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騎士令嬢は掴みたい  作者: まつまつのき
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第1部-3話「魔法学習」

訓練所の中に入ると、廊下で紙を見ながら立ち話をしている男性騎士や何やら書類などを抱えて小走りに王城への渡り廊下へと向かう女性騎士など皆が皆何かをしている。

かなり浮いているなと全員の顔を見渡しながら、アウローラは思う。

子供達はしょうがないとして、プルヌスが浮くのはどうかと思うのだが。宮廷魔法士は騎士団と共に仕事をする場面もあるため、溶け込んだ方が仕事をしやすかろうに。もし騎士の鎧がフルフェイスであったなら、少しはまぎれると思うが。

騎士団の鎧は所謂甲冑というものではない。普段に着ている騎士制服の上から着用するものであり、白銀とよばれる軽いが強度のある金属を加工したもので、動きやすさを重視し急所である胴体や首、手足を守るだけなのである。なぜこのような最低限なのであるかというと、騎士の制服には“錬成”と呼ばれる魔法の種類から派生した“付与”という魔法により強度補正をかけているためである。そのため、水に濡れてもすぐ乾き、ただの火で燃えず、剣ならば2,3回切られなければ傷つくこともない。

さて、全員が質素な会議室の扉の前に集合すると、その扉が勢いよく開いた。


「待ってたよ!ささ、入って入って」


いつも甘えるような甘く口に残るような彼女の声がさらにワントーン明るく廊下に響く。全員が会議室の中に入ると、部屋の中心にある長テーブルの上には人数分の紅茶が用意してあり、しっかりと掃除されている。のだが、会議室のその隅には、何やら薬草の束や鉱石、そして透明な液体の入った人間の頭ほどもある球体がその山の上にちょんっと乗っていた。

いかにも部屋に散らばっていたものを隅に寄せたという感じの乱雑さだ。


「・・・」


アルメニウム以外の全員がその山を見つめる。するとアルメニウムは無言でその山に近づき、どこから取り出したのか、大きな布を出しその山に掛けるや否や軽々とそれを抱えて、「失礼しましたー」と言いながら退出した。


「あれで魔法研究所のトップクラスの魔法士だって言うんだからすげぇよな」


クラースのその小さな呟きに、心の中で皆が同意する。

プルヌスは長テーブルのお茶が用意していない席に座り、皆に座るように促した。アウローラとインベルは嬉々として彼の正面に座るが、ノヴァとクラースは気乗りしないように腰掛ける。


「さて」


そうプルヌスが口に出すと、机の下から一冊の大きく古い本を取り出し机の上にごとりと置いた。それを彼がぱらぱらと捲り、とある頁を開いて全員に見せるように見開く。

そこに描かれていたのは、髪の長い美しい女性と男性が何やら光り輝く人物と向かい合っているような絵であった。


「まず最初に、この世界のことを復習しようか。さて、第三王子殿下」

「え、あ、はい」


不意に指名され、インベルは膝に手を置いて背筋を伸ばす。


「この世界の成り立ちは分かるかい?」

「えぇっと・・・」


プルヌスに言われ、インベルは宙に視線を彷徨わせながら返答する。


「今のこの世界は二柱の星生みの精霊によって作られました。母なる精霊マーテル、父なる精霊パテル。母なる精霊マーテルは全ての生命の母であり空であり有限を司り、父なる精霊パテルは大地であり無限を司ります。そして世界を循環している魔力を地水火風光闇の属性に分け、それを司る大精霊を創り出しました。その大精霊たちは大地を6つに分け、それぞれ一つの国を守護する守護精霊となり、ずっと見守ってきています」

「そう。よく覚えていたね。でも少し惜しい。世界神話になると暴君だった“神”という存在も言及されているから、後で調べてみて。母なる精霊マーテルからは僕達人間も産まれている。だから、魔力を操る術、というか魔力を力として行使する器官が備わっているんだ。稀に、その器官を生まれながらに持っていない人間もいるけれど、それは後にしようか。この国は“光の国”だから、光の大精霊がこの国の守護精霊だ」


