追跡者との遭遇
エイルの王宮騎士入隊は決まった。しかし、王宮騎士認定試験でルナが使った空間魔法は特殊でありその影響は、ルナの追跡者に発見するきっかけを与えてしまったのだ。そして、ルーナを連れ帰るべく刺客のシーベルは行動を起こすのだった。そしてシーベルと遭遇したルナは戦闘に入る。エイルが戦線に介入するが、まったく歯が立たない。庇うルナはシーベル対して隙を作ってしまう。膨大な魔力同士のぶつかり合いが始まるのであった。
「ルナ?もう怪我は治ったの?」エイルはルナを抱きしめて離さない。
「まだだけど、慣れたから大丈夫。・・・何も言わずに出て行ってごめんね。」ルナも一応抵抗せずエイルに抱かれたままだ。
「僕も少しは強くなったから、今度こそルナは僕が護るよ。」
「それは有難いが、そろそろ私の大事な側近から離れてくれないか?」不機嫌そうにレオンが現れルナを引き離す。
「貴方は?」
「レオン・ジル・レキオン・ド・ラグシャール、この国の第二王子だ。」
「確か僕の居場所の件でルナと取り引きされた方ですよね。お世話になったのは分かりますが、ルナを返してくれませんか?」
「エイル?私が今こうして居られるのもレオン殿下のお陰なの。そんな事言わないで。」ルナがエイルを嗜める。
「ルナ嬢、エイル君はまだ教育が足りない様だから近くには置けないね。一般研修からやってもらいましょう。」エイルは宮廷騎士団の末席に置かれる事になった。
その夜、ラグシャール王国の上空から様子を伺う者がいた。
「懐かしい魔力の痕跡だ、、、ようやく見つけた。ルーナ・・・」ゴールドブロンドの緩く束ねた長髪、クリムゾンレッドの瞳、容姿の整った青年だ。
「ルナ、大事な話なのだが、、、」
「何ですかレオン?」
「どうだろうか?私の妻になって頂けませんか?」
「・・・有り難うございます・・・でも、私はここにずっと居られる訳では無いんですよ。アンブロシアの高位魔導師は成長を止める事が出来るんです。私の年齢も16歳で止められています。これから先もずっと追われ続けて生きるんです。だから誰とも一緒にはなれないんです。」
「じゃあその長い時間の一握りを私に頂けませんか?」レオンは本気だ。
「・・・残念ですが、お答えする時間が無いみたいです。」ルナは窓の外に向き直ると魔法障壁を作って自分とレオンを守ると同時にマナハーベストで魔力の最適化を行う。
「魔封装備を外す時間もなしですか・・・」
「ズドドドドォォォン」部屋は半壊した。
「迎えに来たぞ。帰るぞルーナ!」
「断ると言ったら?」
「望みとあれば力ずくでも連れ帰るさ。」
ルナは瞬間移動で城の上空へ転移、空中で対峙する。
レオンはそれを追って城の屋上にはしる。
バーンも気付いて見張り台に登っていた。
「久しぶりですね、ベル。」
「みんな心配していたぞ。」
「ご冗談を、誰も私なんか見て無いでしょう。」
「このまま、俺とアンブロシアへ帰ろう。それが一番の平和な選択だ。」
「お断りします。」
「クリムゾン・プラズマブラスト」断るや否や真紅の電撃の閃光がルナを襲う。
「マナ・リフレクション!」相手の魔法を自分の魔力に還元して跳ね返す。
「ふん、相変わらず魔力の扱いは天才だな。だが、それだけの魔封装備付けてていつまで持つのかな?」
「持つわよ、マナの効率を高めれば、いくらでもね。」
「へぇ、じゃ耐えてみな!」
「インフィニティ・クリムゾンボルテックス!」シーベルの最上級魔法の一つである赤い電撃の光球がルナを飲み込む。
「ぐあぁ・・・うぅん・・・きっっつ」ルナはその強大な魔力を吸収しきれない。
「オメガ・フォトン・バースト!」母メルティア譲りである聖属性の高出力魔法である。聖なる光が真紅の電撃を吹き飛ばす。
「メルのユニークスペルだな・・・やはりお前は帰って来るべきだな。」
レオンはその桁外れな魔法戦を見て驚いていた。「今まで見ていたルナは、全然本気じゃなかったんだなぁ、、、使う全てがオリジナル魔法だ・・・」
「空間切断付与、空間転移、『閃空』」隠れて見ていたエイルが地上からシーベルの正面に転移して絶対切断の剣技を炸裂させる。
「ディメンション・シールド」
「ギギィィン」シーベルはギリギリで気付き空間隔壁を張って防いだ。
「ほぅ少しひやっとしたな・・・」
シーベルはエイルを見やると高速多段攻撃を撃ち込む。「インテグラル・プラズマレイン」
「ドガガガガァ」大量の土煙りの中、エイルが倒れている。
シーベルは、トドメを刺そうとしている。
「エイルっ」ルナがエイルの前に転移する。
「シーベルが魔法を放つインフィニティ・クリムゾンボルテックス!今度はエイルが一緒なためオメガ・フォトン・バーストで弾き飛ばす事が出来ない。
「ディメンション・シールド」エイルを中心に空間障壁を張る。
「マナ・コンフュージョン」シーベルはルナの防御術式に脆弱化構成を混ぜ込ませる。かなり高度な魔法だ。シーベルの魔法技術の高さがうかがえるのだ。
「マズイ、壊される。」
「パキン!」ルナは間一髪、エイルを抱えて離れた場所に空間転移で逃げる。
エイルは電撃による貫通攻撃で全身深部にも及ぶ火傷でひどい状況。
「エイルしっかりして!今直すからね!」
「クリティカルヒール」ルナは最強回復魔法を施すが、すでにシーベルが眼前に出現しすでに完成している魔法構成を掲げて立っている。
「このまま、闘争を続けるならこの男の命も保証できないが、どうする?」
シーベルはアンブロシアでも最強の魔道マスターである。その高出力攻撃に確実に対応してくるルナの能力を恐れていた。しかもルナは魔封装備を目いっぱいつけた状態であり、実際の魔力は数十分の一であるにもかかわらず、互角に戦えるという事実を再確認していた。
・・・ご閲覧よろしくお願いいたします。さみすい・・・




