剣聖
強くなるためというよりも、ルナと再開するために必死に頑張ってきたエイル。ついに、剣聖の認定試験にたどり着く。そこには、ルナに教わった数々の技術に攻略法のちりばめられた時間の再現であった。不思議な既視感とともに試験は進んでいく。そして待ち受ける結果は・・・
剣聖の資格試験は、15歳以上で、騎士の資格を持っているか、冒険者Bランク以上の騎士、剣士、魔法剣士に受験資格が与えられる。
受験手数料は300万ゴールド、現剣聖2人と上級魔導師1人の3人に勝利し認定員3人中2人から推薦を受けなくてはいけないのだ。
難易度はかなり高い。さらに受験料が高い事もネックだが、ルナがやりくりしていた事もありエイルの手元には蓄えもあった。
いよいよ試験当日、エイルは何の気負いもなく試験官である剣聖と向かい合う。試験に合格すれば宮廷騎士の推薦を受ける事ができるのだ。
「これでやっとルナに会える。」
一人目の剣聖は技巧派の手練れであった。
立合いについては、魔法は使用禁止である。
ながい剣撃の音が鳴り響く。
「キン キュイン ヒュン」
剣速が早いため剣撃の音も普通の剣士同志が立ち合う音と全く違う。手数が多くお互い決定打が繰り出せない。
エイルは決心した様に動きを止めてタメを作る。
相手の剣がエイルの身体に打ち込まれるが致命打にはさせない。
『一閃!』
打ち合うはずの相手の剣よりも早くエイルが相手剣聖の胴体を薙ぎ払った。
二人目は身体の大きな剣聖で大きな大剣を拝している。あの剣とまともに打ち合うのは困難である。
『ガキン ギギン ガオン』音がまったく違う。
相手剣聖はあの重い大剣を易々と振り回してくる。
エイルは剣撃を受ける止めるが、その度に飛ばされダメージをうけるのだ。
素早く後ろに下がり間合いをとると、体を深く沈めて集中する。
『閃空!』
剣撃が空気を切り裂いて剣圧が離れた相手の腹部を切る。
エイルは相手の大剣が少し下がる所を見逃さない。
『斬!』
腹部に有効打を受けてガードの下がった上段からエイルの高速剣が切り伏せる。
何とか二人目の剣聖を撃破した。
「エイルさんすごいです。二人抜き成功ですね。おめでとうございます。」観戦にきたレイセルが話しかける。
「・・・みんなルナに教えてもらった剣技なんだよなぁ」しみじみ呟く。
「そうですか、エイルさんのかなりの部分がルナ様でできてるんですね。・・・そんな事ない!その実力はエイルさんが頑張って得たものですよ。自信持って下さい。」
最後は上級魔導師だが、対魔法師戦はルナが教えてくれた。魔法構成が完成する前に倒すか、発動した魔法は構成の核を断ち切る事で無効化出来る。
遠隔攻撃は視界を外して『縮地』を使って間合いを詰めて短期決戦とするのだ。
最後の相手、上級魔導師と合間見える。
相手は狡い事に、試合開始前から詠唱を開始していた。
「アイス・ジャベリン」氷の矢がエイルを狙って放たれる。
数本の氷の槍がエイルに襲いかかるが、エイルは避けると同時に視界の外側から魔導師との間合いを詰めて剣撃を放つ。
魔導師は、結界を張り何とか剣撃を防ぐ。
結界が張られてしまうと結界の効果が切れるまで単なる剣撃では攻撃は通らない。
その後しばらくは、魔導師の一方的な攻撃が続いている。
エイルは周囲を動き回って、魔導師の隙を窺う。エイルは対魔導師対策として、ルナから魔力視の能力が付与されていた。
「・・・そこか!!」
結界魔法の核と思われる部分に渾身の一撃でを叩き込む。
『尖!』
「パキン!ガシャッ」
結界が破壊され粉々に飛び散り消えていく。
「一閃」
間髪入れず、エイルの剣が魔導師を切り捨てる。
3人抜きをを達成したのだった。
審査も文句無しの通過。剣聖の称号を獲得したのだった。
「やった!これでルナに会える。」
無類の喜びようであるが、剣聖になれた事よりもルナに会える嬉しさが上回っている印象である。
「エイルさんおめでとうございます。」
レイセルは祝福はしているものの、胸に何か引っかかりを感じるのであった。
リアルが結構当直などで動けず・・・時間も空いてしまいました。負けずによろしくお願いいたします。