表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/152

魔方陣

「アーキハ、ねぇねぇヒマ?」

 マッキオ工房に顔を出すと、椅子に腰掛けたアキハはぶすっとした顔を向け、ロダンのポーズでラドを出迎える。

「なに、また私を何かに使うつもりでしょ」

「えっ!」

 ――なんで分かるんだ、コイツ!

「そんなことないよ」

「ラドがそうやって甘え声で来るときは、昔っから面倒を持ってくるのよ」

 本当にそんなにバレバレなのか? 全く自覚がなかったがココで動揺がバレるとアキハのペースになってしまうので悟られないように平静を装う。

「面倒なんか持ってきたことないよ。それよりなんでぶすーっとしてるのさ」

「親方に怒られてんの」

「また、粗品でも作ったのかい」

 つい口を滑らせると、アキハ「はぁ?」と言わんばかりににらみを効かせて、「そんなんじゃないわよ」とむくれて否定する。そんな会話を聞きつけたらしい。

「おい、ラド! てめぇがついていて何やってやがった!」と、大声とともに親方が工房の奥からぬっと出てきた。

「あ、親方」

「あ、じゃねぇ、テメェ俺の使いを忘れてきやがったろ!」

「使い?」


 ツカイ?

 ナンノツカイ?

 リュウグウノツカイ?


「ああ、王都の工房!」

「そうだ! 何のために行きやがった、このクソガキども」

「クソガキじゃないもん!」

 親方の放った言葉は、壁打ちのスマッシュより早くアキハから返ってくる。

「使いもできねーやつは、クソだ、クソ以下だ!」

「クソ以下ってなによ! 言ってみてよ!」

「てめっ、ゲリグソヤロウが師匠に向かって口応えすんな!」

「ゲリなんてしてませーん」

 な、何て頭の悪い会話。


「まぁまぁ、アキハも親方も収めて。そりゃ親方もアキハに期待するのは無理ですよ。アキハも女の子がそんな言葉を使っちゃいけないよ。悪いのは自分なんだから」

「はぁ!?」

「ああん!」

「あんたがフォローしないから悪いんでしょ!」

「このクソムシに代わって思い出さない、てめぇが悪いにきまってんだろ!」

「でぇ! なんで、そうなるの!!!」

「大体だな――」


 からはじまる親方の説教を正座で受けること一時間。

 工房の床は三和土だ。正座する足がシビレて痛い!

 そして脳筋ロジックによる意味不明な叱責!

 これがいつ終わるともしれず続く!

 まさに苦痛、苦行!

 そんな謎の呪文を受け続けると、人ってやつは、人ってやつは……うぅぅぅああああ!!!

「すみませんっ! 刑事さん、僕がやりました!!!」

 つい耐えきれず勢いで謝ってしまった!

 言われるほどに、だんだんと自分が悪い気がしてくる。恐ろしやコトノハの力。


「おう、やっと分かったか! このボケがぁ」

 こうやって”○○の黒い夏 冤罪”が生まれるのだ。だが引き取った責任はナシにすることは出来ない。たとえ契約書がなくても言質を取られれば言い逃れが出来ないのはこの世界でも同じだ。

「次に王都に行くときは僕が責任を持って、工場用地を見つけてきますぅぅぅ」

「当然だ! ラド! 次は必ず見つけてこいよ」

「はぃぃぃ!」


 ここ数日の僕っていったい……敵に襲われ、ホムンクルスは納品できず、新しい魔法を作る約束なんかドエライ貴族としちゃって、自分のせいでもないのに襲撃の事をエルカドに謝り、そして親方から意味不明な説教。僕だって、僕だって、それどころじゃないのにぃぃぃ~。


「大丈夫よ親方! もしラドが忘れそうな時は私が思い出させてやるから」

「おう、頼んだぜ」

「あはははは、任せといて」

 アキハはいつの間にか親方の横に座って子弟でタッグを組んで責める側に回っているし。

 お前が笑うな! もとはお前の仕事だろ、お前の師匠の使いだろが!

「がはははは、期待してるぜ」

「あはははは、期待しちゃって」

 ――ヒドイ、ドイヒーすぎるこの悪魔師弟!



 親方はさんざん言い散らして満足したのか、「ちょっくら寝てくらぁ」と、大あくびをして奥の部屋に戻っていく。それを見極めたアキハは、「じゃ、ラドお昼行こうか。おごってくれるんでしょ」と、足が痺れて身動きの取れないラドの手を引く。

「いひーーーっ! やめっ、キテるんだから触わんないで! なんで僕が!」

「だって親方と私に迷惑かけたし、これから私にお願いがあるんでしょ」

「後半のお願いは合ってるけど、前半の迷惑は身に覚えがないよ。大体それはアキハのお使いでしょ」

「うーん、やっぱりバレちゃった?」

「当たり前だよ!」

「だって、忘れちゃったんだもん! それにお腹痛くて動けなかし、しょうがないじゃん」

「そりゃあれだけ食べればお腹も痛くなるよ。三人で十二人前って……。アンスカーリさんも呆れてたよ」

「いやぁ、美味しくてさ、つい」

「まぁ大飯食らっても僕は迷惑被ってないからいいけど。それより王都のお使い。僕やらないからね」

「えー」

「けどお昼はおごってあげるよ。どうせお願いついでにお昼を一緒に食べようと思ってたし」

 ぶすっと言っているのに、アキハは「ラッキー! でもやっぱり、何かお願いしようとしてたんじゃない」とご機嫌だ。

 いや、そうですけど……。

 なんか、なんか、納得できななーい!



