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騎士令嬢は掴みたい  作者: まつまつのき
12/86

幕間「王子2人の出会い ノヴァside」

王子2人の出会いです。

「退屈、退屈だ」

「兄さん、家庭教師は明日来るんだよ」

「わかっている。だけれども、退屈なんだ」

「・・・勉強をしたらいいじゃないか」

「勉強が退屈なんだ」

「・・・」


赤い絨毯、滲み一つない薄手のカーテンが揺れる広い部屋。

窓際に置かれた豪奢な細工が施された机に脚を上げ、俺は椅子をゆらゆらと揺らす。少しバランスを崩すと転んでしまうだろうが、この退屈さを紛らわすならば怪我をしてもいいかもしれないとさえ思えてくる。

後ろを振り返ると、呆れ顔でこちらを見てくる弟インベルが今にもため息をつきそうだった。


弟といってもインベルは少ししか血のつながりがない。というのも、彼の母親は俺の母親の妹で彼が胎の中にいる頃に母親が魔物に襲われて死んでしまい、魔法研究員だった父親も彼が3歳の時に流行病で亡くなってしまった。

身寄りのなかったインベルを憐れに想い、さらには最愛の王妃の妹の子息ということで見て見ぬふりなどできず、元々面識のあった父上・・・国王が養子に迎え入れたのだ。

彼の右の瞳は血の様に紅くなってしまったのは母親が魔物に襲われた際に夫から貰ったペンダントの防御魔法をインベルに対して使用し、その魔力を浴びてしまったからだという。その瞳は、いつも髪の毛で隠してしまっている。

隠してしまうその理由、王城の使用人や出入りする人間がその瞳を気持ち悪いと噂していたかららしい。

本人がそう言っていたわけではないが、俺の耳に陰口を言っている話が舞い込んできたぐらいから彼は徐々に前髪を伸ばしていったから恐らくそうだろう。

その瞳は綺麗だから隠さなくてもいいのではないか、と彼に言ったのだが悲しげに笑って首を横に振ったのだった。


インベルは呆れ顔のまま、やはり、ため息をついて本を閉じだ。

そしてこちらに近づくと机の上にある紙を覗き込んだ。


「うわっ真っ白」

「うるさいな。そういう君こそ終わったのかい?」

「もちろん」

「えー・・・写さ―」

「写させはしないから」


ケチと口を尖らせると、インベルは思わず破顔する。

インベルのことを良く知らない人は彼のことを無口、感情の起伏がないというだろう。だが、そんなことはない。今までその瞳のことで気味悪がられ、王族として迎え入れられたが王族の血は流れていないため陰口を言われ、段々表立っての口数が少なくなっていったのだ。

だが、俺や兄である第一王子のメリオル兄様に対しては普通に会話をしてくれる。

ちゃんと兄弟として過ごすことができていることが、たまらなく嬉しい。

思わず二人で笑い合い、暫くしてから窓の外から金属がぶつかり合う音が聞こえてくることに気が付いた。


「何の音だ?」

「えっと、たぶん騎士の訓練所の方からじゃないかな?最近よく聞こえてくるよ」

「へぇー・・・へぇぇぇ」

「兄さん・・・まさか」


インベルは俺の思っていることが分かったのだろう。

ペンを立て、インベルの持っていた本を重し代わりに紙の上において椅子から飛び降りる。


「よし、インベル。見に行ってみよう!」

「えぇぇ・・・いいのかな?」

「いいさ!だって今日は自主勉強の日だ。剣術の稽古を見るのも勉強だろう?」

「へりくつ」

「なんとでも」


インベルはため息をつくと、俺の机から少し離れた自分の机から護身用の小さなナイフを腰に付け俺の元へやってきた。彼は俺の義弟であるが俺のお目付け役も兼ねている。といっても俺は王位をつぐ気などさらさらなく、第一王位継承権を持っている兄様の補佐をすることが将来の夢なのだ。