精霊というのは属性を司る者であり、魔力の循環を助ける存在だ。魔力は消費されると微粒子となってこの星の中心に送られる。そしてもう一度魔力となって地上に溢れだす。その循環を担っている。普段世界を飛び回っているのが“小精霊”で、その“小精霊”を束ねているのが“大精霊”だ。

次にこの世界の国についてだが、この世界は一つの大陸しか存在していない。なので国名というものが必要とされておらず、その土地に多い魔力の属性によって国を区別している。国は全部で6つ。火の国、水の国、風の国、土の国、光の国、闇の国、である。特徴はこんな感じだ。

火の国、1年通して常夏の国であり温泉街が有名な国。牧畜は出来ないが、独自の果物と武具の輸出が主な産業。物作りの職人が多い。

水の国、1年通して温暖な気候で大きな水路がある国。農業に特化し水が綺麗なため水を使った加工品が主な産業。街並みが美しいため観光客が多く、バザールが有名。

風の国、穏やかな風が吹き季節によって気温の落差が激しい国。美しい森林が国の大半を占め、果物やその加工品、花、牧畜が主な産業。薬草園があり新しい薬草の開発や身体強化薬や傷薬の開発の研究所が存在する。

土の国、草木が少なく岩山の多い国であり穏やかな気候だが雨季がある。岩山が多いため発掘や宝飾品の加工、効果付与が主な産業。錬成や技工士が多く、宝飾品店が多い。

光の国、緩やかな気候で明確な四季があり中央国と呼ばれ世界の中心国となっている。穏やかな気候で産業はオールマイティである。大きな魔法研究所があるため他国から留学に来る人も多い。

闇の国、白夜と極夜を繰り返す雪の国。厳しい環境故に作物や牧畜は必要最低限。代わりに氷産業、漁業、魔物素材の収集が主な産業であるため、魔物退治等を担う傭兵集団―ギルド本部が設立されている。

国ではないが、海の中心には魔力が溢れ出る島があるという話もあるが、海を渡った人はおらず真実は分からない。


「では、魔法について復習しよう。アウローラ、言えるかい?」


指名されたのが嬉しかったのか顔を綻ばせ、瞳を輝かせるアウローラをクラースがちらりと見て、面白くなさそうに口を尖らせた。彼女自身は彼がそのような顔をしていると全然気が付かず、嬉々として彼の質問に返答し始める。


「はい!魔法は私達の全身に張り巡らされている“魔力器官”というものから魔力を引きだし、行使することです。地水火風光闇といった属性がありますが、自分が生まれながらに使える属性は2種類です。そして魔法は使える力の種類が決まっています。えぇっと、全属性が得意な防護。火属性が得意な攻撃。地属性が得意な錬金。風属性が得意な強化、水属性が得意な治療、闇属性が得意な操作、光属性が得意な解除。そして、“聖女の力”と呼ばれるどの属性にも所属しない奇跡の力です。」

「よしよし、完璧だ」

「えへへ・・・」


アウローラは褒められて頬を赤くし小さくガッツポーズをする。


「さて聖女の話は少し置いておいて、少し補足をしよう。属性はおおまかに、明属性、暗属性に2分される。明属性は天空つまりマーテルに関係する属性、水、風、光がそれにあたる。暗属性は大地つまりパテルに関係する属性、地、火、闇がそれにあたる。

水と地、風と闇、光と火は魔法効果を増強し一歩間違えると暴走を起こしてしまうため相性が良くないとされている。水と火、風と地、光と闇は魔法効果を減退させてしまうため組み合わせとしてはよくないとされている。水と闇、風と火、光と地は相性が良い。明属性内、暗属性内であれば相性は良い。そして、魔法の区分は細かくあるし、魔法はとても便利なものではあるが、万能ではない。例えば、無くなってしまった腕を生やす、何もない所から魔力のみで物質を創り出す、といったね。これは大精霊の領域になってしまう。まぁここら辺は難しいから、学園で詳しく説明があるはずだ。あと、学園で魔法の訓練をするまでは単属性魔法のみを使うように」


