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ギルドよりも神様のこと!①

少し長いので①と②に分けます。

 気配を消したまま獣人二人の後を付いていくと、たどり着いたのはウェスタン風の街だった。


『うぉー!! 西部劇まんまじゃん!』


 ギャルメジロにだけ聞こえるような声量で思わず叫んでしまったら、街の入り口にいる人々が一斉にこっちを見てくるではないか!

 

「おい、誰か何か叫んだか?」 


「変な雄叫びが聞こえた気がするが?」


 めっちゃ聞こえてるや~ん!? 獣人さんたちの聴力凄すぎん?


 まだこの世界についてちっとも把握できてないうちに見付かりたくなくて、慌てて遮音の結界も重ね掛けした。初めからそうすればよかったんだけど、いかんせん神子に必要な魔法以外はこっちに来て初めて使うから機転が利かないのは仕方ないと思う。うん。そうだよ。仕方ない。


 勿論こっそり練習はしてたよ? でもこう突発的に実行に移すのってやっぱり多少の慣れが必要っていうか。自慢じゃないけど、治癒的な魔法はめっちゃスピーディーに対応できると思う。しょっちゅう使ってたしね。


「まあ誰もいねえみてえだし、気のせいか」


「そうだな。どっかで赤子でも泣いたんだろ」


 林で出会った犬猫コンビの時も思ったけど、それでいいの? 無理がないか? ここの人たち15人くらい一斉にこっち見たんですけど~? 気のせいで済ますとか……。獣人さんたちはみんな楽天的なのかも?


 まあ、気のせいってことでこっちから気がそれたからそれは助かった。改めて自分の今の状況を整理する。


 まず、元の世界で神子として頑張っていた僕が邪魔になったから、冤罪という名の言いがかりを吹っかけて王女様から婚約破棄ついでに異世界に転移させられた。めっちゃ高いところから落下してゲロって、様子を見に来た犬猫コンビにゲロを目撃され、匂いで一瞬バレかけた。でも浄化で匂い消したら、白昼夢だったかもってことに落ち着いて、僕が作ったクレーターをギルドに報告に行くというのに着いて来たところだ。そこにはずっとギャルメジロな僕の神様が寄り添っている。


 結界については、気配と匂い、そしてたった今音を遮断するように設定したところ。


 そんなことを考えていたら犬猫コンビを見失いかけて慌てて辺りを見回す。


『あ、良かった。まだ近くにいた。ってか何か食べてるし』


『あの子たちめっちゃ自由人じゃ~ん! アタシ元の国よりこっちのが性に合ってるかもぉ』


 犬猫コンビは少し先の屋台で串に刺さった肉を買って食べていた。めっちゃ美味しそうだ。僕も落ち着いたら絶対食べる! 密かに決意して二人に近づいた。


「やっぱりおっちゃんとこの串が一番美味い! こうひとっ走りした後はついつい食いたくなるんだよなぁ」


「分かる分かる! まずこの匂いが最高だよね~! さっきは気のせいだったけどゲロの匂い嗅いだしー、切り替えるにはもってこいだよ」


 さりげなくまだ落とし物(ゲロ)を引きずられている……。気のせいとか白昼夢で片づけたんだから、さっさと記憶から抹消してくれ~。


『ジャンっちのゲロめっちゃいじられてんじゃん! ウケる』


 肩の上のギャルメジロは音を遮断したからか、もう遠慮なくゲラゲラ笑っている。神様……。僕何か悪いことしましたか? ずっと敬虔な神子としてあなたの国で頑張っていたつもりなのですが……。


 ジトーっとした視線で恨みがましくギャルメジロを見つめると、少し気まずそうに話をそらされた。絶対僕の考えていたこと分かってそうだ。あえて口には出さないけど、僕はあなたの愛し子デスヨネ!?


『ほら、ジャンっち! あの子たち食べ終わって移動しそうだよ!』


 まだ少しモヤモヤしていたけれど、見失ったら困るから慌てて後を追う。


 着いた先は、これまた西部劇でお馴染みの大きな平屋で、板でできたデッキ部分を抜けると両開きのいわゆるスイングドアが待ち構えていた!


 入り口には【マロー街役場兼ギルド】という看板が。お? 字が読めるぞ? というか今気が付いたけど、言葉も分かる。何でだろう?


『今頃!? ジャンっちって結構抜けてるよね~。そこがアタシの神子って感じで気に入ってるんだけど~。真面目なだけじゃ詰まんないしねぇ。言語的なのはあの王女の異世界転移の魔法陣に干渉して困らないように細工しといたし』



②に続く

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