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Stars and Stripes: 僕らの内戦留学  作者: 電脳太郎
12/18

死の灰とバーボンの香り

夜明け前、三人は地図に載っていない地点にいた。

それは、かつてアメリカ最大級の原子力発電所として稼働していた――が、今は軍閥によって占拠されている。


「ここ、放射線量が高すぎる」

千代がハザードメーターを見つめて言った。


「それでも行くしかないだろ」

雷蔵がマガジンを装填する。

「この中に、義勇軍の仲間が捕まってるんだ。下手すりゃ再臨界もありうる。時間がない」


「でもさ〜……なんかこう、核のそばで酔うのってダブルでヤバくね?」

由紀がガスマスク越しに呟いた。



発電所内部――

照明は死んだまま、コンクリ壁にひびが走っている。

薄暗い中を、三人は黙々と進む。静寂の中、雷蔵が口を開いた。


「放射能ってさ、核分裂して熱出して、それを水で冷やして……」


「知ってるよ。うちの密造も蒸留タンク使うし」

由紀が言う。


「密造酒と原子炉を一緒にするな」



反応炉のフロアにたどり着いた瞬間、重機関銃の銃声が轟いた。


「伏せろ!!」

雷蔵が咄嗟に由紀を押し倒す。


銃撃の主は**“ラディエーターズ”**と呼ばれる傭兵集団。

放射線耐性スーツを着用し、旧式米軍兵器で武装していた。


「やば……やば……あのバリスティックミサイル、点火されかけてる!」

千代が反応炉側のコントロール盤を解析する。


「再臨界起きたら……この一帯が吹っ飛ぶ!」


「もう黙ってらんねぇ」

雷蔵が叫び、腰のM60機関銃をぶっ放す。



「いけぇ!ライズォーーッ!!」

由紀がノリでブースターを蹴る。


「よし、次はこっちだ!由紀、スモーク!」


「おうよ!」


由紀は密造したバーボン煙幕弾を投げた。

スモークの中に、甘ったるい香りの蒸留酒が充満する。


「なにこれ!?目が!鼻がぁッ!!」


「アル中の嗅覚にはなぁ、効かねえんだよォ!!」



千代は制御室に滑り込み、ラディエーターズの技術兵を一瞬で制圧。

モニターを見つめるその眼に、わずかに焦りの色が浮かんだ。


「だめ、ここの中性子制御棒、手動でしか止められない」


「手動って……どこで?」


「リアクター内」


「行くしかねえじゃん。誰が行く?」


由紀と雷蔵が顔を見合わせる。


「……酒飲んでると熱に強くなるって話、ある?」


「ねぇよ」



最終手段――

千代が密造した**耐放射線スーツ(酒瓶を縫い込んだやつ)**を由紀に着せる。


「大丈夫。理論上、バーボンで冷却効果が得られるはず」


「完全に嘘やんけ!」


だが、由紀は飛び込んだ。


反応炉内は灼熱。歪む鉄骨の中で、彼女はハンドルを握った。

「いっけええええ!!」


ゴキン。


――制御棒、挿入完了。


臨界、停止。



外では、雷蔵がラディエーターズの最後のボスと接近戦中だった。


「貴様らは、核の神に逆らって何になる……」


「こっちはなぁ――泥酔の神に守られてんだよ!!」


雷蔵の一撃が、敵のヘルメットを叩き割る。


そこへ由紀がよろよろと現れた。


「ひゃはは……熱っつ……!でも見て……ほら、酒が蒸留されてるぅ……」

服からはバーボンの香りが漂っていた。



発電所は制圧された。

義勇軍の捕虜も無事救出。


「君たち……マジでなんなんだ……」

助けられたレジスタンスが呟く。


「俺たちはただの高校生だよ」

千代が無表情で言う。


「酒と火薬と天才でできた、ちょっとばかり手のかかる高校生だ」



次の目的地は、旧ロサンゼルス州――そこには、もっと大きな戦いが待っている。


だが今は、とにかく――


「酒くせえから、誰かこの服洗って」


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