際限なき世界 2
「やっと来たわね。」僕を見ると彼女―柊美琴はそういった。
「あ―…僕の家の前で何してるんだい??…柊さん。」やっと来たってことは僕を待っていたってことか??今日が初対面なのに。
「あなたが必要なの。とにかく私について来て。」
こんなに可愛い子にこんなことを言われるのは初めてなので、なんだかドギマギしてしまう。
そう言うと彼女は僕の腕を掴み走り出した。
「どこまで行くんだよっ!!」息も切れ切れの僕に対し顔色一つ変わらない彼女。
「ここよ。」
連れてこられたのは僕の家から数100m離れた廃ビルだった。もう5年ほど前から工事が行なわれている様子はなく、業者も身を引いたのか、異様な雰囲気をかもしだしている。
いきなりこんなところに連れてこられておとなしくしてる僕でもない。
「そろそろ説明してくれるかな??いきなり連れてこられて意味がわからないんだけど。」愛の告白…っていうのなら歓迎だけど。
「時間がないから簡潔に説明するわ。」柊美琴は淡々と話しだす。
「この街は昔から邪悪なものが入ってこないように、寺やら門やらがあらゆる方角に設置されてるの。南には水が必要なことから、かつては池があったんだけど、こないだの都市開発で埋め立てられた。それで守護のバランスが崩れたの。」
なんだかわかるようなわからないような。
「それによって今この街は、邪悪なものが入りやすい状況で危険なの。」
「なるほど。で、なんで僕が必要なんだい??僕は霊能力者なんかじゃないよ。」幽霊は信じるが見たことはない。それに邪悪なものなんて本当にいるのだろうか。そんなことを考えていると、柊美琴が信じられないことをさらりと言いだした。
「簡単に言うとあなたが人間じゃないからよ。」
作者多忙のためなかなか更新できず本当にすみません。
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