各々が「はい」と返事をすると、顔は見えないが彼は満足そうに頷いた。そして、次の頁をめくる。

描かれているのは空に祈りを捧げている女性の挿絵。よく見るとその女性の背後には7人の宙を舞う人型の姿が描かれている。


「よろしい。では、聖女についてだ。これは第二王子殿下が一番詳しいんじゃないかな。どうぞ」


椅子に深く腰掛けているノヴァが腕を組んで得意げな顔をする。

教えてもらう態度なのだろうかとアウローラは疑問に思ったのだが、口を噤む。


「まぁ国家に関することだからね。うん、理解しているさ。“聖女”は大精霊のいずれかに危機があった場合と、世界に危機があった場合に誕生すると云われている人間のことさ。かなり古い段階からいたようだけれど、始まりはどこの文献にも載っていない。現存している文献には歴代の“聖女”は女性であり、驚異的な魔力を有し、特別な魔法を行使できる。汚染された広範囲の場所を全て浄化したり、魔物の大軍を撃退したり・・・そして“聖女”関することで共通していることは2つ。異常があった大精霊とは反対の属性の国から誕生すること、役目を終えた聖女のその後が文献にはどこにもないこと、さ」

「流石だね。魔物という単語が出て来たけれど、魔物は魔力を異常に取り込み狂暴化した獣のことだね。種類は分かっているけれど、その生態はよくわかっていないんだ。時折言葉を話す者もいると言うし、どうして討伐しても数が減らないのか、狂暴化する魔力量はどのくらいなのかとかね。街には大精霊の加護があるから入ってこれないけれど、加護の抜け穴があるかもしれないから、騎士団がいつも巡回しているわけだ。聖女に関してだけれど、君達も知っての通り闇の国が数年前守護精霊が消えたと報告が上がっている。まだ加護は消えていないから、消滅したわけではないと思うけれど・・・なので今回の聖女は、もしかしたらこの光の国から誕生する、あるいは、しているのかもしれない―」


ノヴァの発言に「聖女」と小さくアウローラが呟く。

聖女は学園入学時にアウローラ達と同学年であるため、既に誕生している。のだが、まだお茶会などに言ったことがないアウローラは接触したことがない。本当ならばすでに会って聖女とかこれからの運命から守るとかそれ以前に好きなキャラクター達なので仲良くしたいと思っているのだが、中々出会う機会がない。

ふと、アウローラの記憶の中で何かが引っかかった。確か、誰かの攻略の時に幼少期の話が出たような気がしたのだが、それは一体誰だったか。

物思いに耽ってしまったアウローラの肩をインベルが軽く叩き、一気に現実へと引き戻される。小さく彼に「大丈夫?」と問われたが、返答せずに笑って頷く。

アウローラが物思いに耽っている間にノヴァの聖女の話が終わったようで、プルヌスがゆっくりと頷く。


「さて、最後に精霊についてだ。アルゲント家の御子息、どうぞ」


指名されたクラースは一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに平常通りの顔に戻り頭の中から知識を絞り出しているようでこめかみを書いている。


「あー・・・えっと、精霊は地水火風光闇の属性です。んで大精霊には固有魔法という独自の魔法を使うことができます。といっても、全大精霊と会話をしたことがある人はいないし、固有魔法を教えてくれる程仲良くなった人がいないので文献とかは一切ないです。あと、精霊には大精霊と小精霊の2種類がいて、大精霊は守護精霊、小精霊は大精霊の部下とかそういう感じで魔力を運搬していたりとかしてます・・・だっけ?」

