やっぱり命が惜しいよね
街道警備は寄せ集めの騎士団で構成される。街道の安全は庶民からは要望が強い任務だが、騎士団にとってはやりたくない仕事、前頭筆頭だ。
担当範囲は広くて毎日歩かされるし、そのくせ戦う敵は小粒で武勇にならない。狂獣や野党から守っても庶民はひととき感謝するだけであっさり恩など忘れてしまう。そして中央には全く評価されない。
そんな分の悪い任務なので、必然、各騎士団が供兵するのは問題児か便利屋の小隊長ばかりとなり頭数も集まらない。それでは困るので街道警備本部はアチコチの貴族に声をかけて、なんとか一つの街道警備隊を組織する。
街道警備本部に出入りするようになって思うのは、王都に向かう初めての旅で出会ったサノハラス街道の隊長さんは、すごーーーくマトモな人だったということ。
かき集められた兵にモラルがあるはずもなく、警備に出立する隊員はどいつもこいつも倒産寸前の現場に向かう昔の自分のような顔をしている。
こんな退廃的な集団に街道の安全が守れるはずはないと、今なら理解できる。
そんな街道警備だが、ラドは街道警備本部で『担当エリアは自分の騎士団だけで守る』と宣言してきた。
パーンで構成された部隊と組みたい貴族や兵はいないだろうし、わざわざ頭を下げて他騎士団メンバーを入れてトラブルになるくらいなら、いっそ自分だけでやる方が気楽だと思ったからだ。
ラドが申し出ると本部の編成係は「それは残念です」と言葉だけの同情を示したが、顔は口より雄弁で、『お荷物騎士団が場を弁えてくれてよかった』とホッと胸をなでおろしていた。
斟酌は社会の潤滑油です。
ところが、これでウィンウィンと思っていたら、どこで聞きつけたのか、耳聡い貴族の間でこの話が広がり、あっという間に笑い者になってしまった。
およそ三千ホブ(九十キロメートル)は人の足なら走って八時間はかかる距離だ。それを僅かな馬しか持たない貧乏準貴族が僅か十二名で警備するという。しかも奴隷の半獣人――半獣人というだけでそう思われてしまう――が隊員。これを笑わずに何を笑えというのか、だそうだ。
そして、どこの国でも悪言と揶揄の足は早いもので、翌日には王都の庶民にまで指差し笑われ、いい酒のツマミになってしまった。
おかしいヤツと思われているのは知っているので、笑われても今更気にもならないのだが、準貴族なのに街の人々から憚りなく笑われる方が驚きだった。
どうやらロザーラが言っていた『準貴族は金で買える名誉』というのは本当らしい。
さて、マージア騎士団の最初の仕事は、エマストーンの認知形成だ。宣伝のために城門の外でティッシュ配りならぬビラ配りをしようと考えたが、街の人はパーンに近づかないので騎士団メンバーではビラ配りができない。
そこで街の小さい子供達を捕まえて、ビラ配りのアルバイトをさせる。
仕事を教えるのはリレイラ。
「いいですか、この紙を城門から出る人に手渡してください」
「はーい」
「ビラを渡しながら、『野党に会ったらエマストーンへ、狂獣に会ったらエマストーンへ』とみんなで声をかけてください」
「エマストーンってなんですか?」
「街道沿いにある大きな石です。このビラに書いてますから大人は分かります」
「はーい」
「ねー、お姉さん。その子は仕事やらないの?」
とバイトの子がラドを指差す。
「やりません。その子はこのバイトの店長です」
「ふーん」
いやいや、その子じゃないでしょ。それに雇用主だけど店長じゃないでしょ。
そんな適当な説明でバイトはスタート。
城門の外は、「野党に会ったらエマストーンへ」と、声を揃えてスズメの合唱だ。
ビラにはエマストーンがどんな物なのか、そしてその効用が書かれているが読まれることは初めから期待していない。まずはエマストーンというものがあると覚えてもらえれば十分だ。
