爆買いジェットコースター
不本意ながらドラゴンの体液をたくさん集めた。
いや、本来ならこの手間をかけるつもりはなかった。
もなかちゃんはまだ、この変身能力をコントロールできない。
「三国志って知っている?関羽は骨が削られても全く苦痛の色が見えないのよ」
「もう普通の女の子に戻れない…」
いや、その…ドラゴンと契約した時点で分かって来いよ。ほうきを使って荷物を送るではないんだから。
「セールスマンでしょ?笑顔をはって人生の波瀾万丈と戦えないのなら、いっそヤ〇ルトの仕事もやめたら?」
「それは絶対にやめない」
彼女は何とか気を鎮めた。
ヤ〇ルトってこんなに不思議である飲み物なんて知らなかった。
「髪が抜け始めている?それはつけないとね。先輩ちゃんはまだ20歳にもなっていないでしょ?」
一線を越えて、彼女の髪を触ってみた。
「ちょっと気持ち悪いだけど…馬の毛づくろいの話じゃないわよ。それにドラゴンは髪抜けにこだわる必要性を感じないけど」
「ヤ〇ルトレディをし続けるには身なりを整える必要だもない?」
「むむむ…」
彼女のミサイルが不発になった。
「…働かない人に言われたくはないわ」
しばらくしたら、やっと返しの文句が来た。
「2000億円が解凍できたら、働かなくても、幸せに暮らせる」
「私たちは幸せになるためにうまれたわけじゃない。」
お金があれば、彼女のヤ〇ルトレディの仕事を辞められてかまわないところか、野球のヤ〇ルトでも会社のヤ〇ルトでも余裕に買えるのよ。人の価値観を宙にぶらりんにしているわけにはいかない。だが、暴走するドラゴンのジェットコースターに乗って来た僕に、反論する意欲もない。なんだかの串を食べた?それは100年前だそうなことだった。彼女とずっと前からつきあっていたのような気もする。こういうことは遥かに遠いようですぐ先にあったことのようだ。 どうやってドラゴン姿の彼女の背中から降りたのかも覚えられなかった。
「こんなに多く宝物があっても、酔い止め薬にはならないんだ」
異世界で女の子のの背に乗って乗り物酔いになったことなんて、なかなか経験できないのだろう…
「酔い止め薬?ちょっと待って、持ってくるわ」
現実世界で一番欲しいと思う能力とか持っているのに、なぜチートや無双はしないのかよ。
僕まで、彼女の代わりに焦っている。
「ついでに缶ビールを買ってくれる?」
「調子に乗るじゃないわよ。またヤ〇ルトの売り上げをつけてもらいたい?」
また数千億個のシロタ株乳酸菌が僕の腸を植民地として支配することを想像したら、ドキドキし、汗が出て、手が震えたりしたまらなくなる。
「アクジョ…アクジョだ」
「まいどあり!」
正体がドラゴンのヤ〇ルトレディが営業用の笑顔をしたら怖い説。それは本当だ。