「概ねいいかな。あと大精霊には“愛し仔”と呼ばれる特別に加護を与える人間をつくることができて、“愛し仔”に選ばれた人間は“精霊印”と呼ばれる各精霊のマークが体のどこかに刻まれる。他には、えーと、大精霊と契約することもできる。その契約方法とかも何故か全部文献が無くなっているんだ。少し残念だ」


ゆるゆるとプルヌスが首を振る。


大精霊の契約についてはゲーム内でもしっかりと説明があった。アウローラは光の大精霊ルートを完全に攻略したわけではないのだが、弟が持っていた設定資料集の語録だけを読んでいたため記憶に残っている。

大精霊が無条件で力を与えるのが“愛し仔”で、大精霊と主従関係を築くのが“契約”、そしてもう一つ、大精霊の力と自我を奪う“隷属”と言うものがある。ラスボスで闇の大精霊を黒幕が操作できていた理由がこの“隷属”であったそうだ。その方法に関しては光の大精霊ルートにて解明されていたらしいが、ネタバレになるので弟は何も教えてくれなかった。ちなみに、光の大精霊ルートではフロースは光の大精霊と“契約”を結ぶ。やっていないのに何故知っているかというと、そのシーンがとてもかっこいいと話題になっていたので動画サイトにあったものをうっかり見てしまったのだ。

中盤辺りで巻き起こる事件においてアウローラが死亡後、彼女の死の究明をするためにフロースは大精霊が集う泉へと向かう。本来ならば他のキャラクターに大精霊の力の話を聞いて向かうのだが、他のルートを完遂後に追加される選択肢『一人で向かう』を選択すると、彼のルートに入る。

泉へと向かうとそこに誰もおらず、夜に行ったため月が泉に映るばかり。全ルートにて大人しく消極的な姿を見せていた彼女がここで初めて声を荒げる。聖女であるのに大切な友人を守れなかったこと、また誰かを死なせてしまうかもしれないという恐怖、そして、自分は今とても弱く誰も守れないこと。全ての思いを吐き出し、彼女は最後にこう言うのだ。


「少しでも未来の可能性を開くために、私に力を渡しなさい!」


他のルートでは見られない強気な彼女の姿はとても凛々しかった。その後光の大精霊と契約し、彼と共にラスボスへと向かうらしい。


「そういえば、大精霊が集う泉がここら辺にあるって噂だよな?」


クラースがそんなことを言い出して、少しアウローラの心臓が跳ねた。一瞬心でも読まれたのかと思ったが、彼はそんなことなく首を傾げる。


「あれ本当なのか?」

「本当だよ」


プルヌスが即答する。

一瞬、その声がとても冷ややかに聞こえた。


「光の大精霊は昔から、全大精霊の纏め役みたいなものらしいからね。年に1度集会のような物を開くらしいんだ。どこに泉でいつなのかは知らないけれど、いつも決まった日付らしい」


気のせいだったのか、プルヌスの声は至って普通で、むしろ楽しそうに声音が跳ねている。そして「見てみたいなぁ」などと小さく呟く声も聞こえる。その話を詳しく聞こうとしてアウローラが口を開きかけた瞬間、会議室の扉が力強く、激しくノックされた。


「プルヌス!いるか!?いるな!!?開けるぞ!」


迫力のある女性の声が聞こえ、ノックと同じように力強く扉が開かれた。壊れたのかと思うくらい扉から嫌な音が聞こえたのだが、辛うじて大丈夫なようだ。

扉から現れたのは白銀の鎧をまとう、細いが所々豊満な体を持つ背の高い女性だった。目つきは鋭く切れ長のイエローで、薄紅の癖が強く跳ねているボリュームのある髪はざっくばらんに背中の中ほどで切りそろえてある。