頭の片隅にあれば、藁をもすがる思いになった時に、このビラを頼るだろう。
騎士団員は城壁の近くの街道脇に控え、遠目に子供達のアルバイトを見ているだけだが、それでも街道警備隊の制服を着ていることに憤慨する旅人は多く、
「半獣人め!」
「あっちに行け!」
「何がエマストーンだ! お前らの助けなどいるものか!」
と、傷つく言葉をもらってしまう。
だが、災い転じてではないが、それがエマストーンを覚えるインパクトになるに違いない、なんでもポジティブに考えようと皆と励まし合う。
そんな下ごしらえを済ませた警備の初日。
日も高くなり、そろそろお昼を食べようかと言う頃。
「ラド! きました!」
イチカが慌てて突き出した杖を見ると、ぺかぺかとパルスが三回。
「昼から襲撃かー、それに近いね」
リレイラがにょっと横から顔を出す。
「たぶん朝方に見かけた大きな馬車を曳いていた方ではないでしょうか。身なりが良いので狙われたかと」
なるほど、そういう読みもあるな。意外にリレイラは人を見ている。
「ちなみにその方は『ぜったいお前らに助けなど求めんからな』と大声で叫んでいました」
どうやら怨恨で覚えていただけらしい。
「恰幅のよい男性でした。唾が飛んできたので、そっと拭きました」
「……あっ! なんで僕の手を掴んだゴシゴシしたかと思ったけどあの時!」
「なんの事でしょう?」
スンと澄まして何食わぬ顔をしているが、この子は全く油断も隙もない。
「はいはい、二人とも、今はそんな話をしている場合ではないですよ。急いで助けにいきましょう」
イチカの正論に皆腰を上げて出発の準備にとりかかる。いつでも動けるように待機をしているから準備はあっという間だ。
「よし、みんなご飯の前に救出に行こう。大体こういう悪態をついていたヤツに限って狙われるものだけど、もしイチカのいう男が狙われていたとしても助けてあげようね」
仲間たちはどっと笑いながら「はい!」と声を揃えて敬礼し、こぞって馬車に乗り込む。
目指すは三番目のエマストーンだ。
この後の展開の仔細は言うまい。
襲われていたのリレイラの予想通りの御仁。
野党に追いかけられ逃げ切れないと悟ったところでエマストーンに頼ったらしい。
もちろん我騎士団は事無く野党を追い払い、御仁はイチカの両手を取って「ありがとうございます! パラケラスの魔女様!」と拝むように感謝。イチカは微妙な顔をしながら「どういたしまして」と身を引きながら感謝を受ける。
あんな悪口を叩いても、やっぱり命は惜しいワケだ。
でも、なんでボクに感謝しないのかな? なんでライカに感謝しないのかな? かな?
んーーー、深く考えないでおこう。
その直後に、一つ戻ったエマストーンのお呼び出しがあり、同じ野党を追っ払う。
更に第一の宿場街「ウンジュク」の近くで物取りが発生。現場に急行し臭いをたどって犯人にお仕置き。ついでウンジュクから少し離れた林の近くを通る街道沿いのエマストーンから通報があって、近くを徘徊する狂獣十数匹を仕留める。
その頃には日もとっぷりと沈んだので今日の任務はここでお開きにして、最寄の街となる「ウンジュク」に泊まる。夜こそ旅人が襲われるのではないかと思うが、夜中に街道を歩く非常識な旅人はまずいないと街道警備本部の係官から教えてもらった。
『えっ!? でも時々はいるでしょう。よっぴいて歩かなきゃいけない時とか』
『ええ希にいますが、自殺行為なので、そんな酔狂なヤツは助ける義務もありません』
『あ、そうっすか……』
……どうやら自分は酔狂人だったらしい。
ウンジュクではちゃんと宿を取って休む。
驚くべきことに街道警備の制服を着ているとパーンであっても宿が取れる!