剣術の稽古を見ることも勉強とは間違ってはいないのだ。

扉を開いて、廊下を確認する。王城の使用人や見回りの騎士も誰もいない。

後ろで待っているインベルに小声で「大丈夫」と声を掛けると、彼も頷く。

インベルも剣の稽古には興味があるようで、少し体がそわそわと動いている。

俺達は廊下を小走りで走り抜け、2階、1階と駆け下りていく。


王城の敷地は5つの区域に分けられている。

まず中心にある王城。最上階である5階に国王の謁見の間がある塔がそびえ立ち、4階に王族の居住スペース、3階に資料室や執務室など王族の仕事スペース、2階に来客用の部屋や巡回騎士の休憩部屋など王族以外が利用するスペース、1階は殆ど玄関ホールやパーティを行うサロンがある。

その王城の右上に公爵家の屋敷及び執務用の館、右下に騎士の訓練所、左下に王立図書館、左上に国立魔法研究所が設立されている。その全ての建物は王城の2階から渡り廊下によって直接行くことができるため移動に苦労はしない。


なぜ王城の敷地内に公爵家のスペースしかないのか、それは公爵家が王族直属の懐刀だからである。

公爵家は元々王族の血を引く者たちで、表向きには公爵という爵位は“外交官”ということになっているのだが、本当は国の反乱分子や他国の状況を把握するための諜報を行う一族なのだ。

そのことを隠しているわけではないが、公にしているわけでのないので知らない者も多い。だが、貴族の中には薄々感づいている者も多いだろう。

ちなみに他の爵位は“伯爵”と“男爵”なのだが、伯爵は主に“騎士”の役割を国から命じられた一族で、男爵は主に“経済”の役割を国から命じられた一族だ。なので大きな交易をおこなう商人や広大な農地を持つ男爵の爵位を持つ者が一番多い。

爵位の名前は身分の差ではなく役割の差であるため、爵位の違いにより貴族間で仲が悪いということは特にない。大昔、爵位はもう少し細かくあり、身分差によって爵位の名が違っていたようだから差別がひどかったという文献も読んだことがある。


さて、騎士の訓練所は2階まで階段降りてすぐの渡り廊下を行けばいい。

近づいていくと微かに聞こえていた金属音がだんだん大きく聞こえてくる、と同時に、野太い歓声も共に聞こえ始めた。

一体何をやっているんだろう?

わくわくと胸を弾ませながら足がどんどん前に進んでいく。

騎士の訓練所の渡り廊下には見物人と思われる宮廷魔道士や巡回騎士の姿もあり、気付かれたら部屋に戻されるのではないかとひやひやしたが、そんなことは無く皆、窓の外の光景に夢中だ。


インベルが率先して窓に手を掛けるが、少しばかり身長が足りなく、さらにがやがやと人々が群がっているので下手に動きづらい。

どうしようかと考えた末、いいことを思いつく。

インベルの手を引き、もう一度階段を駆け上がった。そして丁度渡り廊下の上あたりに辿り着くと、そこの窓を開いて渡り廊下の上に飛び降りた。

小声でインベルを呼ぶと、彼は一瞬迷ったがすぐに意を決して飛び降りた。


「ここなら良く見える」

「うん、でもいいのかなぁ?」

「ばれなきゃいいのさ」


渡り廊下の上で腹ばいになり皆が見ていた方向を見る。

そこには騎士団の屈強な男たちが輪になって何かを取り囲んでいた。その中心から金属がぶつかり合う音がする。

誰かが戦っている。

その姿を確認して唖然とした。


「あれ?兄さん、なんかあの中心で戦っている人・・・」

「あぁ・・・女の子だ」


中心で戦っていたのは自分たちと同じくらいの少女。

纏め上げられた金糸のようなレモンイエローの髪は乱れ、汗ですっかり顔や首に張り付いている。見るからにどこぞの令嬢だとわかる様な美しく気品がある姿だというのに、身に着けているのは土で汚れた薄汚い訓練着で、その手にあるのは他の男たちよりも小さいものなのだが立派な訓練の剣。

