゃないから、そこんとこ夜露死苦~!』


 ――絶対最後の『宜しく』は違う当て字が使われていそうだ。神子として10年間神様改めフルールの神子をしていたから、いきなり敬語をなくすのは難しそうだけど、徐々に崩していけたらと思う。


「なぁおい、今一瞬光らなかったか!?」


「ああ、確かに光った!」


「そっちの方だったぞ!? 何かあるか?」


 ――やばい。ここがギルドだっていうこと忘れていた! 気配も匂いも音も遮断していたけど、光は通しているなんて!! ほんと僕って詰めが甘い……。取り合えず注目を浴びている場所からは転移で移動することにした。


 何だかんだとフルールと話しているうちに、ギルドの受付は犬猫コンビの順番になったようだ。近くで話を聞くために、犬猫コンビの横に転移した。


「おかしいなぁ。特に光るもんなんてないぞ?」


「確かにピカって光ったと思ったんだけど……」


「まあ何にもないなら、きっと何かの光が反射でもしたんだろうよ」


「それもそうだな!  ガハハハハ!」


 僕がもともといた辺りで獣人さんたちがガハガハと大きな声で笑っている。突き詰めて考えるような気質じゃなくて助かっているけれど、やっぱり楽天的すぎると僕は思う。







お読みいただきありがとうございました!

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