杖の貴石を見せて「宿をもらいたいのだが」と偉ぶって言うと、店主はめっちゃイヤな顔をして我々を二階に案内してくれる。残念ながらプライム価格でお値段マシマシなんだが。
そんなこんなで、初日の成果は全てエマストーンの通報で、四人の旅人の命と財産を守る事ができた。これがどのくらいの成果かは分からないが、なかなかの結果ではないだろうか。
二日目からは隊を二つに分けて、ウンジュクを中心に街道の中間地点に待機する。大規模襲撃はそうないようなので、早く駆けつける事を優先することにした。
この位置ならば最も遠い場所で警報が鳴っても、馬の早足で一時間以に到達できる。一時間は襲撃された人を助けるには長い時間だが、殆どの襲撃は一時間もかからない場所で起こる。なぜなら街の目の前で襲撃するバカはめったにいないからだ。
そしてこの日は二件の通報を処理。
三日目には四件の通報に対応。そのどれもがエマストーンが反応してしてから三十分以内に駆けつけ、無事旅人を救うことができた。
エマストーンを使うと救助信号のために火の魔法が打ち上がるが、その魔法に驚いて逃げる敵もいるようだ。できるだけ遠くからも見えるように、火弾はかなりの高さまで打ち上がるように魔方陣を組んでいるので魔法を警戒する敵からは脅威に見えるらしい。
だが、実は火の魔法を派手にしているのは別の効果も狙っている。
この火弾が打ち上がれば街道警備隊が確実に現場にやって来る。来るのは五分後なのか一時間後なのかは分からない。分からないが確実に来る。この確実に現場にやってくる事が敵への心理的な脅威となることを狙っている。
人は分からないリスクを過大評価する。すると読めないリスクがあるならこのエリアで狼藉を働くのはやめようと考えるようになる。そんなちょっとしたサラリーマン時代の経験を仕込んでいる。
もっとも狂獣はそうはいかない。彼らには高い知性がないのでリスク評価もしないし学習もしない。よって、このような心理戦は使えないが、逆に知能が低いゆえ作戦も立てこない。
実際、狂獣との近接戦では統率の取れたマージア騎士団と狂獣の群れとでは圧倒的な力の差がある。
戦い慣れたライカは勿論だが、ライオン系のイオも猿系のザファもかなりの強さを誇り、強力な三名が前衛を固め、中段には剣の接近戦と弓の遠距離戦の両方をこなす六名、後段にイチカとリレイラが魔法を使って敵を蹴散らす連携プレイが実に有効に機能している。
野党であっても命は惜しい。剣に弓に魔法。そこまで危険を冒して攻めてくるヤツはまず居ない。
それでも週に一度くらいは数にモノを言わせて狂獣が攻めてくる時がある。そんなときはリレイラやイチカが集団魔法を使い、圧倒的な優位を見せつけて敵の戦意を挫き撤退させる。
魔法とは実に便利な戦闘手段である。
襲われている旅人を助けると――特に商団や荷屋はそうだが――お礼がもらえるときがある。これはマージア騎士団の貴重な収入源だ。
とはいえ旅人がみな裕福であるはずもなく、お礼は感謝、スマイルゼロ円だけがほとんどだ。
やってみて実感するが、そりゃ、どの騎士団も街道警備なんてやりたがらないはずだと分かる。わずか十二名の騎士団ですら宿に飯にと出費ばかりが膨らんで収入が全くない。いっそお礼に食べ物を貰ったほうが嬉しいくらい。それでも「ありがとう」の言葉が貰えるのは嬉しいものだ。
『ありがとう』
初めてこの言葉をもらったとき、イオの目に光るものがあった。
それはパーンの皆にとっては特別な言葉。輝きをもたらす別格の言葉。自分の全てを肯定する魔法の言葉だ。
一日に何度も街道を往復するからパーンの体力でも夕方にはヘトヘトになる。それでも『ありがとう』の言葉を貰うと、彼らはまるでサウナで整ったような晴れ晴れとした顔で『こちらこそ』と答える。そんな姿を見ると思う。