そんな少女の相手をしているのは、体格のいい屈強な男性。

体格差は明らかだ、明らかなのだが、彼女はしっかりと戦えている。

土を蹴り、数センチの所で剣を交わし、臆することなく男に剣で切りつける。


どのくらいその姿を見つめていたのだろう。

気が付けば掌にはジワリと汗を掻き、呼吸は浅くなっていた。

一瞬少女の動きに隙ができた、その瞬間男が問答無用で少女の懐に飛び込み剣をつきたてようとする、が、少女はそれを寸でのところで躱し代わりに男の横腹に鋭い蹴りを入れ、剣を思いっきり男の腹につきたてた。


小さく悲鳴を上げるインベルを他所に、俺はその姿から目を離すことができなかった。

剣には恐らく“殺傷無効”と呼ばれる防御魔法を付与されているのだろう、ずるりと抜けた剣には血が付いておらず男は王とするだけだった。すると周囲の男たちは歓声を上げると同時に急いで男を担架で担いでどこかへ運んでしまった。

手慣れた一連の動作から、それが当たり前のことなのだと悟る。


「まるで、殺し合いだ」


思わずそんな言葉が出てしまう。

少女も、男もここからでも分かるくらい本気で相手を殺そうとしていた。

自分が憧れている騎士とはこのようなものなのか、と現実と理想の違いに衝撃を受けてしまう。

レモンイエローの少女は勝利しさぞ誇らしい顔をしているのだろうと思いそちらを見ると、彼女は笑みを浮かべるどころか苦虫を噛んだ様な顔を浮かべている。

それは何かを傷つける事への嫌悪感と、それを乗り越えねばならないという使命感が入り混じったようなそんな複雑な表情だった。


「そこで何をしていらっしゃるのですか?インベル様、ノヴァ様」

「「うわぁ!!」」


突如後ろから声を掛けられ、体が飛び上がる。

腹ばいになっていなければ、ここから転落してしまっていただろう。

恐る恐る振り返ると、そこには燃えるようなチェリーレッド短髪の男性が仁王立ちしていた。

身に着けているのは騎士の制服で、腕には腕章、胸には勲章がいくつもぶら下がっている。


「あ・・・アルス第一騎士団長」


思わず名を呼ぶとアルス第一騎士団長は切れ長のブルーグレーの瞳をすっと細める。

これはいつもの説教モードだ、と二人で顔を見合わせているとふいににっこりと笑う。

ゾクリと背筋に悪寒が走る。


「ここでは寒いでしょう。えぇそうでしょうとも。さてお二人、お説教は地上に降りてから」

「わっ・・・ちょっ・・・」

「アルス第一騎士団長様!?」


アルス第一騎士団長はインベルと俺を両脇に抱え、あろうことか渡り廊下の上から勢いをつけて飛び降りたのだ。

2人の悲鳴が周囲に木霊する。

どすんっという衝撃・・・は来ずに代わりにふわりと地面の方向から風を感じる。

どうやら着地寸前に風を操作し衝撃を和らげたようだ。

ゆっくりと地面に降ろされ、くらくらとする頭を押さえながら目を開くと、目の前に先程のレモンイエローの髪の少女が目を大きくさせて立っていた。


「お父様が空から降ってくるとは思いませんでした」

「はは、ごめんよアウローラ。少し急いでいたものでね」


お父様、と呼んだか今。

このアウローラと呼ばれた少女はこのアルス第一騎士団長の娘なのか。

もしかしてこの子は父親に言われてこのような騎士のまねごとを無理矢理やらされているのではないのだろうかと考え付くが、アルス第一騎士団長がそのような非道な事をするはずがないだろうとその考えを跳ねのける。