「ソルバリア、どうしたんだい?」


彼女の名前はソルバリア。

遊撃隊である第三騎士団に所属はしているが、実質プルヌスの護衛である。

実年齢は不明であるが子供の頃にプルヌスに拾われ、騎士団に志願したと聞いている。


「おぉさっきぶり~」


のんびりとした甘い声が聞こえ、ソルバリア以外の全員がその方向を見る。

声の正体はやはりアルメニウム、であるのだが、彼女の体は軽々とソルバリアに担がれている。慣れた表情でこちらに手を振ってくる彼女は、特に嫌がる様子は全くない。というか、ソルバリアは小柄で華奢なのだが、軽々と持つソルバリアはどういう筋肉をしているのだろうか。


「あぁアルメニウム。この部屋の用意をしてくれたことにお礼を言っていなかったね。ありがとう」

「あはは、どういたしまして」


のんびりと会話をし始めるプルヌス達にあからさまにため息をついて、一枚の書類をこちらに見せてきた。

小さな文字で書かれたそれをアウローラ達は目を凝らして見る。簡潔に言えば、他の国への視察日程を記載した紙のようで、その日時は本日の昼頃と書かれていた。視察メンバーは各騎士団から選出された新入りの騎士達で恐らく演習も兼ねているのだろう。その引率として書かれている人物の名は、プルヌス、アルメニウム、ソルバリアの3名だ。


「あーそうだったそうだった」


急ぐ様子もなくプルヌスは笑いながら頬を掻く。


「もう全員揃っている!準備はこちらでしておいた、早く行くぞ!」

「はいはい。それじゃあ皆。1週間ほどボクはいないから勉強会は無しだ。あぁでも、後で課題は届けさせるから。それでは」

「先行ってるからソルバリア降ろして―」

「絶っ対どっかに行くなよ。いいな。まっすぐ向かえよ」

「信用ないなーもー」


ぶつぶつ文句を言いながらアルメニウムは床に降ろされるや否やアウローラ達に手を振って廊下を走っていってしまった。その後をのんびりとプルヌスが追う。

ちらりと正しい方向へ行く二人を見送ったソルバリアがため息をつきながら、頭を押さえる。そして、アウローラ達に向き直り苦笑いを浮かべた。


「慌ただしくしてしまってすまない」

「いや、いいよ。大丈夫。ソルバリア大変だね」


アウローラが労うとソルバリアはふっと笑った。その顔はまだどこか幼さが残っている。

「というか」とクラースが口を開く。


「先生時間があるって言ってたよな。完璧遠征のこと忘れてたのかよ。おじいちゃんか」

「本当に最近プルヌスの仕事関係の物忘れがひどいのだ。少し、足りないのか」

「足りない?」


ソルバリアの言葉に引っかかったノヴァが問いかける。すると彼女は首を左右に振る。


「あぁいや。最近食事も細い様みたいだからな。栄養が足りていないのかもと思っただけだ。さて、私ももう行く。ではな」


ひらりと手を振ってソルバリアは駆け足で部屋を出る。彼女の鎧の音が遠くなるのを聞きながら、ノヴァとクラースがイスに深く腰掛けて天井を仰ぐ。


「「助かったー」」


声をそろえて言うものだから思わずアウローラとインベルは吹き出す。つられてノヴァとクラースも笑い、暫く部屋の中に笑い声が響く。


「これからどうする?今日は模擬戦だけだろ?」

「うーんそうね。私はインベルとノヴァが作ったお菓子が食べたいかな?」


アウローラの言葉にインベルが表情を明るくする。よほどお菓子を食べてほしかったらしい。

するとノヴァは手を叩いて、明るい表情で言う。


「中庭の花が綺麗に咲いているんだ!そこで皆でお茶会をしようか!」

「へぇーうん。いいねそれ。私は賛成!」

「僕もいいと思うな」

「俺も良いぜ」

「それじゃ決まりだ!行こうか!」


勉強から解放されたからなのかテンションが上がっているノヴァが先導し、4人ははしゃぎながら廊下に出る。誰もいなくなった部屋の中にはプルヌスが持っていた本はいつの間にか消えていて、ティーカップが残されているのみだった。


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