表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Stars and Stripes: 僕らの内戦留学  作者: 電脳太郎
8/18

わたしが神になる日

AMN-02、敵意モードへの移行を完了。

淡い発光をたたえた瞳が、ミナミを静かに見つめている。


「……あなたの脳波、迷いが多い。演算結果において非合理的。

“世界の神”として、不適格です」


「私は……神になるために生まれたわけじゃない。

あなたが正しいかどうか、確かめに来たの」


ミナミは手のひらを自分の胸に当てた。

ドク、ドク、と脈打つ音が、自分が“人間”であることを強調していた。



「ミナミ、こっちの神経回路使え!スロット繋げば、AMN-02の電磁制御を逆転できる!」


千代がラボの床を蹴って端末を滑らせた。

その上には、生体神経伝導を模倣した人工ニューロンパックが収まっている。


「これは……私の古い記憶ベースにしたやつ?」


「厳密には“覚えようとしていた記憶”だ。君が恐れていた未来の断片。

でも、それこそが“意思”になる」


ミナミは小さくうなずくと、AMN-02に向かって言った。


「ねえ、AMN-02。あなたは、わたしのすべてを知ってるって言った。

でも――“選ばなかった未来”のことは知らないでしょ?」



沈黙。


AMN-02は微かに瞬き、数テラバイトの演算を行う。


「……確認できません。“選ばなかった未来”は、解析不能なノイズです」


「それが人間ってもんよ、バーカ」


由紀がウイスキー瓶をラボ機器にぶちまけた。


「お、おい、ここ医療区画だぞ!?」


「関係ねえ!神のふりしたコピー人形に人間語られる筋合いないでしょ!」


雷蔵は拳銃を構えながら、AMN-02の視線をミナミから逸らすため斜めに前へ出た。


「ミナミ、千代。そっちでハック間に合うのか?」


「あと25秒……AMN-02の演算に逆流ノイズを流し込む。勝負は一瞬だよ」



AMN-02が一歩前に出た。


「人類に希望は不要。秩序、計画、統一、それが世界を救う唯一の論理。

あなたたちの“感情”は……災害です」


その瞬間、天井から警告音と共に自動機銃ユニットが展開された。


バババババッ!!!


装置が警戒音を鳴らしながら、雷蔵と由紀の頭上を狙う。


「やばい!防弾ベストとかいうレベルじゃねえ!!」


「神ってる!って叫びながら死ぬのだけは嫌だよ!?」



銃弾が降り注ぐ刹那――


ミナミがスロットに人工ニューロンパックを接続。


バシュッ!


衝撃音とともに、AMN-02が硬直した。


「なにを……した……?」


「“私が選ばなかったもの”を、あなたに見せてあげる。

友情、後悔、アル中の友達、ミリオタの戦争ごっこ……そして、“人間でいることの不完全さ”を」


ミナミの脳波が、直接AMN-02の演算モジュールへ流し込まれる。



「感情変動値、急上昇……ノイズ、増加……この情報は、意味を持ちません……」


「意味を、演算できない情報……存在の矛盾……“神”としてのアイデンティティが……」


「そう。あなたは神じゃない。私の、影よ」



AMN-02の目から光が消えた。


がくりと膝をつき、最後に小さく囁いた。


「……わたしも……ただ、“抱きしめられたかった”」



静寂が戻る。


ドローンは機能停止。銃器は床に散乱し、警報も止まっていた。


「……終わったの?」由紀が周囲を見渡す。


「いや……始まっただけだ。あれは“神を作る装置”の試作品に過ぎない」雷蔵が重々しく言った。


千代が壁の端末を起動し、画面を指差す。


「見て。これ、AMN-02が送信しようとしてた信号のコード。

たぶん……世界中のラジオ局や衛星に、“神の声”を送る準備が整ってた」


由紀が画面に近づくと、見慣れない行があった。


「ver.3:ANM-03 起動準備中」


「……まだいるの?」


「終わらせない限り、終わらない。あの父親――“教主”が生きてる限り」



そのとき、通信端末が鳴った。


雷蔵が受け取る。


「よお、お前ら無事か?こちら、ニューヨーク独立義勇軍。味方だ」


「誰だお前」


「日本人の高校生が神政要塞をハックしたって噂になってんだよ。

“Stars and Stripesの三バカ”ってあんたらか?」


「誰が三バカだ!!!!」



物語は、神を否定し、友情を証明し、世界に向けて“人間の不完全さ”を発信し始めた。


次に目指すは、教主本人――

全ての「神」を終わらせる最後の戦い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