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新たな一歩 (カーマイン大陸編)

魔法大国アンブロシアの第一皇女ルーナは、双子の妹セイラとの決闘に勝利し仮にも自由を手に入れた。それでも母国が他国への亡命を許可するわけもなく逃亡生活を送る事となった。逃亡先はアンブロシアとは裏側に位置するカーマイン大陸はラグシャール帝国。ルーナはまた新たな出会いを繰り返していくのだった。

その少女は、血塗れで身なりもボロボロで今にも倒れそうであった。


 そこはカーマイン大陸は大国であるラグシャール帝国で2番目に大きな街セイビルである。


 少女はある国からいくつもの国を中継して移動してきた。


 「もう、限界。ここまで逃げれば追って来れないよね。」セイビル中心街の路地裏で自ら治癒魔法をかける。身体の傷は癒したが、急いで逃げて来たため着がえも無ければお金も無かった。魔力も殆ど残っていない。


 『あぁせめて準備してから出てくればよかったかなぁ・・・』


 ボロボロの姿のまま少しだけ青空を見上げて放心していると、周りを見知らぬ男達に取り囲まれている。


 「そんな姿のままこんな所に居ると、悪い人達に連れて行かれるよ。」奴隷商人である。

 

 「お構いなく、少し休んだらギルドへ行くつもりですので。」


 「じゃあ俺たちが案内してあげるよ。」顔に傷のある大男が手を伸ばしてくる。


 「触らないで!」


 手を払い退けるが服を掴まれ乱暴に吊り上げられてしまう。


 フードが脱げてしまい素顔が露わになると男達からどよめきとも歓声ともつかない声が上がる。


 そこには淡いアイスブルーの髪、透き通ったブルー系の大きな瞳に、幼さを残すが比類なき美貌がそこにはあった。


 「こっこれは・・・掘り出し物だ。」男達は歓喜する。


 掴まれていた服が裂けて上半身は裸になってしまう。慌てて両手で大きく形の良い胸を覆い隠す。


 「うおおおおおおっ」男達の歓声が上がり、我慢できなくなった男達が襲いかかる。


 「いっいやあああああっ」


 少女の悲鳴が上がる。咄嗟に地面に落ちている木の棒を手に少女はフラフラと立ち上がる。片手で胸を隠し、余った手で棒を男達に向けて振りかざす。


 その場は暫くの間、悲鳴と怒涛の叫び声が響いていたが半時もすると静かになっていた。


 男達が折り重なり倒れている横にボロキレを纏って座り込んでいる少女がいた。


 騒ぎを聞きつけて現われた若い青年が驚いて少女に駆け寄ってきた。


 「キミっ大丈夫?何かされたの?」


 「・・・はい。大丈夫です。」


 「行こう!警備兵が来る前にここを離れなきゃ。」


 「・・・わぁ!」少女は青年に抱きかかえられやっと動き出したのだ。


 「僕は新米冒険者のエイルと言います。君は?」


 「・・・有り難うございました。東の果てにある大陸から来ました。そしたら大きな男達に捕まってしまって・・・エイル様は冒険者なんですよね?もし良ければ私もギルドに連れて行って頂けませんか?」


 「良いけど、君も冒険者になるつもりなの?」


 「はい・・・これからは一人で生きて行かないといけないので。」


 「そうですか・・・でもその格好ではギルドには行けないから・・・少し待ってね。」


 エイルは自分の住んでいる小さなぼろ家に連れて行ってくれた。


 「とりあえずこれに着替えてくれる?」


 少女に自分の服を手渡してくれた。上等な服では無いが一番綺麗なものを渡してくれた様だ。


 「有り難う・・・優しいんだね。」少女はこの国に来て初めて微笑んだ。


 この時点で疲れ切っていた少女は服を着替えるとエイルにもたれかかって眠ってしまった。 


 その後三日間眠り続けた少女はようやく目を覚ました。


 「・・・」じっと今ある自分の置かれた状況を整理していた。


 「あっやっと起きたね。具合は大丈夫?お腹空いたかな?あんまり、美味しく無いと思うけど朝食にしようか。」


 「うん」テーブルには温められた野菜スープと硬い黒パンが置かれている。


 「いただきます。」


 「ねぇ、まだ君の名前聞いてなかったね。」


 「・・・」少し考えて答える。


 「ルナ・・・です。」


 「可愛い名前だね。歳は?」


 「15歳」


 「へー成人してたんだ・・・そうだよね。ルナは綺麗だし。」


 「・・・有り難う。エイルは一人で暮らしているの?」


 「うん、昨年の流行病で両親が死んでしまったんだ。」


 「ごめんなさい・・・」


 「大丈夫、気にしないで。もう慣れたから・・・ルナはこれからどうするの?」


 「うん、まず自分で身を立てないといけないので、冒険者になろうかと思っています。」


 「ルナの職業ってなに?」


 「魔法剣士・・・かな・・・」


 「えー珍しいね、でも魔剣士で冒険者で成功してる人殆どいないから、パーティの誘いもないし不味いんじゃないかな?」


 「うん、いいの。一人で・・・」


 「そっか・・・それじゃギルドに行く準備しよっか。」エイルは、いざとなれば、自分がパーティに誘うつもりでいた。

新しい新展開が始まります。ご閲覧よろしくお願いいたします。

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