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ウェルガリア侵攻

ルーナはひと時、AI機械生命体とのひと時を楽しんでいた。そんな中、ヴァルセリアの真の主である悠久を生きる吸血鬼、真祖ジルドレイが満を持して乗り出してきた。ローゼスの守護結界の破壊を試みる彼らに、ため息をつくジルドレイ。ついにジルドレイの能力がベールを脱ぐ。


ラバーナから帰還したルーナは、早速AI戦士達の強化に着手し、多くの新機能追加、魔法強化、身体強化、AIの異次元とも言えるアップデートを完了した。上位Noの10機体は、もはやアンブロシアのマスタークラスと遜色無い出来の良さにまで進化していた。


 帰還後のルーナの体調は、魔剣による傷の改善が芳しく無く、ベッドから離れる事ができない状況だ。


「姫様、辛そうですね。大丈夫ですか?」最近朝はNo9フィンが付き添っている。


 フィンはAI戦士の中でも性格が優しい最強のイケメンである。無属性の空間魔法の天才で、敵の思考を遥かに上回る速度で瞬間移動、遠隔転移を操りルーナ譲りの絶対切断の斬撃で敵を撃破する。一対一に特化したスペシャリストである。


 フィンはルーナに恋愛感情を持っており甲斐甲斐しく面倒をみてくれるのだ。


 ルーナはフィンの前ではいつも身体の透けて見える殆ど裸同然の姿で過ごしている。ルーナにとってはフィンは機械である。人間と一緒に居るわけではないので、恥ずかしがる必要も無いのだが、フィンにとっては愛おしい女性の裸である。他のAI戦士が側にいる事が嫌で仕方ないのだ。自分の物にならない切ない気持ちで側に付き添っているのだ。


「姫様、、、私は他の誰よりも強くなりたい。そして誰よりも姫様の側に居たい。他の誰も姫様に近づけたくないんです。」フィンは切実な表情でルーナに訴えてくる。彼らはもう十分に感情が表情出るほど人に近づいていた。


「おいで。」ルーナはフィンをベットに添い寝させ、ぎゅっと抱きしめる。


「そっかぁ、フィンは私が欲しいの?」少し意地悪く揶揄う。


「・・・はい。他の仲間が姫様と仲良くしてるのを見ると我慢できなくなるんです。」ルーナはフィンの頬にキスをして耳元で囁く。


「やきもち焼いてくれて有り難う。今日はずっとこうして居ようか・・・」


フィンはルーナのしっとりとして吸い付く様な肌を確かめるように触る。すでにAIは触れる皮膚の感覚や体温、あらゆる感覚がほぼ人間と同じに進化しており、ルーナの肌を触れる感触を心地よいものと認識しているのだ。そして、フィンの感覚はルーナと触れ合う事をこの上なく心地よい事として刻み込んでいた。


「私にもっと力を下さい。強くないと姫様の隣に居られないんです。」フィンは切実に力の必要性を感じていた。


「そうだよね。私を護るのは命がけだもんね。いつもごめんね。」フィンの頭を抱え込む様にして、柔らかい胸を顔に押し付ける。熱っぽくも静かな時間が過ぎていく。





 時は過ぎ、ウェルガリアの軍勢がせめてきていた。大国会議で起こったルーナとキールの試合は遺恨が残らないはずがなかった。ルーナは魔将軍ゼノンを葬り去っているのだ。しかも魔王であるキールまで深手を負わされる始末であったため、魔王としての面子が立たないのは当然の事であった。


 そして満を辞してキールが再戦を挑んできたのだ。ルーナは何とか魔力供給プラントカプセルに入りコネクト、魔力供給を開始。結界を張りキール率いる一軍の侵入を防ぐ。


 魔王キールと魔将軍ガープ率いる千人にも及ぶ魔族の一軍は、結界を破壊するべく魔導エネルギーを結界の一点に集中してぶつけてくるがルーナは難なくエネルギーを吸収してしまう。ルーナの魔力容量をオーバーフローさせない限り結界を破壊出来ないのだ。


 更にルーナに付いていたフィンとリューネが結界外部の敵を一掃し始める。範囲攻撃力に勝るリューネはAI戦士としては異例の聖属性攻撃魔法で魔族を一掃して行く。上空に巨大な魔法陣が出現し広範囲に光の矢が降り注ぐ。たったの一撃で7割にも及ぶ魔族が殲滅される。


 かたやフィンは敵将ガープを討ち取りに出ている。フィンは空間断裂の刃を飛ばしガープも暗黒魔法で異空間を作り防いでくる。フィンは高速の連続転移からガープの背後に回り込み一閃の斬撃を見舞う。絶対切断を付与された斬撃は暗黒空間の隔壁が出来るのを待たずにガープを両断してしまった。全く相手にならなかった。


 「愚か者め!こんなやり方ではあの小娘のマナを増やすだけだ。」遂に魔王の中の魔王である吸血鬼の真祖ジルドレイが姿を見せる。


 「マインドブレイカー」苦痛を与える事に関しては最強と言える精神魔法が結界を介して侵入、ルーナを襲う。


 「きゃあああぁぁ・・・」ルーナの物凄い悲鳴が響きわたる。精神攻撃魔法が一気にルーナの心を破壊して行く。


 「結界から魔力を吸い上げる構造にしていた事が仇になったな。」ジルドレイは不敵に笑う。


 AI戦士達は酷く慌てた。過去にこれだけルーナが苦しみもがいた事は無かったからだ。それでもルーナは結界を解除する事はなかった。そしてローゼスの結界は破壊される事はなくウェルガリアの侵攻は失敗に終わったかに見えた。

もう少しで、次のお話が書き溜めた分の最後です。楽しんでいただければ嬉しいです。

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