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初仕事

ルーナとエイルはレベルに合わない買い物をして、新人殺しに狙われることとなる。最初の仕事もそれらしくゴブリン討伐なのに、行った先にはB級レベルを超える高位のゴブリンのモンスターハウスが待ち受ける。エイルが驚愕する中、当たり前のようにイレギュラーを倒していくルーナ。本領発揮である。

 ギルドを出ると、ドラゴンの鱗を売ったお金で二人で鎧や武器を購入した。ルナは軽く切断耐性を有する濃い青のローブと双剣。エイルはミスリルの軽鎧とミスリルソードを購入した。


 「ルナ?僕だけこんな高価な装備は申し訳ないよ。」


 「エイルはこれからすごい剣士に成長するんだから、これくらい当たり前だよ。」


 そもそもルーナにとっては重い鎧や、中途半端な魔力付与されている魔道衣は意味のないものだった。


 ルーナにとっては、エイルはただ一人の味方であり、放っておくと何処かで野垂れ死にそうなほど脆くて、なのにルーナの事を一番に心配して護ろうとしてくれる、まるで愚者であるかの様にみえていたのだ。


 兎に角ほ放っておけないのだ。


 二人で帰宅すると、その日の夕食はルナが担当。沢山肉が入ったシチューとオムレツ、白パンとサラダである。ルナは料理すら上手であった。


 「おししい?エイルの為に作ったんだよ。私、母様からいっぱい料理も教えて貰っているんだよ。何でも作ってあげるからリクエストしてね。」


 美味しそうに食事を一心不乱に食べているエイルは、ふと食事の手を止めると、ルーナの顔を上目遣いで見つめて、顔を紅らめる。


 「ルナ?なんで僕なんかと一緒に居てくれるの?」


 「ん?エイルはなんでそんな事聞くの?」


 「最初に会った時以外、僕はルナに何もしてあげてないと思うんだ。ルナってとっても綺麗だし、優しいし、何でもできる。でも僕は見合うような優れた何かを持ってない。君といられるだけの価値があるとは思えないんだ。」


 「ううん、そんな事はないよ。私を助けてくれた貴方はカッコよかったんだから。でもそっかぁ不安なのね。でも焦らないで!私が教えてあげるから。強くなれるから・・・」


 少し俯きぎみに話し出す。


 「少し考えたの・・・きっと貴方なら私に何の魅力がなくても下心なく助けてくれたんだろうなって。私はね、そんな優しいエイルがきっと気に入ったんだと思う。」


 エイルは、頬を赤らめて俯き気味に答えた。「そんなふうに思ってくれたんだ。ありがとう。でも、本当の僕は・・・(一目ぼれしただけなんだよな・・・)」


 「ねぇ、ルナのお母さんってどんな人?


 「とっても、綺麗で優しくて、誰よりも私たちを可愛がってくれる素敵な母様・・・そして誰よりも強くて賢いの。私の魔法も剣術も全部母様から教わったんだよ。生まれてからずっとね。」


 「なんか・・・すごいお母さんだね。普通では考えられない環境で生きてたんだ・・・ルナってどこかのお姫様?」


 ルナは「ハッ」っとして口を閉じると、ごまかし笑いを見せるのだった。





 「じゃ、先ずは魔法を使えるようにしましょう。」食後、エイルに魔法をかけることにした。


 食器を片付けると二人でベッドに腰掛け、エイルの額に両手を添える。


 「マナ・マグニフィケイション!」


 魔力が少なくて魔法が使えない者に対して魔力容量を拡大する魔法である。


 とても難しい魔法であり、使う事によって反作用が出る危険があるのだ。術者の生命力を奪ったり、回復しがたい苦痛を伴う事もあるなど、代償を伴う危険な魔法だ。元々はルナの母親から受け継いだ固有魔法である。


 「ぐうぅ」


 ルナは施術後強い胸の痛みに襲われ、以後苦しむ事になったのだ。





 翌朝、ギルドに初仕事を受けに行った。


 「ルナ、顔色悪いよ。大丈夫?」昨日の魔法の反作用である。


 「うん、平気だよ。」少し困ったように微笑む。


 初仕事は、簡単な魔物退治にした。ゴブリンの討伐だ。普通であれば何でもない依頼だが、この日は違っていた。


「物理防御強化、物理攻撃強化、敏捷性強化、思考速度上昇」ルナはエイルに身体強化系魔法をかける。エイルもゴブリン程度なら、上手く戦えていた。


 「よかった、うまく戦えているようだね。」ルナは安心した様に微笑む。


 討伐が進むが、ここには居ないはずの危険な魔物が混じっていた。


 具体的には、ゴブリンロードやゴブリンエンペラーなどがかなりの数で混ざっており、難易度がかなり高いミッションになってしまっていた。


 原因としては、昨日ギルドで大金を受け取る所を大勢に見られている事である。


 昨日ギルドでギャラリーの中にいた者に、エイルやルナを殺して持ち物を奪おうとしている者が混じっていた可能性があるのだ。

可能性が高いのは高位のテイマーあたりだろうか?





 「困りましたね、あんな高難易度の魔物は混じっていない筈だったんだけど・・・今回だけ私がチャチャっと討伐しちゃうね。」


 「えっ、一人で大丈夫?」


 「信用されてないな~。私本当は強いんだよ?」


 ルナは、まずはゴブリンロードから着手する。


 「シュイン!」何の抵抗もなくゴブリンロードの首が飛ぶ。まるで通常のゴブリンと対するような気軽さだ。


 ルナの剣技は特別で彼女の剣撃は自由自在にクリティカルを生み出す事が出来る。  

 攻撃力の少ないルナでも、なんの抵抗も無く敵を切り裂けるのだ。


 「ダークネススピア」闇属性の貫通型の範囲魔法である。


 「ぐおあああああ」闇の槍がゴブリンエンペラーや多数のゴブリン族たちが息絶えるか動きを止める。


 続いて瞬間移動でゴブリンエンペラーの前に転移。


 「ヒュン シュイン フィン」瞬時にゴブリンエンペラーを八つ裂きにしてしまった。


 「ダークフレイム!」続いて当たり前のように闇の獄炎が周囲の燃やし尽くして一貫の終わりである。


 想定外はあったものの、これを持って今回の依頼を完了したのだった。この戦闘では、ルーナの見たことも無いオリジナル魔法と比類ない戦闘技術にただただ驚くエイルがいた。

ご閲覧よろしくお願いいたします。

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