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畏怖(if)  作者: CHACHAN
第一部:「勝手に降臨」編
7/12

第6話:転送?転移?アマテラスは天才の子!

天界で会議が行われる一方、地上ではアマテルが転移の真相を語る……



< 転移の真実・天照の才能 >


──早朝6時30分頃/地上・シェアハウスの居間──


 外はまだ薄暗く、居間の照明ライトの明るさが際立つ。

 スマートモニターからは、天気の不安定さを知らせる報道が流れている。


「もうこんな時間……これはまずい……!」


 何がまずいのか、地上に太陽が見えない──つまり、やばい。

「人類を滅ぼす訳にはいかない……」

 はぁ〜、と大きくため息を吐いたアヤカは、自分の運命を呪うように立ち上がった。


 ……何か「別のフラグ」が立ったかも。


 この状況を、天界に黙っているわけにはいかない。アヤカは心を鬼にして声を張った。

「アマテル! みんなに知らせるからね!」


 だが、当の本人──アマテルはというと、呑気にお茶をすすっていた。

「みんなが知ったところで、どうにもならないよ~」


 なぜ?……アヤカは目を細めた。


「転移してきたんだから〜」……転移てんい!?……思わず耳を疑った。

 聞き間違えたと思ったアヤカは、必死に確認する。

転送てんそうじゃなくて?……()()?」

「そう♡」その返事はあまりにも軽く、そしてあっけらかんとしていて、頭が痛くなった。


 はあぁ?……この子、何をしでかしたの。アヤカは慌てて問い詰める。

「ど、どうやって? 転移装置なんて作ったの?」


 するとアマテルは、ポケットから小さな宝石のような丸い石を取り出した。


「これよ、きれいでしょ〜」

 照明の光があたるたびにキラキラと輝いている。

 この石は、何?……アヤカは眉をひそめた。


天之瓊矛あめのぬぼこの玉よ」


 あっさりと言い切るアマテル。

 そう簡単に言うけど、それが、どうして転移に関係するの?


 アマテルによれば、昔、岩戸で転移ゲートを発見して、転移の再現を試みたけど、何かが足りなかったのだという。


「それで、神殿にあった"天之瓊矛"をたまたま調べたのよ〜」──イザナギが別天津神ことあまつかみから授かったという神器……何もない空間に"()()()"をする力。それは、科学では再現できない"神の力"だ。


 アマテルは、この矛の装飾玉に先代たちの力が、まだ少し残っていることを調べあげ「一時的な空間制御に使えるかもしれない」と自分のベッドに組み込んだらしい。(軽く言うけど伝説級の神器よ……それを扱えるのもすごいけど)


「500年かかったけど、できたのよね〜(笑)」


 笑ってるけど、500年!?……アヤカは突っ込む気力さえなくなってきた。(この子は、本当に神の力に選ばれた存在なのね……)


「だから、神格が高いって言ったでしょ♪」とアマテルが笑った。


 アヤカはしみじみと思った。やはり、この子……天才だわ。私と違って神の力に愛された特別な神。アマテルが産まれた時から抱いていた想い。そして、アマテル出生の秘密を知る天界でも限られた存在である私……。


 アヤカはアマテルに問いただす。


「でも、太陽がないと、みんなパニックを起こすでしょ?」

 思い出したくもない、あの"天岩戸"事件。あのときも大騒ぎだった。あれに比べれば……いや、どっちも最悪かも。


「大丈夫じゃない〜、外見てよ、明るいよ☆」

 気楽すぎるアマテルの一言に、アヤカは即座に窓の外へ目をやった。


 ……確かに。


 ついさっきまで薄暗かった空が、今はちゃんと明るくなっている。

 うん、あれ……奇跡かな?


「カネさんがどうにかしたんじゃない?」アマテルは気軽に呟いた。


 カネ……か。

 やはり大臣のオモイカネには連絡をした方がいい。

 アヤカは、もはや手に負えないこの状況を丸投げしようと決意した。

「カネに連絡するからね……」静かにそう呟いた。


 彼女はモニターのチャンネルを、天界通信へと切り替えた。

 パッと画面が天界チャンネルに切り替わると、その右端には「太陽神・失踪中」のアラートがズラリ……まるで株価の速報だ。


「やっぱり……結局、騒ぎになってる」


 アヤカは呆れ顔でアマテルを見た。その視線にも気づかず、ぶつぶつ何かを言いながら、サンドイッチをもぐもぐ。……この子、本当に何も気にしてない──少しイラッとした感情を抑え、急いで天界政府へ連絡をとる。


 まずは外務省チャンネルに繋いだ。


 オペレーターに言伝をすると、パチパチと入力する音が響く。

 そして、しばらく待たされた。……10分……いや、実際には数分くらいかもしれない。


《ただいま、各大臣は臨時閣議中です》

《緊急連絡とのことで、直接お繋ぎしますか?》


「……ええ」

 また面倒な場へ足を踏み入れてしまった。アヤカは若干後悔していた。朝からなんでこんな事態に……本当に厄介なことに巻き込まれたものだ。


《では、お繋ぎします》


 画面が切り替わると、長い会議卓を囲んで神々が一斉に座していた。会議室のぴんと張り詰めた緊張がこちらにも伝わる。


 地上のシェアハウスの気の抜けた空気とは違う、まるで別世界だった。




── つづく ──

最後までお読み頂き有難うございました。

ぜひ、続きのエピソード「第7話」をご覧ください。


また、ご覧いただいた方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

モチベーションになるので、★5でも★1でもつけていただけると幸いです。

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