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Stars and Stripes: 僕らの内戦留学  作者: 電脳太郎
9/18

宣戦布告のカウントダウン

「Stars and Stripesの三バカ」。


アメリカ全土の地下ネットワークで、そう呼ばれる若者たちがいた。

神政州の最深部“箱舟要塞”に侵入し、人工神AMN-02を沈黙させた日本人高校生3人組。


そのニュースは、ラジオのノイズ混じりに、ネット回線の闇の中に、そして火の粉の降る空にも流れていた。



「……マジで、三バカって呼ばれてんの?」


由紀が呆れた顔でラジオ端末を放り出した。


「一応“Stars and Stripes”が前に付いてるから、格は高いよ」千代が涼しく答える。


「問題は“バカ”の方だろ!」


「いや、むしろ誇れ。俺たち日本人として、三人揃ってアメリカ全土からバカ認定されたんだぞ。これぞ国際交流」

雷蔵が自慢げに鼻を鳴らす。


「誇るなよクソミリオタ!」



場所は、廃墟化したアメリカ西部の避難都市“デトリック・タウン”。

神政州の外側にある唯一の非占領区で、各地のレジスタンスと残存政府軍、そして一般市民が身を寄せている。


3人はニューヨーク独立義勇軍からの招待で、ここに身を置いていた。



「で、その“義勇軍”とやらはいつ来んの?話通すって言ってたけど」


由紀が辺りを見渡すと、工場跡の空間に重い足音が響く。


ガチャ――。


扉を開けて現れたのは、20代後半のスーツ姿の男だった。


「よう。よく来てくれた。“Stars and Stripesの三バカ”」


「おいテメー、名前で呼べ」雷蔵が即ツッコむ。


「悪い、でも一応それで伝説になってんだ。俺たちも君らに賭けてるんだよ」



男は自己紹介した。名前はアラン・マクレー。

元・国家安全保障局の分析官にして、今は義勇軍の通信・戦略責任者だという。


「君たちの戦果は見事だった。AMN-02を止めたのは、戦術的にも象徴的にも意味がある」


「でも、あれはまだ“試作品”だったんでしょ?」ミナミが問い返す。


「その通り。教主は“完全なる神”を作ろうとしている。

彼の狙いは“全世界への宗教的制御”。そしてそれは……あと72時間以内に完成する」



「72時間……!?」


「なぜそんな具体的な時間制限が?」


アランは壁のスクリーンに、全米の通信衛星の配置図を映し出す。


「3日後、星条旗記念日を祝うため、全衛星が“国家記念式典”用に再起動される。

その瞬間、教主の信号が“神の声”として世界中にブロードキャストされる予定だ」


「つまり……72時間以内に“教主本人”を止めなきゃ、全人類が信者になると?」


「Exactly」



千代が静かに言う。


「ブロードキャストそのものは止められない。でも、信号の“中身”をすり替えることなら可能だよ」


「たとえば?」由紀が尋ねる。


「たとえば――AMN-02の代わりに、私たちの“本音”を全世界に流すとかね」


「三バカラジオだな」


「なんでそうなる」



アランが苦笑しつつ、地図の一点を指さした。


「教主は今、“神の脊椎ザ・スパイン”と呼ばれる要塞にいる。

それが最後の拠点。南部カリフォルニアの山岳地帯に隠された黒い塔だ。

通信設備、軍事指令、神経演算システム……すべてが集約された中央管制」


「神を名乗るための玉座ってわけか」


「正確には、“世界をリセットするための起爆装置”だ。

彼はそこから“神になる”つもりなんだよ」



3人は黙った。


雷蔵が銃のスライドを動かしながら言う。


「やるなら、俺が突入担当な。武器は足りてんのか?」


アランが小さく笑う。


「君のために、“地獄のガレージ”が用意されてるよ。伝説のNRA倉庫跡地がね」


「やったぜ!!!!」



一方その頃、“神の脊椎”内部――


教主と呼ばれる男は、無数のケーブルに繋がれながら、深く椅子に座っていた。


「AMN-02、失敗。だが構わぬ。

すでに我が演算体はAMN-03を通じ、地球全土の感情の流れを掌握しつつある」


助手が問う。


「反抗的な信号が各地に散見されます。“Stars and Stripesの三バカ”というコードネームで……」


教主は目を開けた。


「“バカ”か……いい響きだ。神には“愚かさ”が必要だ」



72時間後、世界の形は変わる。

それを止められるのは、今やバカと笑われる3人だけだった。

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