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畏怖(if)  作者: CHACHAN
第一部:「勝手に降臨」編
3/12

第2話:ただいま太陽不在です!〜管制室・緊急コードC発令〜

アマテルの失踪で天界の現場は混乱する……


< 太陽不在の朝、天界の管制室 >


 この日の朝、空に本物の太陽は昇らなかった。


 いや、正確には"昇るべき存在"が現れなかったのだ。

 そう、太陽神・アマテル──天界の光たる存在が「無断欠勤」していたのである。



──早朝5時/天候庁・管制室──


「た、大変です!アマテル様のログインが確認できません!」


 最初に異常に気づいたのは、若き神官補佐。彼が見ていたモニターには、鮮やかな赤色のアラートが幾重にも重なっていた。


《緊急アラート:主神・出勤記録、確認デキズ》

《緊急アラート:主神・現所在地、ログ無し》

《緊急アラート:主神・神リンク、切断チュウ》


 神専用リンク網"アメノネット"(AmenoNet)が、騒ぎ立てる。これは、天界全域をカバーする神々のGPSネットワークである。


「……はぁ?」

 誰かが漏らした気の抜けた声が、場違いなほどリアルだ。


「これは、何かのエラーか……?」

 次の瞬間、誰かの肘が机にぶつかり、積まれた書類が宙を舞う。ベテラン神官のコーヒーカップが落下し、床に砕け散った。


「現場の確認はどうなってる!?」

「本日、アマテル様の出勤確認が……できておりません!」


 庁舎内の連絡網が、一斉に赤く染まり始める。職員たちは、かつてない焦燥に駆られ、我を失って走り回る。


「本日の照射開始時刻まで、あと10分を切りました!!」


 その声が引き金だった。

 天候庁は非常手順「緊急コードC(crisis(クライシス))」へと移行。偽装ぎそう装置「ミラー・オーブ」の起動準備に入る。これは、本物の太陽の代わりに"光の演出"を行う緊急用ホログラムである。だが、光は偽物。熱も、エネルギーも何も生まない。


 現場マネージャーが叫ぶ。

「地上の日の出時刻、偽装可能な限界は?」

「1時間が限界です!」

「……よし、限界値で設定しろ!!」


 そして、指令が下る。

「投射まで10秒前……3、2、1……擬似照射、開始せよ!!」


 赤みを帯びた擬似光が空を走る。天界を照らすその光は、あくまで"演出"。神官や神々はホッと胸を撫で下ろすが、そこにあるのは、空虚な安堵にすぎない。


「現在時刻、5時25分。偽装時間、残り59分58秒!」



< 混乱の朝。太陽なき天界 >


 数十分前……

 管制室の隣、ブリーフィングルームでは沈黙が支配していた。


 国務大臣に連絡がつき、これから臨時閣議に入ると──また、現場責任者の"出向要請"が来ていると職員が話す。


「了解した」神妙な声の主は、水を司る神──天候庁トップ・オカミ(=龗神オカミノカミ)だった。


「悪いが、神政庁しんせいちょうへ向かってくれるか、シナツヒコよ」


「わかりました。」派遣されるのは、シナツヒコ(=風神)──いずれも経験と実務に長けた神々だ。


「それにしても……大変な事になりましたね、オカミさん」

「そうだな……」


 そして、これは現場にとって長い一日の始まりに過ぎなかった。


 一方そのころ、地上でも異変は現れていた。


「……なんか、今日って朝から寒くね?」若者たちは気にも留めない。だが、空を仰いだその目は、どこか不安げだった。


 天界の乱れは、地上にも波紋を広げる。


 これは、新たな神話の序章か、

 それとも、神によって編まれた創作か、物語は続いていく。




── つづく ──

最後までお読み頂き有難うございました。

ぜひ、続きのエピソード「第3話」をご覧ください。


また、ご覧いただいた方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

モチベーションになるので、★5でも★1でもつけていただけると幸いです。

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