この騎士団を作って本当に良かったと。
心の底から本当に思える。
エマストーン警報は二週間まで順調に増えていった。たぶんエマストーンの有効性が旅人の間で広まったからだろうと思っていたのだが、三週間を過ぎたあたりから急激に警報は減り始め、四週目を迎える頃には野党の襲撃通報はゼロになってしまった。
もっぱら狂獣が相手ということは、野党はこのエリアで旅人を襲えないと学習したということだ。
それはイイコトなのだが、狂獣の襲撃は日に一、二度程度しかないので、我々はすっかり暇な警備隊になってしまった。それに助けた旅人が減るとお礼の実入りも減る。
おかげで常に腹ペコ。
働かざる者食うべからずとはよく言ったものだ。
かといって、いつ警報が鳴るか分からないので、暇だからと食料調達に狩りにも出られない。
街道警備は一か月単位で他の隊と交代になる。
ちょうど任期があけた四月の末。騎士団を引き上げ、王都の自宅までの帰り道を十二名で列をなして歩いていると、「よっ! マージア騎士団!」「ありがとよ!」なんて、声をかけられてしまった。
いったいこの一か月で何が起きたのかを聞いてみると、ラド達に命を助けられた者達が王都の夜の街で、『藁にもすがる思いでエマストーンというものを使ってみたら半獣人の街道警備兵が現れて、あっという間に野党や狂獣を蹴散らした』と噂になっているとのことだった。
エマストーンを使うと助けを呼ぶ事ができる。
それは今まで自分の命は自分で守るか、それが叶わねば運しかなかった命の軽い世界において、初めての経験する「通報」という画期的な体験だったのだ。
人は予想を超える結果に感動し、感動すると誰かに言わずにはおれない生き物だ。
打ち上がった火の魔法に驚いている間に、遠くに砂塵が見え、恐ろしい早さの馬車がきて、パーン達が圧倒的な強さで敵を蹴散らす。そんな生々しい体験談は夜の街で広まり、奴隷警備隊などと馬鹿にしていた王都の人々はすっかりその物語の虜になってしまったらしい。
その変容をイオは困惑をもって受け止める。
「ラドさん、どうしましょう。助けてないのに街の人にありだとうだなんて」
襲われている人を助けて感謝されるのは分かる。だが王都の人には何もしていないし、なにより一か月前はパーンというだけで石を投げられていたのだ。
早足でラドの横に駆け寄ってきたシャミは、大きな耳をピクピクと動かし街の気配を敏感に察知している。パーンの身体的な傾向は耳や目の色、尻尾などに強く現れる。シャミは大きなうさぎの耳を持つので街道警備の制服を着ても帽子を被ることは出来ない。
「ラドさん、怖いですもの」
貶められ裏切られ続けた人の心には不信から生まれた恐れが胚胎する。それがこんな小さな子の中にも生まれていることが悲しくなり、ラドはシャミをぎゅっと引き寄せて見えないように手を繋いだ。
「大丈夫だよ、僕がいる。彼らは無垢に僕らを歓迎しているんだ。僕らが街のために沢山の人を助けたからね。調子のいい話だけど」
この一か月間でマージア騎士団は王都を行きかう多くの荷物を守った。今までは警備隊がいても襲撃を防げず、野党や狂獣にかなりの数の荷物が巻き上げられていたのだ。それが限りなくゼロになるなら莫大な富の増加となる。市井の人々にとって朗報以外のなにものでもない。
だが本当に都合のよい話しである。恩恵を頂ければポッと出の準貴族であろうとパーンであろうと手のひらを返して持ち上げる。利益の再配分には敏感なくせに、不利益の再配分や自分とって違う意見は認めようとしない。
イオやシャミには冷静な言葉をかけたが、ラドの心中には軽薄な街の人々への軽蔑が渦巻いていた。だが、それでも、パーンの人権が上がったことには変わりはない。
