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パンツァーブリッツ・オンライン  作者: りんごりあん
103/159

1-B.78

 牽引鎖をカヴェナンターの後端とARL44の前端に固定し、背後の二輌とアイコンタクトを取ります。

「MAGI、準備ヨシ」

「YNGもヨシ、よ。よろしくお願いするわね」

 アコは、横に座るリアシュに軽口を投げました。

「このまま置いてってもいいんじゃないですか?」

「それをするとMAGIを取り逃がすことになりますし、A42V討伐の芽が無くなりますわよ」

 冗談のつもりだったのですが、しっかりシミュレート済みだったようです。

「では」

 カヴェナンターが動き始め、同時にIS-2がARL44の背面に衝突し、そのARL44もまた履帯を動かし始めます。

「……動きましたわ」

 ウドミの言葉通り、なかなか動かなかったARL44が動き始めました。引きずられ、突き上げられ、その車体が段差を越えんと持ち上がっていきます。そのまま数十秒間、大質量の機械同士が力を受け渡し合い、なんとかARL44は段差の上に登りました。

 続いて今度はIS-2が嵌るなどという間抜けなオチがあるわけでもなく、三輌は無事に段差を突破し、トンネルを脱出しました。


 巨大な石の大鳥居をくぐり、石畳の上にARL44が履帯を載せます。先についていた2輌の姿を参道の先に認め、また走り始めました。

 左右を無数の石灯籠に囲まれながら伸びる無駄に長い参道の先、石垣とその上の拝殿跡。特に、前から変わった様子はありません。またここに来ることになるとは、とカヴェナンターを下りたアコは一人、嘆息しました。

 それをしり目に、リアシュとレッドと、そこに到着したナギナギを加えた車長たちは石段を登って行きます。

「これは……随分執拗に破壊されている。何があったのでしょうか」

「きっと一揆ね。お米を蓄える悪徳神社を下の村の農民が打ち壊ししたっていう設定に違いないわ!」

「そうに違いありませんわ」

 石垣の上で談笑する車長たちを、そのチームメンバーがそれぞれバックパックを携えて追います。なお、YNGからは操縦手のピーチのみ。

 石段や手水舎を見て、ウドミが落ち着き無さそうにしました。多分、MAGIの面々にはあまりバレたくないことを思い出しているのでしょう。アコの見立てでは、あまり気にしなそうな人たちですが。

「さて、用があるのはそこの宝物殿ですわ」

 石垣の上のリアシュが指差すのは、例の宝物殿。あの錠を破った金切り鋸はもう手元にないんだなあと思うと、不思議な感慨があります。

 軋む青銅色の扉を引き開け、ぞろぞろと中に入ります。相変わらず薄暗い、棚と棚がひしめき合う蔵の最奥に、やっぱり明らかに世界観を違えているステンレスのケース箱はありました。

「物騒ね」

「物騒ですね」

 ケース箱を覗いたそれぞれの車長が、それぞれ似たような感想を漏らします。

 そこに収められた対戦車地雷は、残り60個。協議を要さず、一チームそれぞれ20個ずつ分けることになりました。前は40個でもそれなりの時間を要しましたが、流石に人数が違い、ものの数分もかかりません。

 CRSTでは、二つのバックパックに10個ずつ分散しています。その内の一つを何とか背負い、石垣を下りていくプレイヤーたちに最後尾で付いていこうとしたアコは、ふと後ろ髪を引かれる思いがして立ち止まりました。

「アコ、どうしました?急ぎましょう。M3とレオパルト軽に伝えた作戦時刻まで20分を切りましたわよ」

 そんなアコに、既に車上の人となったリアシュが呼びかけます。レオパルト軽戦車はともかく、はたして、A42Vを押し付けられたあのM3中戦車のチームが作戦に乗ってくれるのかは甚だ疑問でしたが、そこには触れずにアコは返事しました。

「すみません、すぐ追いかけますから先に行ってください。ちょっと探し物が」

「……?わかりましたわ」

 リアシュの了解をいただき、アコは重いバックパックを地面に下ろします。探し物というのは、あの黒いグリップの金切り鋸のこと。なんとなく、このままBCS内で失くしたままにするのは惜しい気がしたのでした。とは言っても、本当にすぐ追いかけるつもりです。三輌が東の大鳥居に着いたら、見つからなくても追いかけましょう。ARL44も混じっていることを考えれば、走れば追いつけるはずです。

「さて……」

 確か「真剣白歯取り♡」によって捥ぎ取られ、捨てられたはず。その後に手榴弾を投げ込まれ、直後に急停車しました。となると、ピンクが昇天したのはどの辺りだったでしょうか。

「ここら辺かな……あ」

 一分もしない内に、見つけてしまいました。こんなことなら、ピンクをやったあとすぐに回収しておけば良かったです。手の中で少し遊ばせてから、ストレージに収納します。

 参道の方を振り返れば、三輌はまだ道の半ばに差し掛かった辺り。早速追いかけようと、アコが拾い上げたバックパックを背中に装着した時でした。

『ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 聞こえるはずのない音が轟き渡りました。

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