スローライフが許されるのは小学生までだよね
異例な異世界だ。今、僕が食べようとする異世界のメシに、青汁の粉がかけられてしまった。賞味期限切れのものだった。無論、ヤ〇ルトのドラゴン娘が持ってきた。そのおかけで、彼女が日本から飛んできた日付を分かってくる。不幸中の幸い、彼女はア〇ウェイレディーではない。そうでなければ、この村は一気に現代に大きく飛躍してしまう。
「こんなところであうなんて、奇遇ね」
もともと頭がおかしいのか、それともドラゴンになった後遺症でバカなことしか言わないのか。
「奇遇もなにも、そっちがこのヤドに泊めさせるのじゃないか」
「え?私の転職にサポートしたいって?」
「言ってないよ、そんなの」
お笑いコンビじゃないから。異世界に来てコメディー役者になることは面白くない。
「あ、転職したいなら、その仮想通貨アドレスのプライベート鍵と解けてくれよ」
「何を言っているのかさっぱりわからないわ」
「まあ、難しくない。10の67乗回計算すれば解ける…スパコンでも数億年かかるけど」
「数億年…」
「ドラゴンの寿命が宇宙レベルなら、何億世代あとに、そのお金が使えるぞ」
「…スーパーの惣菜部門でも考えておこう」
「いっそこの世界に定着してみたら?うま味調味料を積んで、行商人をやったり、石の中にある剣を抜いて勇者になったり…」
「それはないない」
否決された。
「そういえば、今朝、ランニングで1キロ走った、健康志向だから」
「1キロ増えたにしか見えない」
「乳酸菌はオーバーエネルギーだから」
相手の嫌がる話をする。ドラゴンに変身して暴れないのかな。便乗して強がりたいなぁ。
苦労が自分を強くさせる。英語で言った方がかっこいい。
「to be or not to be that is the question whether 'tis nobler...」
舌を噛んでしまって立った僕、吹き出たマメが外からくる村人の揉み上げを少し削った。アサシン。
その村人が顔を触れながら奥に行くが、建物中央の太い柱ぶつけてしまった。バーサーカー。
建物が少し震えて、天井から木くずが僕に異世界語を教えてくれた女の人の背中についた。ツイストダンサー。
アレルギーなのか、別の村人のおじさんがくしゃみしてしまった。ウィザード。
散らばった布が片付けしている女の人を巻いた。カラフルミイラ。
ひとまず布を引っ張って離す女の子。ドラゴン。
何もせずにただ見るだけの男の人。ボうはク。
これはよくない。
「吟遊詩人になる才能がないと思う」
ゲストのドラゴン娘さんから簡潔な言葉で要点をつくコメントだった。
スローライフが許されるのは小学生までだよね。