すると遠くからアルス第一騎士団長を呼ぶ声が聞こえ、それに彼が答える。


「アウローラ、すまないがこの二人を見張っていてくれないか?」

「見張る?」

「あぁ。お説教がまだだからね」

「あーなるほど。わかりました」

「よろしく頼む。すぐ戻るから」


そう言って彼は声のした方へ歩き出し、3人の間には沈黙が流れる。

この場合は、やはり自己紹介から始めたらいいのだろうか。

こほん、とワザとらしく声を出してにっこりと笑う。


「やぁ初めまして。僕はこの国の第二王子、ノヴァ・アウルム・アルガリータ。君の戦う姿に見惚れたよ!君の名前は何ていうんだ?」


―沈黙が流れる。

やばい、言葉を選ぶのを間違ったのだろうか。

インベルの視線も痛いが、目の前のアウローラがあからさまに何コイツという表情をしている。

いや、一応王子と名乗ったのだからその表情はおかしくないかな?

確かに俺は威厳も何もないけれど。

ぷっという吹き出す声がして、突如目の前の少女が破顔した。

大人しそうな見た目とは裏腹に豪快に笑う彼女に今度は俺が目を丸くしてしまう。

ひとしきり笑った後、ひーひー言いながらアウローラは目に浮かべた涙を拭く。


「ごめ・・・いや、正直ゲームの印象と違いすぎて、というか、小さい頃と性格違いすぎ・・・」

「は?げぇむ?というか、君、笑いすぎじゃないか!?」

「ごめんなさい。確かに初対面、しかも王族前で爆笑は失礼ですね。申し訳ございません」


アウローラは表情を正すと騎士がするように膝をつき恭しく頭を下げる。


「私、プラティヌム伯爵家長女アウローラ・プラティヌムと申します。先程の非礼並びにこのような姿での拝謁、お詫びいたします」


がらりと雰囲気が変わり思わずたじろいでしまう。


「突如として来たのは俺達だ。君は何も悪くはない」

「寛大なお心感謝いたします」

「それと、そんな堅苦しい言葉遣いはよしてくれ。俺達は同じくらいの歳だろう?」

「とはいえ、ノヴァ第二王子殿下とインベル第三王子殿下は王族であらせられます。伯爵家は王族の剣であり盾、故に礼節は重んじなければなりません」


初対面で破顔したことはいいのかと思いつつも口には出さない。

が、この目の前の少女の印象が先程からブレる。

先程笑った顔は同年代の少女そのものだが、現在話している彼女は一回りの二回りも上の女性のような感じがする。


―彼女は、一体何なのだ?


一点の疑問が湧き上がると同時に、彼女に対しての好奇心が見る見るうちに膨れ上がる。

そしてにっと笑い彼女の顔を無理矢理上げる。


「なぁ君!俺達と友達にならないか?」

「は?」


何言ってんだコイツという表情を再びアウローラはする。

インベルもぽかんと口を開けている。


「いや、君に興味が出てきたし俺は堅苦しいものが好きではない。友達というのは砕けた口調で話をするし、お互いのことを知るために遊んだりするんだろう?」

「えー・・・まじで?」


小さくアウローラがそんな言葉を口にする。

するりと俺の手から離れたアウローラは顎に手を当て考え始める。


「子供のころからの友人設定あったかな、いいのかな、いや正直嬉しいけど、えーでも王族だよ、でも断るのも失礼だよね」


などと丸聞こえな独り言をつぶやき、数秒黙った後、手をパンっと叩いてくるりと振り返る。


「いいです。お友達になりましょう」

「本当かい!?」

「断ったら失礼ですし、私もお友達が増えるのは大歓迎です!死ぬならそれまで楽しい方がいいですし」


さらっと最後の方に不穏な事を云ったようだったが質問する余裕なく、アウローラは俺とインベルの手を取る。

急に手を取られたインベルは僅かに身を強張らせるがお構いなしに屈託のない笑顔をアウローラは向けてきた。


「ではよろしくお願いしますね。ノヴァ様、インベル様」

「え?僕も!?」

「「え、当たり前でしょう(だろ)」」

「だって、僕は・・・」


表情暗く歯切れの悪いインベルの表情にアウローラは「あぁ」と声を出し、隠れていたその瞳を覗き込んだ。髪の隙間から見えるその赤い瞳をまっすぐに見られたことのないインベルはふっと視線を逸らす。


