服従
ルナはアーシェラの力を借りて、謎のテイマーの捜索を行った。結果、所在については発見する事が出来た。決着を就けたいルナはテイマーであるアキューズの元へ向かうことにする。しかし、戦闘を想定したはずのルナにはアキューズを殺害する気はさらさらなく、あくまでも服従を要求するのだった。最高位のテイマーを殺さずに捕獲し従属させるなど、不可能と思われるミッションに身を投じるのであった。
『あぁ、あの時の魔法師君がこんな事するようになっちゃったのかぁ・・・でも、私をこんなにしちゃうくらい凄いテイマーになってるんだから、すこし嬉しいかも・・・』
アンブロシアで女王候補として魔法漬けだったルーナならではの感想である。
『でも、魔法大国の元皇女としてケジメはつけなきゃね!』
真名を知られたアキューズの居場所は古代魔法ですぐにわかった。
「アーシェラ?私一人でお仕置きして・・・」
「却下!!」間髪入れずに禁止する。
「ですよね!わかってます!私はやられた立場ですもんね・・・でも、ちゃんと後始末くらい自分でしたいです。」
「じゃ、私が観ているところで再教育して来て下さい。」
顔を赤くして上目遣いで唇を噛み締めて反論する。「だってあの子は天才よ!瞬殺しない場合、また私恥ずかしい格好にされちゃうかもだからアーシェに見られたくない・・・」
「おいおい、あのテイマー生かしておくつもりか?だめだ!!危険だ!」慌てて否定する。
「じゃ私が負ける事があったら、アーシェが助けてくれるんでしょう?」あざとくアーシェラの腕に抱きつく。
「どういう甘え方だ!なんで殺さないんだよ。」
「うーん、この子の才能が勿体無いから・・・改心させてやるんだから。」
ルーナは催淫作用による興奮で震えが強く歩く事もおぼつかない状態である。それでもルーナの膨大な魔力は自分とアーシェラをアキューズの元に転移するのに困る事はない。
ルーナはアキューズの目の前に出現する。震える身体を制しながら、アキューズに近づいて行く。
「あの時の小娘だな。もっと気持ち良くなりたいのか?」実際にはアキューズの方が3歳年上なのだ。
ふらつく身体をルーナは細剣で支えながら話し出す。「あの時はとっても綺麗な魔力の色だったのに、霞んじゃったんだね。残念・・・」
「それで、俺を捕まえたつもりか?」
「私としては、殺す方が楽なんだけど・・・どうかな?私と賭けをしない?」
「!!・・・なるほど。空間を隔離されてるね。」アキューズは逃げられない。
「私と勝負して勝てたら、逃してあげる。」
「お前相手だと手加減出来ない。死にたいのか?」
「えらい自信だね。心配しないで、本気でおいで。」ルーナは立っていられず、ぺたんと座り込んで、興奮で震える身体を抑えながら、魔力を研ぎ澄ます。
そして闘いの幕は上がった。
「インペリアル・ブラッド・フィールド」「感覚強化っ、くっっ・・・」座標を被せてとんでもない魔獣を召喚するアキューズの戦術を読んで自分の固有空間を作り、感覚の鋭敏化を行い、いち早く敵を討つつもりなのだが、催淫効果もとんでもなく増強されるのだ。
「座標確定召喚!」毒を身体中に纏ったグリーンドラゴン亜種がルーナのいる場所に出現する。
ルーナは、瞬間座標をずらして、魔剣ルネージュで斬り伏せる。ルネージュは、クリティカル発生時に絶対切断効果が付与される、ルーナ専用の魔剣である。
グリーンドラゴンも例外では無い。
「高速座標確定召喚!」
「!!!」
次々と強力な亜種系の魔物を召喚してくるが、流石にルーナは剣術最高位の剣神の称号を受けた天才魔剣士である。
高速召喚を上回る速度で移動し、攻撃を繰り出している。時には高速移動、時には瞬間転移、召喚速度が追いつかない。
そう、本当はいつでもアキューズの首を刈る事はできたのだ。
そして遂にその時がやってくる。ルーナは万を辞してアキューズの後ろに転移。首に剣を当てる。
「待ってた・・・」
ルーナが自分と同じ座標に入った時に召喚完了する様に罠をかけていたのだ。
「召喚地雷!」
「あああっっ!!」催淫のバイオレットスライムの大量召喚が待ち受けていた。
完全に逝かされた状態のルーナはもう立つことも闘う事も出来ない。アキューズの足元に崩れ落ちる。
この戦闘において、ルーナが直接攻撃しか使用しなかったことで、アキューズは自分を殺す気が全く無い事を悟っていたのだ。
アキューズは、ルーナに殺す気があれば直ぐにでも死んでいたのだ。
最後の召喚はスライムだったのだが、アキューズは、もはや強力な魔獣を召喚できる魔力も残っていなかったのだ。
気を失っているルーナを抱き上げ話しかける。
「何故あなたは、こんなに優しいんだ!こんな俺にも!!・・・・・・ごめんなさい。僕の負けです・・・貴女に従います。」あのテイマーは服従した。
おーいおーい、閲覧よろしく。たまにはレスポンスくださいよーう