レオン帰還
静養中のルナの元に、レオンが返ってきた。なぜか第一王子のバーンも戻ってきており思いもしない状況での帰還だった。そこではルナを傷つけられた怒りに満たされたレオンと、今まで自国にないがしろにされ続けたバーンと次期王太子をめぐる画策をもくろんでいた国王ラグナスは一時は玉座を手放す覚悟をする。そんな中、重傷を負って静養中のルナの譫言からからその出自が明かされる。驚くふたりの今後の動向や如何に?
レオンが帰城した。
不在の間に起こった状況の説明を聞きレオンは激怒した。
「私の大切な側近にこれ程勝手な事をするとは許せん。」レオンが可愛がっている側近に冤罪を被せて、酷い暴行を加えたのだ。
「そんなに大事なら何故一緒に連れてかなかったんだ?」バーンがツッコミを入れる。
「・・・兄上、この度は本当に有り難う御座いました。兄上が助けてくれなかったら、ルナはどうなっていたか分からなかった。」
レオンが真摯に頭を下げる。元々レオンとバーンは性格も全く違っていて、あまり仲も良い訳ではなかったが、特に確執があった訳でもないのだ。
「後で父上から話があるらしいから、また後でな。」
レオンはルナに会いに行くが、自室には居ない。散々探すと何故かバーンの部屋で療養している。
「お帰りなさいレオン。あぁやっと帰って来てくれた・・・嬉しい・・・」フラフラとベッドから起き上がりレオンに抱き付く。
かなり憔悴した表情をしてはいたが、可愛らしい笑みでレオンを迎えたのだ。過去あれだけ凛として、誰にも媚びることのない立ち振る舞いとオーラを発していたルナが、まるで飼い主に再会した子犬の様になってしまっていたのだ。
「すまなかった・・・私が城を留守にしたばかりに、辛い思いをさせたな。」レオンもルナを抱きしめる。
「ところで何故ルナが、兄上の部屋に居るんだ?」
「バーン殿下に命を救っていただいてから、この部屋で匿ってもらって居たんです。何より安全ですし侍女もつけていただいたので快適です。」くるりとバーンを見やると、にっこりと笑う。
「どうだ?レオン!王太子は譲ってやるから、この娘は俺にくれ!」バーンはかなり本気である。
「だめです。私の大切な側近ですから譲りませんよ。それこそ、兄上に王太子は譲りますから、ナースラスのシーラ様とでも婚約してください。」
「あれレオン、お前今回シーラ嬢と婚約して来たんじゃ無いのか?」
「何言ってんですか。断って来ましたよ。」
「あーあっ親父に怒られるぞ。」
「バーン殿下、レオン殿下、陛下がお呼びです。」
レオンはかつて無いほど怒っていた。
「父上!今日ほど貴方を腹立たしく思った事はない。何故ルナにあそこまで酷いことをしたのですか?あの娘は、ただ自分の怪我を治そうとしていただけなのに、あんなつまらない嫌疑をかけてまで、どうしてあそこまで酷く傷付けたんですか?」
「あやつはレオンお前の心を惑わせる。」
「父上、貴方は判っていない、あの娘はあの状況からでもやる気さえあれば城ごと全て消し飛ばすことだって出来たのにあえてしなかった。それは、全て私に迷惑がかからないようにするためだ。あんなになるまで我慢してくれたんだ。」
「何故そんな事がわかる。」
「それは、あの娘がっ・・・」
「まて!その先は言うな!」突然バーンが会話を遮った。
バーンも話を続ける。
「親父殿、いつも考えていたんだ、俺はレオンみたいに期待もされていないのに何が楽しくてあんたのいう事をきいて来たのかな?もういいよな。俺はもうこの国の王位なんてどうでもいいんだ。俺は今日でこの家と縁を切らせてもらう。」
「まっ待ってくれ兄上、貴方がいなくなったらラグシャールはどうするんだ?」レオンは慌てた。
「お前にやる。」
「いらない!今は良く分かっている。僕が欲しいものはルナだけだ。」
「・・・わかった。今日で私は、王位を返上しよう。後はお前達二人でこの国をどうするか?決めると良い。」何かを悟った様にラグナスは自らの足で玉座を降りた。
「兄上、さっきはなぜ、私の言葉をさえぎったんですか?」
「なぁレオン、お前ルナが魔法大国アンブロシアの王族である事・・・知ってただろう。」
「・・・だけど、兄上こそなんで知ってるんですか?」
「ルナを助け出した時、うなされてアンブロシアの名前を口に出してたんだ。後は推測だ。」
「じゃあとで本人にも改めて詳しく聴いたほうがいいな。」
また久しぶりですみません。本日もよろしくお願いします。




