タイムトラベル
ボケ「タイムトラベルって、してみたいんですよね」
ツッコミ「ああ、未来とかに行って、戻ってくるやつね。いろんなタイプのタイムマシンがありますよね」
ボケ「起きたら未来にいたとかね。じゃあ、そういうのやってみましょうか。始めましょう。あなたは寝ていて目が覚めました。未来にいます…」
ツッコミ「あれ?どこだ、ここ?」
ボケ「22世紀です。タイムトラベルしたんですよ」
ツッコミ「ええっ」
ボケ「私はこの国の王に言われて、あなたをこの時代にお連れして、案内するように言われた者です」
ツッコミ「ええ、王様がどうして?」
ボケ「フフフ。あなたにはこの時代の文明を学んでいただき、また元の時代に帰った後に、我々の優れた文明を伝えていただきたいのです。そうすれば我々の時代の進歩も早くなるでしょう?」
ツッコミ「なるほど。だからか」
ボケ「まずは観光に行きましょう。ついてきてください」
ツッコミ「へー、ここが22世紀かー」
ボケ「ええ。どうです。すごいもんでしょう」
ツッコミ「あれは?」
ボケ「あれは老婆が川で洗濯をしているところです」
ツッコミ「あれは?」
ボケ「村の男たちが狩りをしているところです」
ツッコミ「何か、思っていたのと違うな」
ボケ、笑顔で
「思っていたより進んでいるでしょう?未来は!」
ツッコミ「いや、進んでないよ!あ、そうか、自然に回帰したのか。自然を汚す物質中心の考え方をやめて、昔に帰った生活をするようになったということですね?」
ボケ「いや、そうじゃなくてみんな努力をしなくなって後退しただけですよ」
ツッコミ「最悪じゃん!」
ボケ「もう車も自転車も作り方わかんなくなっててさ。それに作るのめんどくさいんで、昔に帰ろうと」
ツッコミ「後ろ向きな自然回帰だな!ナウシカの世界より遅れてるじゃん!あ、でもナウシカの世界みたいに自然が汚れてるわけではないんだ?」
ボケ「いやー、みんな川で洗濯するから汚れてて…。みんなには昔の洗剤使わないでって言ってるんですけどねえ、守る人がいないんですよ」
ツッコミ「何やってるんだよ!もう!」
ボケ「何かみんな昔の物質文明にあこがれてて…クレンザーとか洗剤とか使いたがるんですよね」
ツッコミ「何でだよ!嫌だな」
ボケ「どうしたらいいですかね」
ツッコミ「知らないよ!未来のことを俺に教えたいんじゃなかったのかよ!」
ボケ「もうすぐ王の城が見えてきますよ。あっ、兵たちが訓練をしてますね」
ツッコミ「待って。訓練?戦争でもしてるの?」
ボケ「ええ、隣国と百年ぐらい。あなたにはこれから剣の使い方を学んでいただきますよ~」
ツッコミ「嫌だよ、もう!何だよ、ここ!すべて遅れてるじゃん!」
ボケ「いえ。我が国の文明は素晴らしいですよ。すでに車輪があるんですよ」
ツッコミ「で、この後は何を見るの?」
ボケ「我が国の進んだ文化を堪能していただきます。まず、闘技場で命をかけて戦う戦士たちの試合を熱狂する庶民たちとともに観戦します」
ツッコミ「興味はあるけど、嫌だな」
ボケ「そのあと試合に出ていただいて…」
ツッコミ「俺出るの?絶対嫌だわ!」
ボケ「なぜですか。せっかく未来に来たんですから体験した方が…」
ツッコミ「嫌だよ!」
ボケ「じゃあ、戦車に乗りますか。馬に引かせた後ろの箱に乗られます?勇ましいですよ!記念にどうですか」
ツッコミ「価値観随分違うな!そんなところで写真撮るとか嫌だぞ」
ボケ「写真?写真って何ですか」
ツッコミ「あんたら、それでよくタイムマシンつくれたな!」
ボケ「では、当初の予定をキャンセルして、これから王様たちと面会しますが、みんな怒りっぽいから注意してくださいね。無礼なふるまいは即打ち首になりますよ」
ツッコミ「そんなやばいの?」
ボケ「真の貴人はみんなマナーがありますから違反者には厳しいのです。さ、もう王の前です」
ツッコミ「え、もう着いたの」
ボケ「よく来たな。わしが誰かわかるかな?この顔を見ろ!お前と同じ顔ぞ」
ツッコミ「え。何この展開。俺はどうすればいいの?」
ボケ、小声で
「お前自身なの!ほら、未来の自分自身が王という展開だよ!」
ツッコミ「ああ、そういう展開か。そうか、未来の俺だったのかー」
ボケ「そうだ、驚いたか」
ツッコミ「でも何でこんな国をつくったんだ」
ボケ「それはこれから戦争に興味を持ち、武器マニアになって、中世の戦争ゲームをやり込むようになっていき、自然にこうなっていくのだ」
ツッコミ「何ということだ。どうすればいいのだ」
ボケ「いや、わりと楽しいぞ。この国」
ツッコミ「今の俺と価値観が違う!ああ、こうならないためにはどうしたらいいんだ…ああ!目まいがしてきた。ああ…」
ボケ「そして目覚めると、そこは…」
ツッコミ「ここはどこだ?」
ボケ「23世紀です」
ツッコミ「進んだの?」
ボケ「先に進むことしかできないタイムマシンなので、一生旅してください」
ツッコミ「過去に戻ってやり直せないじゃん!もういいよ!」