表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・オンライン  作者: みゅ
6/6

ミノタウロス

デカく、まるで巨人のような巨体をしている怪物と出くわしてしまった。牛頭に人の体の巨人――。やつをみんなはこう呼ぶ。


――ミノタウロスと。


「グガアァア」


現在ダンジョン階層地下七階。


ここに、ミノタウロスという伝説上の怪物の咆哮がこだまする。


「気をつけろ、マリ。やつは……。かなり、強い!!」


イリマは索敵スキルを発動させ、ミノタウロスのステータスを看破していく。まず最初に確認することとしてかかせないのが、レベルだ。これはとても重要なステータスで、面接での第一印象がその人の格好といった感じのように、レベルによって強さは異なる。


レベルを見極めることにより、相手の力量を微量ながら測ることができる。レベルを確認する。その横に二本の太い緑色のゲージ――。体力があったが、それは無視した。


確認したところ、ミノタウロスのレベルは90。かなり高い。まだ最下層に辿り着いてないにもかかわらず、この高さだ。


これには思わず笑わずにはいられない。とても適いそうにないからだ。かといって、逃げるわけにもいかない。今は。そう、今だけは違う。彼女、マリというパーティメンバーがいるからこそ、逃げれない。


「しっ!」


片方の剣を斜めにミノタウロスの足へ斜め下斬りをお見舞いする。ミノタウロスの傷口からポリゴンの欠片が量産されるが、それでもやつの体力は全く削られていない。


(なんてタフなやつなんだ……くそっ!)


道中までは雑魚モンしかいなかったのに。この仕打ちは、あまりにもひどい。そうか、これが、狩ってきた奴が狩られる側になるということか――。


「だ、めぇぇえええ!!」


マリが杖をぶんぶん振り回している。なにをしているのだろうと、疑問に思ったその時、マリの杖より光が湧き出る。


「放、て!ホー、リー……ボール!」


金色に光輝く綺麗な球が、無数に出現してミノタウロスの腹に直撃する。が、その攻撃は意味を成さなかったようだ。


「な、ん、でよ……」


内気な彼女なりに叫び、ミノタウロスに立ち向かったのだろう。疲れ果てたのか、彼女はゆっくりと地面に跪く。


ミノタウロスを斬りつけた方の剣をぶら下げながら俺は目の前にいるミノタウロスを見上げる。


(ほんとうに、なんて、デカさなんだ全く……)


東京タワー並にはなさそうだが、この巨体ぶりは人間である俺では到底太刀打ちできないことを結論付けていた。


「マリ!!火力を底上げする魔法かスキル、持ってないか!?」


が、マリから反応はない。ミノタウロスのあまりの恐ろしさに思わず足をガクガク震えさせている。こいつを倒さない限り立ち直ることはなさそうだ。


「やれやれ……。俺様が、おまえごときに……。遅れを取るとでも!?」


俺はレベルが高い方だ。誇って言える。ミノタウロスなんて、やり込んでいた時になんど素材が欲しくて周回したか、分かったもんじゃない。


俺のアバターに俺の魂が乗り移ったことにより転移した。という過程が、今俺が転移できるであろう理由だった。


「へへっ。俺がたとえ、どんな心、体、強さ。それらを普通の凡人である俺が抱えたという仮説だとしても、俺はおまえを打ち砕く。ゲームのようにな!!」


「ガアアアア!!」


鋭い視線と咆哮。これが入り交じったミノタウロスは怖かった。だけど、俺が怖気付いてどうする。ふぅっと呼吸を整え、俺は双剣を構える。


構えは、上級十連撃スキル――アサシン・キルだ。


「せやっ!はっ!」


このスキルは相手がもし巨体だった場合、発動前に「瞬飛」という、勢いよく飛び回るスキルを発動させてから、弱点へ向かって斬りまくる無双系スキルと呼ばれるもの。


「これで、おわりだァァァ!!!はぁぁぁっ!」


気合いを思う存分に入れて、オートで見つけた敵の弱点へオートで剣が動き、斬り裂いていく。このオート機能は、スキルアシスト機能といって、体がスキル発動に合わせて勝手に動かされる仕組みになっている。


「せいっ!」


最後の一振りが、弱点である口を捉えた。


「グオオオォオアア」


断末魔をあげて、伝説上の怪物――ミノタウロスは、ポリゴンの欠片を散らせて消え去った。


疲れきった体を癒してくれたのは、意外なマリだった。なぜかミノタウロスを打ち倒したあと、俺は倒れ込んでしまったらしい。


なので、というか。これもなぜだかわからないのだが……。マリに膝枕をされていた。ゲーム世界である。そう頭に念じているはずなのに。はずなのに。俺はこの柔らかく、とても温もりを感じる太ももをいつまでも感じていたいという感覚に陥っていく。


「そのまま、休んでいてもいいよ。あなたは立派に働いた。働きすぎなのよ、全く」


なんだろう。いつもの彼女……というか、彼女と知り合ったのはつい最近だが。とは違うような気がした。内気で、言葉一つ一つが区切り付けながら喋りずらいやつかのように話しいてるマリが、こんなにも、丁寧に人と会話できるだろうかと、疑問に思ったからだ。


「なぁ……マリ。おまえ、変わるの早いなぁ」


そう思い、体をゆっくりと起こして、後ろを振り向く。そこには、クスッと笑顔を絶やさない美しい緑髪をしたいつものマリの姿があった。

この作中のミノタウロスの弱点は二つあり、まず一つ目が腹。腹への攻撃により発生する弱点ボーナスはやや低いが、これでも十分火力は発揮されます。次に、口。この部位は一番柔らかいこともあり、ミノタウロスのゲージを瞬時に持っていくことが可能です。

読んでいただき、ありがとうございます!また後日更新していく予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