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【短編】スケルトンだった俺、人間の少年になったのでネクロマンサー職を活かして生き抜いて行くぞ!!

スカルジオは水面に映る自分の姿をみて……。

「これは誰だ?」


 水面に映る自分をみて驚いている。そこに映る姿はみたことのない十六歳ぐらいの少年だった。


 ダークレッド色が際立って目立っている短い髪。洞窟内の何処からか吹いて来た風に前髪が揺れて少年は邪魔なのか払い除けた。

 まだ十六歳のせいか幼く優しい顔立ちをしている。


 少年は周囲を見回した。

 数体の骨の残骸が転がっている。


「仲間たちだ。勇者にやられたんだな。だけど俺だけ生き残った?」


 両手のひらに視線を向け自分に何が起きたのかを思い返してみた。


(確か俺は勇者と戦っていた。……魔王様から命じられた任務は、ここに侵入してくる者を排除すること。

 だがあの時、勇者と数名の仲間に俺たちは敗れた。そのはずだ。

 だけど……なんで俺は人間の姿になってる? アンデットであったはずが……)


 考えれば考えるほど分からなくなる。


「あー分からねえ〜!!」


 叫び声が周囲に響き渡った。だが、その声は只々木霊となり消える。


(考えてたって仕方ないよな。折角スケルトンから昇格して人間になれたんだ。楽しまないと……だけど待てよ。

 死んだら前のように生き返らない。という事は気を付けないとな)


 そう思いながら少年は自分の身なりを確認してみた。


(長剣と短剣……装備は軽装だな。こんなんじゃ簡単にやられるぞ。そういえば自分の名前って? スカルジオ・アンデグだったよな)


 なるほど魔物にも名前があるようだ。


(仲間たちは時間が経てば蘇生する。ここに居たらまずい。俺だって恐らく気づかないで攻撃してくるだろうな。

 別の魔物と戦うのは構わない。だけど仲間とやり合うのは嫌だ)


 そう思いスカルジオは、この場を離れようとする。


「……!?」


 とその時、一体のスケルトンがスカルジオの目の前に現れ涙を流し立っていた。


「カラカラ(待ってスカルジオ)……カラカラカラ(まさか私を置いて行くなんて言わないわよね)……」

「アイネス・スケティグ……俺のことが分かるのか?」

「カラカラカラカラ(勿論よ。匂いで分かるわ。多分、仲間たちも一緒に行動したいはず)……」


 そう言われスカルジオは悩んだ。洞窟内であればスケルトンの群れを連れて歩ける。だが人間界となれば別だ。

 自分も警戒されて処罰されるだろうとスカルジオは悩んでいる。

 ここまで考えられるスカルジオの脳は人間になったせいなのか知能が発達しているらしい。


「そうか……でも外の世界へ連れて行くことは不可能だ」

「カラカラ(どうして?)……カラカラカラカラカラ(貴方の能力を使えばいいじゃない)……」

「俺の能力???」


 スカルジオは自分の手をみて考える。


「カラカラカラ(スカルジオはネクロマンサーだから私たちを好きなだけ召喚できるわ)……」

「そういう事か。じゃあ他のアンデットも召喚して戦わせることができる」


 それを聞きアイネスは、コクっと頷いた。


「カラカラカラカラ(姿を消しているから私も一緒に行きたい)……」

「外の世界が、どうなっているか分からない。だからアイネスは仲間たちと待っていてくれ。必要な時は能力を使って呼び出すから」

「カラカラカラカラ(本当に呼んでくれるのね? 絶対よ。待ってるから)……」


 コクリと頷きスカルジオは、アイネスを見据える。

 その後スカルジオは、アイネスと仲間たちに別れを告げると外に出るため洞窟の出入口へ向かった。

 その間、なぜか魔物に襲われることなくスカルジオは外の世界へ出る。それはまるで人間になったスカルジオを祝っているかのようだった。


 初めて外の世界をみたスカルジオは涙を流し喜んだ。


(これが外の世界か。これからは人間として生きていく。この力を使ってな)


 一歩一歩と地面を踏み全身に伝わる感覚、喜びを噛み締める。


「新たな人生をエンジョイするぞ!」


 遥か先を見据えるとスカルジオは駆け出した。


 その後スカルジオは仲間たちを召喚しながら戦い成り上がる。その話は別の機会にという事で……。


 この物語は、ここで終わります。しかしスカルジオの物語は始まったばかりだ。


 そしてまた逢える日まで……。――――【完】

読んで頂きありがとうございますヽ(^o^)


連載にするかは思案中につき、その際はよろしくお願いします(*^▽^*)

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