アミューズメントダンジョン
「もなかちゃん、中卒とはいえ、体育会系の性格があるのね。特に気合や根性などの精神論がそっくりだ」
「そうかしら?」
「あたし、最初は不安でしたけど、先輩の指導を受けて頂いて、とても嬉しいです!先輩はすっごくかっこいいです!」
「いやー、そんなー、照れますよ」
戻ってきたらドラゴンとミミックがお互いヘルメットを使って水掛けしていた。
「よく免疫力を訪問販売していたのな。そもそも免疫力がかなりあるじゃない?ドラゴンとして」
「うちはラーメンや化粧品とかも売っているよ。今は異世界にいるから見せられるサンプルはないけど」
「って、そんなのも売っているの?」
「こういうこと、毎回言われるのね」
「このサワークリーム、甘すぎて水っぽいよ」
アナスタシアがヤ〇ルトを黒パンに塗って食べようとしていた。というか、どこで黒パンを取り出した?どんな仕組み?
「っていうか、今日は次の集落にまで行って、もなかちゃんも帰って元の世界の生活を送ればいいのに。ここに長く留まって、モンスターも異世界も健康にっていう旗を掲げたいのか?」
「なんだかんだ言って人と接するのが好きでないと勤められない仕事をしているのだから、人に接しているのが苦手な後輩を見て、どうしても指導したい気持ちが収まらないから」
「接していたのはミミックだけど?」
「ミミックでも乳酸菌…必要かな?」
お茶番のすえ、3人分の通年パスが買わされた。いいえ、この世界では僕なんか収入がない。もなかちゃんの守っている財宝から金貨で払ったわけだから、僕では彼女が買ってくれたっていう立場?
ダンジョンに入った。え?ダンジョンってこういうことだったけ?抽象美術の壁画がずらりと並んでいる。異世界語の解説の紹介文までついている。
「こちらへどうぞ」
暇つぶしなのか?それともノルマ達成だったのか?ミミックが僕たちと一緒にダンジョンの中に入った。
「お!これは動かしたいなぁ」
アナスタシアが泥の球を転がして、三角形と並べられる複数の埴輪っぽい柱を倒した。これはまさに…クレーンゲームが現れないのだろうね…
「違います!そうではありません!」
ミミックが伏せて、どこで見つけたかわからない巨大なスティックで泥の球を転がした。ああ、そういうプレイの仕方と思いきや、泥の球が跳ね上がって、ダンジョンの天井に吊るしたネットの中を通って落ちてきた。
「そっちかよ!というか、毎回泥の球を握るのか?」
「素晴らしい。本当に素晴らしい! ここに長く生きていても、こんな美しいゴールインなんて見たことはない。」
アナスタシアがつい思わず拍手した。それは純粋にお茶目なものだったが、この拍手によって、少し厳威さが増えた。
「こんなうす暗いところに歩くのなら、ヤ〇ルトをせめて一本くらい飲んでくれたらいいのに…あ、在庫がない、まあいいわ」