「まぁでも――このカッコ悪い制服の価値も上がったもんだね」
腹の内を悟られたくなので、紺色の制服の裾を摘みイオに向かってニコリと微笑む。
「それはラドさんが私達を――」
「ライカ! ちょっと前の方で街の人に応えてあげなよ!」
ライカは「うん!」と元気よく首肯すると列の先頭に走り、脱帽して快心の笑顔で大きく手を振り街の人に応える。それを見たイオがまた言う。
「ラドさんも応えればいいのに……」
イオには理由がわからないらしい。
「団長はライカだからね。それに街の人にはパーンの活躍を知ってもらいたいんだ」
するとイオは「そういう意味なのですね」と大きく頷き納得する。ラドはパーンのこういう素直なところが好きなのだと思う。純真でお人好し、喜びも悲しみも不安も感情を偽らない。ストレートすぎて性欲まで直球なのはちょっと困るが、まるで雨上がりの虹のように混乱したガウベルーアに一瞬だけ現れる美しい姿を見るように思う。
だが街の人に手を降って応えるライカを見ているうちにイオの表情がまた曇っていく。
「この姿を裏街の子達にも見せてあげたかったです」
街道警備として活躍したのはパーンの子達だ。その活躍を街の人々に認められた事すら見せることができない現状と、この瞬間も奴隷として使役され続けている仲間達への葛藤だろう。だがイオの苦悶はそれだけではなかった。
「ラドさん、先日、王都に食料調達に戻ったとき、裏街の子達に自分も騎士団に入りたいと言われました」
この年頃のパーンが大人になるのは早い。一か月で組織と役割を覚えたイオはすっかり大人の顔で目を伏せる。そこには自分だけが苦界から抜け出した申し訳なさが染み出していた。
ラドは出来るだけ表情を変えずにイオを見る。イオは大きいので、どうしても見上げる構図になるが、上目で見てしまうと困っているように見られしまうので、いよいよしっかりした態度で対峙しなければならない。
「みんな騎士団に入りたいんだね」
その話が出るのは容易に想像ができた。そしてもしそう言われたらどうしようかとラドも考えていた。だが答えは持ち合わせていなかった。
際限なく騎士団にパーンを入れることは出来ない。どこかで制限をつけなければ最終的には裏街の全員を騎士団に入れなければならなくなる。そしてマージア騎士団にはもう一人も受け入れるキャパはない。キャパとはつまりお金である。
準貴族になって魔法研究局からの俸禄が途絶えて久しい。街道警備で助けた人からのお礼は幾ばくかあるが謝礼など微々たるものだ。食欲旺盛な皆の糊口をつなぐには全く足りず、食費すら借金でまかっている状態なのだ。
「自分はあの日、偶然ライカに会っただけなのです。今ここに居られるのはそれだけの理由ですから」
イオの心境は複雑だ。それでも伝えずにはいられないのは辛酸の中にいる仲間の声を届けるのが、自分ができるせめてもの事だからだろう。
「ごめん、今すぐ答えは」
「すみません。でもラドさんにお伝えしておきたかったのです」
「ありがとう。僕もわかってる」
金がかかるのは食料だけではない。むしろ武器の整備にこそ金がかかっている。鉄はガウべルーアでは高価だ。だが武装は必須だから壊れたら直さなければならない。そして武器は思った以上にあっさり壊れる。
アキハが打った「雲切丸」は一撃で刀身が折れたが、それはアキハの腕が悪かったばかりではない。そもそもこの世界の鉄は不純物が多いのだ。刀身が長くなれば金属の負担は増える。シンシアナ兵が好んで厚身のブロードソードを使うのは、そういう脆さの事情もあるのだろう。
せめて武器の修理代だけでも削減できれば、あと二、三人は入れられるだろうか。
「また親方に相談かなぁ」
気が引けるが久しぶりに親方に会いに行くことにしよう。ついでにアキハにも。