表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/28

桁違いじゃないか

もし人の柔軟性や機敏さの優れたタイプでない人なら、この微妙な雰囲気は多かれ少なかれ自らの気分を害し、不快にさせるだろう。なぜかというと、いま、まさに異世界人と談合しているから。

言葉が通じないが、どうやらキッチンの食材が誰かに盗まれたようだ。村人が互い庇うから僕をとがめたにしか見えない。外に来た怪しい服の着た人間は、身代わりに最適な素材なのだ。


通訳のドラゴン娘がいないのなら、なんとか自力で身を守るに努力しないとなぁ。

それを避けるか、全力疾走を続けるかを考えさせる時間すら少ない。もし失敗したら、尻を打つ刑を受けるのは未だしも、最悪の場合、首刎ねの刑に処されることも考えなければならない。


僕は彼らに断れない条件を出すつもりだ。

スマホの画面を明るくして、ライトも付いて、般若心経の内容を低語して、遠方からの祭司を演じたら?

向こうもビビったようだ。

待って、真犯人がこの場にいるのかも。

部屋の隅っこに、リネン糸がくちびるについているやつがいる。この時代の平民は、リネンをナプキンとして普段から使っていると見えない。

料理人にとって包丁を拭くものでもなさそう。


僕は隅っこに立った男の子を人たちの前に連れ出した。彼の顔を指差して、拍手をした。

男の子は店主の親戚とかかも。しかられただけで、その後は何もなかった。いい夜食もただでおごってもらった。


暇つぶしに、異世界の本を解読しながら、ドラゴン娘を待つ。

日本に戻ったら、街路灯とLEDとネオンの溢れた町に逆に酔いが出た。


僕は手持ちのUSBメモリーをじっと見ている。僕が握っているのは2000億円だぞ。そのパスワードを解けてら、この町から半径100キロの不動産を買えるかな。東京にも買えるかな。泉野の国でも作れるのかな。

妄想に夢中になった僕が、ガラゲーを使っているドラゴン娘に日雇いバイトを勧められた。彼女が勝手に僕のスマホを奪って、電話して、応募までした。


翌日、僕が黒いズボンを穿いで向かった先は、軽作業だった。数時間がグラーグの刑務所で数年間も拘束されたと感じてしまう。そして、手取り額が驚きの5300円だった。


疲れた僕はドラゴン娘からヤ〇ルトを買わせられて、また異世界に送還された。

弱さや無知は生存の妨げにはならない。妨げるのは傲慢だ。


「私、今日、非番だわ。一緒に探索しよう」

数日ぶりにドラゴン娘との異世界での共同行動、待つのをお楽しみと自己催眠しかない。

「あ、それ、食べたい。泉野さんも食べる?」

「自分のお金を使うのに、なぜ僕に聞く?まさか僕を主人と認めてくれているのか」

「そっか、泉野さんって、ドラゴンの爪楊枝になりたいの?」

メンヘラ女と異世界で大金持ち生活を送る。そう考えたら悪くないかも。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