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夢物語~sin of happiness  作者: finalphase
第2章 不幸な側面
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Episode17 時を超えた芸術

デストロイアは目の前にある花を全て摘み取ると、姿を消した。




向かった先は一般市民の自宅である。




デストロイアは家の住人を脅して内部に侵入すると、2種類の花で別々の薬を作った。




デストロイアに恐怖し、特に抵抗もしなかった家の住人にがくが下向きの花で作った薬を飲むように命じると彼はあっさりとそれに従った。




30分ほど経ったところで、デストロイアは彼に尋ねた。




「1+1は?」




「1+1? あれ、なんだっけな。そもそも1ってなんだ...」




簡単な計算も出来なくなった家の住人を見て、デストロイアはこれがフーリッシュフラワーだと確信した。




ということは、もう一方がフォーアッシュフラワーで間違いなさそうだ。




デストロイアはイデアとミラクのもとにも姿を見せると、彼らに告げた。




「お前に良いことを教えてやろう。がくが上向きの花がフォーアッシュフラワーだ。」




「何で敵にそんなことを教える?」




そう尋ねるイデアに彼は言った。




「お前らは弱い存在だからな。少しはハンデがないと面白みがないだろ... 俺がこの情報を伝えなければ、お前は永遠にフォーアッシュフラワーにたどり着けなかったかもしれないぜ。」




イデアは内心苛立っていたが、「そりゃどうも。」とだけ言って立ち去った。




一方、ミラクはフォーアッシュフラワーとフーリッシュフラワーの両方を摘み取り、梨乃のもとに帰った。




梨乃にデストロイアからどちらがフォーアッシュフラワー化を教えられたことを伝えると、梨乃は顔を顰めた。




「あいつ多分過去の人を実験台にして薬を飲ませたのよ。とことん卑怯な奴ね...」




「そんな。」




「あいつは昔からそういう奴なのよ。そう、ミラクがあたしの心の中から出てくるずっと前から...」




そう、ミラクが外の世界に出てきたのは未来の世界で梨乃がデストロイアと闘う少し前のことなのだ。




突然得体が知れない生き物が出てきて驚いている梨乃に自己紹介をした後、ミラクはこう言った。




「残念ながら今の状態で君がデストロイアと闘っても勝てる確率は限りなく低い。過去に行ってデストロイアを倒す方がまだ可能性はあると思うな...」




この時、梨乃は「それは最終手段よ。」と応えた。




実際、ミラクの忠告通りの結果となり彼女は最終手段を選んだ。




梨乃はあの時からデストロイアの卑怯で卑劣なところが嫌いだった。




人を平気で傷つけたり利用したりして、なんとも思わない最低な存在。




そんな彼は勝つためには手段を選ばない。




梨乃はデストロイアのことを思い出して気分を阻害されたように感じた。




梨乃には、今週末楽しみにしていたことがあるのだ。




それはこちらの世界で初めて演奏をするということ。




日曜日にとあるピアノのコンクールに出ることが決まっていた。




未来の世界にはピアノという名前の楽器はない。




その代わり、それに近いものとしてプリパという弦楽器があるのだ。




彼女は幼いころからその演奏で頭角を現しており、その実力はプロのプリパリストにも評価されるほどであった。




今回は楽器がピアノということで、プリパの時とは少し違う感覚が必要かもしれないが、それでも音楽を奏でられるというのは喜ばしいことだ。




時代や楽器が変わっても、変わらぬものがある。




それは、かつての偉大な作曲家や演奏家によって紡がれた歴史の上に立っている時代を超えて人々の心を魅了する音楽...




「あたしもいつか歴史に残るような演奏をしてみたい」というのが梨乃の密かな野望であった。




上条たくとはこの前の闘いで手ごたえを掴みつつあった。




間隔は掴んだのだから、今度はもっと大きな不幸を奪ってみようと決意し、日々不幸を探す毎日を送っていた。




と言っても外に出ると変な目で見られることが多いので、全世界の心のイメージを思い浮かべて不幸が多そうな心の中に入るという作業を繰り返していた。




ある時、彼は自身が望んでいたような真黒く染まったとても不幸な心を見つけた。




「バカ、バカ、ブス、死ね、その不幸、アホ、俺が奪ってやる。」




真っ黒な心から吸い取った不幸はとても多かった。




当然、不幸の残骸も巨大となる。




その身体は鎧をまとっており、とても固そうであった。




暫くすると、ほのか、恵理、湊音の3人が心の中に駆け付けた。




「マジカルトランスフォーマー!」




「スタイルチェンジ!」




彼らがデューグリュックに変身した。




たくとはデューグリュックたちを見て姿を消した。




湊音が剣を振るうが、その一撃は見事にかわされた。




「マジカルスラッシュ!」




ほのかの攻撃も意図も簡単にかわされてしまう。




不幸の残骸の隙をついた恵理が後ろから銃を撃ち込んだ。




「マジカルフラッシュ!」




だが、銃弾はいとも簡単に跳ね返される。




こうなったら、3人は合体技を試みた。




「マジカルソードブレイク!」




「マジカルツインレインボー!」




3人の合体技は見事に不幸の残骸に直撃した。




だが、次の瞬間、その攻撃は3人に向かって見事に跳ね返ってきた。




デューグリュックたちが吹き飛ぶ。




彼らは気を失ったように見えた。




その様子を見ていた梨乃は呆れた顔で言った。




「あの子たち、1対3なのに何やってんのよ。仕方ない。あたしが倒すしかなさそうね。」




そう言って、隠れてデューグリュックに変身する。




「ミラクルフィーチャーチェンジ!」




そして、不幸の残骸に立ち向かっていった。




強烈なパンチとキックを浴びせて不幸の残骸を吹き飛ばす。




その時、不幸の残骸に向かってどこからか飛んできた銃弾が直撃した。




梨乃が後ろを振り返と、銃を持ったデューグリュックが目に映った。




不幸の残骸から攻撃を跳ね返された際、恵理は瞬間移動の能力を使って攻撃から逃れることに成功したのだ。




姿を見られたことに内心焦りつつも、梨乃は不幸の残骸に向かって必殺技を放った。




「ミラクルフィーチャーフィニッシュ!」




梨乃から放たれた弓は不幸の残骸の鎧をいとも簡単に貫通し、不幸の残骸は一瞬で光となって消え去った。




恵理が目の前の少女の強さに驚きながら尋ねた。




「あなた何者?」




梨乃は恵理に向かって微笑むと空中から姿を消した...





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