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夢物語~sin of happiness  作者: finalphase
第3章 僅かな希望
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Episode20 暗闇の中の光

清水真由美は玄関のドアを閉めるとため息をついた。




真由美農家ない気持ちを象徴するかのように、哀しい風がどこからともなく吹き抜ける。




夏が終わって、季節はどこか寂しげな感じがする秋に移り変わっていた。




旦那の和夫が職を失ってから、約1か月が経つ...




まさかこんなことになるなんて...




失業してからは鬱病を発症し、病院に通う日々...




家庭の生活費を1人で賄わなければならないなんて、精神的にも体力的にもきつい...




40代の中盤に差し掛かろうとしている身体が悲鳴を上げている。




真由美は高学歴で、家庭の生活費を何とか賄えるというのが唯一の救いだった。




まさか、あんな精力的に仕事をこなしていた旦那がこんなにも無気力になるなんて...




病気って、恐ろしい。




鬱病・・・




この言葉を聞くと、未だに心の病気というイメージを思い浮かべる人も多い。




でも、実際は違う。




鬱病は脳の病気だ。正確には脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが原因で引き起こされる病。




脳の病気なのだから、気の持ちようなどで治るような代物ではないのだ...




「私は脳の病気ではないのだから、気持ちを前向きにして生きよう」、心の中で自分に訴える。




好きな短歌がある。




「面白きことも無き世を面白く住みなすものは心なりけり」




これは幕末期の尊攘・討幕運動の中心人物の1人である高杉晋作の言葉である。




特に面白いことも無い世を、面白く感じられるかどうかは気の持ちよう次第だ、という意味だ。




そう、気の持ちようで世界はいかようにも変わるのだ。




素敵な歌だなって思う。五七五七七のリズムもこの歌の良さに拍車をかけている。




五七五七七、気持ちの良いリズムだ。




これも真由美が単価が好きな理由の1つだ。




その時、家で休養中の旦那の和夫の心の中に目を付けたものがあった。




むろんそれは上条たくとという人物であることは言うまでもない。




「死ね、バカ、アホ、アホ、その不幸、俺が奪ってやる。」




和夫の心から不幸が吸収され、化け物の形になった不幸の残骸が現れる。




すぐにデューグリュックたちが駆けつけた。




「マジカルトランスフォーマー!」




「スタイルチェンジ!」




「ラブリエチェンジ!」




ほのかと恵理と湊音、そして先日現れた謎の少年、一ノ瀬海翔が一斉に変身する。




心の中には深い闇があるだけで、他には何もない。




この空間から感じるものは、まさに"無"...




「これってまさか」、とほのか。




「そう、鬱病を抱えている人の心の中さ。」とセイちゃん。




恐竜のような鋭い牙を持った不幸の残骸が私たちに襲い掛かる。




「意外と強そうだな、でも僕にはかなわない。サグレットアタック!」




虹色の光を浴びた不幸の残骸は後方に退いた。




「マジカルフラッシュ!」




恵理の攻撃が不幸の残骸の目を捉えた。




「みんな、今だ!」と少年。




「マジカルツインレインボー!」




「マジカルソードブレイク!」




3人の攻撃が不幸の残骸に見事に直撃する。




それは火の弾のように燃え上がると、光となって消え去った。




「これから君たちのことは、この僕が鍛えてあげるよ。」




少年はおもむろにそう言い放った...






次の日、和夫は次の仕事を探し始めた。心の中の不幸が消え去ったことによって、生きる気力を再び得たのだ。




なぜ急にやる気になったのかも、これからどうなるのかも、真由美にはわからない。




けれど、今まで感じていた不安の中に一筋の光が見えた気がした...

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