飲み干すより売るんだろう
不条理なのは僕たちの生きた世界であり、一見悪いのファンタジーな世界は、実は僕たちの現実生活よりそれほど悪いものではないかもしれない。
「今日の売り上げは2270円…私の取り分は…」
少女が自分のガラゲーを開け、ボタンを連打した。
「454円か」
「お姉ちゃん、闇バイドに興味ない?街を守るヒーローになるのとか…」
「あ、言い忘れたわ。私は餅中もなか。…そんな話、有り得ないじゃん。それに、不義の財を得てはいけないと…」
「泉野わたる。この洞窟にある財宝を換金できれば、少しは余裕が出るじゃ。相続したものだし。日本の民法も、あ、申告しなくていいじゃん、異世界にの財産への相続税申告なんかはないから」
私は少女の宝物庫に目を向け、金と宝石で埋め尽くされた洞窟を少し複雑な念で見つめた。
「よっしゃー!消費期限のあるものを僕のところで付けて、一緒に飲み分けよう。そして、この世界を探索しようじゃないか。」
「慎重に計画したほうがいいわ。異世界って危ないじゃない?」
「何を言っているのよ、ドラゴンさん。あ、次はマスクを持て来た方がいいかも」
わけわからんで意地になった少女はどこかに大きい金の塊をとって油性ペンで何かを書く。
「借用書 金42770円 〇月〇日 この左下にサインして」
ヤ〇ルトってそんなに高いのか。
「あ、この世界で行商人をやりながら探索しよう。もなかちゃん、ボディーガード役、頼むよ」
「初対面の人にくっつくな!せめてさんって読んでよ」
「僕は営業しているけど苦戦になるから接客のこつを聞いてみようかな、もなか先輩」
「先輩…わかったわ、サポートするよ」
ちょろいもんだ。
洞窟を出たら、森の中だった。昼間で、光が木の葉の間から透き通ってくる。木洩れ日という単語は彼女に通じなかった。
「あ、バッテリーの消費を節約するために、電源を切ったほうがいい。どうぜ圏外だから」
これは現代人の常識だ。彼女が従わない理由はない。
2人は数十分歩き続ける。彼女をドラゴンに変身させて飛ぶ考えは彼女に強く否決されたから。
無事に森を出て、煙の見える村があった。どうやら野獣やモンスターは僕たちを敬遠しているようだ。
「すみません」
「ハァンテン、クアバラ?」
異世界なのに、言葉が通じない?よく考えたら、通じないのは普通だった。異世界小説を信じてはいけない、なんて当たり前のことを自分に強調しているんだよ。
「マブハン、カカャラミン」
「どうして異世界の言葉を分かった?」
「なんとなく…え?私、異世界語をしゃべった?」
ここでもなかちゃんだよりしかないか。せっかく大学で学んだ心理学の知識を彼女の前でアピールしたかったのに。
村人が熱意あふれるように、宿まで案内してくれた。宿がホテルレベルではない、簡易宿泊所ところか。まあ、僻地の村が客を招待できたらありがたい。
「お金がない…どうしよう…」
悩んだ彼女の横を通って、僕はドヤ顔して、ふところから洞窟で適当に拾って磨いた、キラキラな金貨をカウンターに投げる。なんとか僕のイメージを取り戻した。