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テイマーの罠

エイルたちは、ルナの心配をよそに順調に戦闘を重ねるのだが、それもつかの間で、討伐終盤になるとありえないイレギュラー個体がエイルたちを襲う。必死にあらがうがついにはエイルも魔獣の毒牙にかかり倒れてしまう。そんな危機に何とか間に合うルナ。他の冒険者とは異なる次元のオリジナルスキルを展開しての戦闘を見せる。本人もまた傷ついている身体を引きずっている状態にもかかわらず、またもや信じられない成果を上げるルナ。それでも戦闘後、レオンの約束に従いエイルの元を去っていくのであった。

エイルとアンジェ達は、ベノラ平原に到着し、オークの群れを確認した。しかし、ギルドにあった情報よりも2倍以上の数が群れていた。


 「数は多いけど、何とかなるでしょう。」


 「では、いつも通り行きましょう。」さすがにBランクの聖騎士であるアンジェは落ち着いている。


 Cランクのクレリックであるレイセルが、物理防御・魔法防御魔法をかける。


 エイルは身体強化と高速化魔法をかける。


 聖騎士アンジェも重戦士リガロはオーク達を事もなげに倒していく。エイルは周囲に気を配りながら慎重に敵を倒して行く。


 「体が軽い、さすがはエイル。効果、持続時間ともずば抜けている。」アンジェは感嘆していた。


 「利用しがいがあるな。補助魔法士としても十分に上が狙えるほどの効果だ。」リガロも納得していた。


 実際にはエイルとしては補助魔法も全力ではなく、本気でかけると生身の体では強度不足となるのだ。また高速化魔法をこれ以上強化すると、思考速度が追いつかなくなるため思考の高速化が必要になるのだ。


 当のエイルは、無人の野をかける様にオークを危なげなく切り倒して行く。


 クレリックのレイセルは優秀な治癒、補助魔法士である。ユニークスキルとして補助対象に対して、ある程度離れた場所から遠隔で治癒魔法や補助魔法を施行出来るのだ。そのため、敵から先に狙われる危険性が少なくなるのだ。


 とは言え今回のオークは比較的あたまが良く集団での戦闘に慣れている節がある。レイセルに気付いて攻撃を仕掛けてきた。


 「きゃあぁ」レイセルは悲鳴をあげるが、誰も近くにいない。


 本来は万事休すであるが、エイルが転移魔法でレイセルを護るように割って入る。


 「ウィンドカッター」レイセルに群がったオークを一掃してしまう。


 「大丈夫?怪我なかった?」


 「は、はい。ありがとうございます。」レイセルは頬を赤らめて礼をする。


 「さあ、行こう。」エイルはレイセルを護りつつ、二人で前線に入って行く。


 護りながら闘うのは、ルナで慣れていた。


 「君は、魔法に集中して!敵は僕に任せてくれればいいからね。」レイセルは完全に惚れてしまっていた。


 「分かりました。じゃあ、私を護って下さいね。」ニッコリ笑うといままでより深く集中して治癒や補助を切らさない完璧な仕事をして行く。


 順調に討伐が進み、やがて敵も少なくなってきたが、何故か後方から見た事もない魔獣が接近してくる。


 キマイラ亜種とマンティコア亜種だ。アンジェ達を見つけて物凄い速度で接近してきたのだ。これは予想外であるが魔物の速度の方が早いため逃げきれないのだ。


 キマイラもマンティコアもここには存在しない筈の魔物であり、何者かが招き入れた可能性が高かった。


 キマイラは全身に輝く鱗に覆われたスケイルキマイラ。その外皮の鱗は硬く物理ダメージは通らない。さらに魔法も弾いてしまう。無敵の防御力である。身体も原種よりも遥かに大きく、攻撃力もかなり高いと推察された。


 マンティコア亜種は、かなり特殊で異常なほどの移動速度が早く、瞬間移動能力も持っているマンイーターである。


 仕方なくリガロが打って出る。キマイラに戦斧を見舞う。


 「ガキン!」ダメージを与えられない。


 リガロは炎を盾で避けるが山羊の首から発現した風魔法で全身切り刻まれ戦闘不能になってしまった。


 かたやアンジェはマンティコアの攻撃から逃げようとしていたがあっという間に間合いを詰められて、尻尾に付いている蠍の針で刺されてしまった。


 エイルは、全ての補助魔法を重ねてかけると高速で移動しマンティコアと相対する。


 エイルはマンティコアが次に出現する場所を予測して移動。ミスリルソードで薙ぎ払うが予想以上に動きが早く捉えきれない。


 遂に背後をとったマンティコアは蠍の針でエイルの背中を貫いた。麻痺性の毒が打ち込まれ動けなくなってしまった。


 もう残るのはレイセルだけだが、攻撃手段を持たないクレリックは護りようも逃げようも無い。諦めて目を閉じる。


 ここで、ようやくエイルを見つけたルナが駆けつけてきた。本来ならルナも動けるような状態ではない。


 ルナがマンティコアの前に立ち塞がる。


 「アサシンの言っていた『あり得ない魔物』ってコイツらのことね。」


 マンティコアが瞬間移動しようと構えた瞬間、ルナの細剣が先にマンティコアの翼を叩き斬る。


 「遅い!貴方達の相手は私よ!」


 倒れているエイルに攻撃のターゲットが行かないように、敵を挑発する。


 機動速度が落ちて怯んだマンティコアが改めて瞬間移動してしまう。


 次にどこに出現するか分からない・・・


 「インペリアル・ブラッド・フィールド」

ルナは自らの血液を霧状にして周囲に自分だけの固有空間を作る。


 マンティコアがルナの背後に出現しかけた所をいち早く察知する。


 「見つけた。そこだぁぁぁ。」


 「フリージング・ラピッド・ストライク」


 出現した瞬間、全てを凍らせる高速の氷の矢がマンティコアを貫く。マンティコアは凍ったまま生き絶えてしまった。


 続いて背後にキマイラが構えていた。


 「ダークネス・スピアァ」


 キマイラの輝く鱗は魔法を弾く


 「カキーン」


 ルナは顔を顰めるが、なんの抵抗もなく次の一撃でキマイラの山羊の首と蛇の尻尾を切り落とす。


 ルナの剣撃は全てクリティカルが付加される為いかに硬い装甲の敵でも斬り伏せる事が出来るのだ。


 残ったライオンの首は炎を吐く瞬間、空いた口にタイミング良くダークネス・スピアを打ち込む。


 スケイルキマイラは倒れた。


 ほんの20分間の話だ。ルナは敵が生き絶えるのを確かめる事も無く、急いでエイルのそばに駆け寄る。


 「アンチドーテ!ハイヒール!!」


 傷を確認。蠍の毒の解毒と傷を治療する。まだ意識のないエイルを抱きしめると耳元でつぶやく。


 「エイル・・・今までありがとう。貴方はいつも私だけ見てくれてた。もう十分。もう自由にして良いからね。」


 エイルの治療を終えたルナは、静かにエイルの元を去って行った。


 「さあ、我が城へ案内しよう。」レオンは、血塗れで立っているのも限界のルナを抱き抱えると去って行った。

ご閲覧ありがとうございます。そろっと、反響が欲しいこの頃・・・

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