ドラゴンの背に乗って(冷や汗)
「イワンのばか、こっちに来て」
「なに?」
「今夜はカエルでソリャンカにしない?」
アナスタシアが発酵した魔草を握ってこっちを向いている。
「遠慮…します」
「いいじゃん!食べたら死ぬわけではないから。ハリコフ大学の学食に出されたものよりまずい食べ物なんかまずないから」
ネットフリックスに契約していた時にもっとマン・ヴァーサス・ワイルドを見たらよかった。ソリャンカという僕が知らない料理はキングコブラのさしみに見える。
この時、大量のヤ〇ルトの商品を載せたドラゴンが飛んできた。
「所長の発注ミスを買いまくったわ。これで私の売り上げが上位にランクインするのだ」
「いかが?」
人間の姿に戻ったもなかちゃんが1本のヤ〇ルトのふたをはがしてアナスタシアに渡す。
「これは…サワークリームの味!イワンのばかもとんでもない友達がいるのね」
アナスタシアが一刻も迷わず魔草を捨てた。
「あとこれ、ゴミと思わないでください。何でもできるのよ」
もなかちゃんが飲み終わった容器や包装など大量のプラスチックを一か所に集めて、ドラゴンに変身して火をつけた。プラスチックが加熱により軟化してきた。
ドラゴンの爪がノンストップでプラスチックをひねくり回す。どうやら船をつくる模様。
「まあ、何と言ったらいいか。」
無力感が抜けない。何なんだろう。あ、お腹が…女子を避けて御通じにいかなきゃ…
戻ったら、いつの間にか2人はすでに木で削った恵比須様と木で削ったマトリョシカを交換している仲となった。
「船長、指示してください!」
もなかちゃんが適当に木を削ったオールを僕に軽く投げてきた。
「でも、ここは森の中だぞ」
「心の中に海があれば、どこでも航行できるんだ」
「いや、できないんだろう!」
「こうならどう?」
もなかちゃんがドラゴンに変身して、アナスタシアにプラスチックの船を自分の背中にふじで結ばせた。
「ミチェヴォ セベ !」
向かい風で髪型がみだれたアナスタシアが船の先端に立って腕を広げて叫んでいる。そう、僕たちがドラゴンの背に乗って飛んでいる。映画タイタニックで有名なシーンっぽく見えるが、僕は彼女を掴む勇気がない。まあ、彼女がその映画が上映した時代より早くこの世界に飛ばされたこともあるから。そうだよね!
「ねぇ、泉野さん、日本に戻ったときに適当に調べたけど、泉野さんって女神にあってた?経験値とかのパネルが見える?冒険者ギルドとかに登録するとかした?」
それは異世界小説!待って、話しかけてくるドラゴンこのときが積乱雲に向いて飛んでいるって?!
「もなか、ちゃんと前を見て!」
「ドラゴンの娘よ、キリル文字エルに右方向10度ずらして」
「いや、キリル文字って、彼女ところか、僕でもわからないってば」
「私を軽く見えた?小学生でもわかる!エルはレモンのエルのだ!」
「メーデー!:航空機事故の真実と真相」に異世界編が追加すべきだ。見た僕が今までの人生を振り返り始めた。
「プールアップ、プールアップ、プールアップ…円周率のパイの形をしている山の真上に向いて」
「なんだ。パイか。エルってなんなんだよ」
とっさの際によい考えが浮かんで、ようやく失速を免れた。いや、自慢話じゃないだろう…死にかけたから。それに、女子の隣と女子の背中におもらししたら情けない。
「こんな異世界なんて、バカすぎる!」
僕は異世界のはずれで、不満を叫ぶ。