「うーん、やっぱり、メカクレもいいけど両目出した方がかっこいいと思いますよ」

「は?え?」

「いや、オールバックの方が似合っていたなと」


突如としてそんなことをいうものだからインベルは俺すらも見たことのような困惑の表情を浮かべている。

恐らく、俺も今同じような表情を浮かべている。


「いや、アウローラは、この目、気持ち悪くないの?」

「え?全然」


即答だった。

アウローラは意味が分からないというように首を傾げ、顎に手を当てる。


「その瞳はインベル様の御両親がインベル様を助けるための魔法でそうなったのでしょう?気味悪がっていたら、ご両親に失礼ですし。それはご両親の愛の証、我が子守った証でしょう。それに、綺麗な瞳ですし」


さらさらと口説くようなセリフを恥ずかしげもなく並べるアウローラに思わず感心する。言われた当の本人は、嬉しいが今にも泣きだしそうな複雑な表情をしていた。

そこでふと、疑問に思い、アウローラに質問を投げかける。


「君、なんでそのことを知っているんだ?」


インベルが養子であることは周知の事実だが、社交界デビューも済んでいない彼のその事実を知っている者は少ない。インベル自身も隠すことなどしていないため別に知っていてどうこうというものではないが、王城関係者ではない彼女がそのことを知っているのが少し疑問だった。

暫くの沈黙の後「あっ!」と声を上げたアウローラが急に視線を彷徨わせる。

あわあわと慌てるアウローラが指をぐるぐると回し「えーっと」と慌てふためく。


「あ!噂!噂で!えっと、訓練所に出入りするようになったので、王城内の噂も少しは耳にするんですよ」


乾いた笑いを浮かべながらアウローラが答える。

するとアルス第一騎士団長がこちらに駆け寄ってきてアウローラを手招きする。

何やら話し込み、アルス第一騎士団長が訓練所の入口を指さし、そこに立っていたのは本来顔があるべき場所に黒い球体があり三角帽子を被った異様な人間がいた。

確か宮廷魔法師のプルヌスといったか。

その彼の姿を見つけたアウローラの表情が見る見るうちに輝き、ぶんぶんとそちらに手を振る。

そしてこちらに駆け戻ってきた。


「それでは、私魔法の勉強があるので!それではまた!」


それだけ告げて、足取り軽やかにプルヌスの元へ走っていく。

まるで嵐のような女の子だと思っていると、インベルが俺の袖を引く。


「いい子だね。アウローラ」

「あぁ、そうだね」

「僕、自己紹介できなかったよ」

「はは、そういえばそうだ。でも、彼女君が誰か分かっていたからいいんじゃないかい?」

「・・・でも、自己紹介、してみたかったな」


寂し気にアウローラの後姿を見送っていると、後ろからぽんっと肩を叩かれた。

嫌な予感がして恐る恐る二人で振り返ると、笑顔のアルス第一騎士団長が立っていた。


「さてお二人、お説教の時間ですよ」

「「・・・はぁーい」」


アルス第一騎士団長に連れられ、2人の自習室へと戻る。

父からの信頼の厚いこの男からは、隠れた俺達を見つけることがとても上手いため小さい頃から説教をされてきた。のだが、やはり全然慣れることがない。

その日の説教は2時間にも及んだのだった。


2人で脱走し危険な行為を行ったものだから、新たなお目付け役が必要だと判断され数週間後に歳が近くプラティヌム伯爵家と同じくらい歴史の長いアルゲント伯爵家のクラースが俺達の護衛に抜擢された。

俺たちはすぐに仲良くなり、良き友人となった。



クラースとアウローラが婚約を結んだのは、その2ヵ月後のことだった。

それから何故か少し、クラースのことが嫌いになってしまった。


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