 お昼はナナリーINNで取ることにした。

 ラドはアキハをナナリーINNに置いて、イチカとリレイラを呼んでくる。

 昼下がりのガラ空きの食堂に集まった三人は、原木の風情が残るワイルドなテーブルにつきラドの言葉を待つ。


「さぁてと、ではこの三人で語り合ってもらおうかな」

 大仰に手を広げてファシリテーターを気取る。

「語り合う?」

「私はアキハとはいつも語り合っていますが」

「そう、それを雑談と言う。今日はテーマを持って話すディスカッションだ」

 そう言うとラドはテーブルの真ん中に大きな芋根紙(うこんし)を広げた。そこには『魔法を使うときの感覚を語り合おう』とテーマがデカデカと書かれている。

 これはリーマンスキル、ワークショップ術のひとつ、『ワールドカフェ!』


「はぁ……」

「気づいてた? アキハとイチカは同じ魔法でも魔法の出し方に違いがあるんだ」

 ラドはホムンクルスと人が使う魔法がいかに違うかを訥々と語り始めた。

 ・

 ・

 ・

 語ること小一時間。

「――という違いがあるんだけど、この違いが魔法を紐解くヒントになりそうなんだ。分かった?」

 ・

 ・

 ・

 返事がない。ただのしかばねのようだ。


「アキハ、起きてください。終わりましたよ」

「ふぁ、終ったの?」

 聞きながら意識を失ったアキハが崩れた頬杖のままテーブルに突っ伏した頭をのそりともたげる。

「主任の熱弁はリレイラも理解出来ませんでした。なにやら力説していたようでしたが」

 えー!

「だったら途中で分からないと言ってよ! 熱く語っているのに寝られるのも傷つくけど、淡々と『なにやら力説』と言われるのも傷つくんだから。まぁいいよ、理解してなくても僕がファシリテートするから」

「だったらこの一時間の説明いらないじゃん!」

「そうだけど、僕がしたかったの!」


 苦笑いを浮かべるイチカに宥められて、アキハは渋々テーブルの上の紙に向き合う。

 ラドの促しで始まったアイスブレイクはアキハの独壇場。街の噂、イチカを救出したときの自慢、親方への愚痴とラドにとってはどうでもいい女の子の井戸端会議に終始する。それでも三人は回り道をしながら魔法についての話題を話し始めた。

 初めて魔法を使えたときの感動、魔法の生み出し方、詠唱中の感覚、術者の負担などなど。


 話の中にはラドが知りたかった魔法の秘密に迫るヒントが散りばめられていた。

 まず、イチカもリレイラもアキハと違って、魔法を詠唱する前にイメージを作ったり何かを想起したり等をしていないこと。呪文を唱えればいきなり魔法が使える。

 次にイチカやリレイラは魔法を使うとき、体の中を何かが駆けめぐる感覚を持っている。これはアキハにはない感覚だった。

 この『駆けめぐる感覚』を図に書いてもらうと、見覚えのある図になった。


 古文書にあった謎の図形、いうなればこれは『魔法陣』。


 詠唱する呪文により『駆けめぐる感覚』は異なっているのは、魔法に対応する魔方陣が異なるからだろう。そして呪文詠唱の進行に従い『駆けめぐる感覚』が発生する場所が動いて行く。また感覚には強弱があり、時々何も感じないセンテンスすらあるという。

 この無駄の多いアナログな感じは何かに似ている。


 ラドは当初、呪文はプログラム言語のようなものかと思っていた。だから呪文の共通部分を手掛かりに、関数や制御文を想定した呪文を組み立てて、魔法が発動するか実験していた。その結果は言わずもがなだが、それもそのはず。


 呪文はプログラム言語などではない。


 なぜなら、こんな無駄だらけのソースコードなど存在しないからだ。この無駄の多い構造はエクソンとイントロン。つまり遺伝子に近い。

 たぶん呪文はDNAみたいなものなのだろう。術者が詠唱すると必要な部分だけがスプライシングされて体内に魔方陣が展開される。その魔方陣に魔力が流れると魔法が発動する。

 蛍の小川でアキハにやってもらった実験の通り、魔力は魔力だけで存在しており、それだけでは現象には至らない。それは分かっていたが呪文が魔力を魔法にするのではなく、魔法陣が魔力を魔法にするのだ。

 そしてアキハには『駆けめぐる感覚』がないということは、人は体内に魔法陣DNAを持っていないか不完全にしか持っていないのだと考えられる。その魔法DNAを補完するためにイメージを作る必要があるのだ。


 この仮説は本当なのか? 確認するのならばやってみるのが早い。

 魔法陣が魔力を魔法に変換しているかを確認する実験だ。

「アキハ、リレイラと手を繋いで魔力をリレイラに注いで火の魔法の詠唱をしてみて。リレイラはそれを聞いて自分が魔法を使うときのように体を開放するんだ」

 良くわからない二人は、顔を見合わせて戸惑いながらも言われた通りにやってみる。


「リレイラやるわよ、イン……」

「ちょっと待ってリレイラちゃん! その手を僕に向けないでね。本当に発動したら僕死んじゃうから」

 ラドの正面に立つリレイラはかざしていた手をまじまじと見つめてコクっと頷く。

「ご忠告ありがとうございます。つい習慣で主任を狙ってしまいました」

 リレイラは天然で怖いことをしれっと言う。この子はどこまで本気か冗談か分からない。

「さいですか。なら警告してよかったよ。じゃあ、そうだな、外に積まれている芋の山を狙おうか」

 アキハは芋の山に手をかざし直したリレイラを確認してから、目を閉じて意識を集中する。


「いくわよ」

 そして過去に練習したのだろう、アキハは自分では出せない火の魔法の呪文をスラスラと詠唱する。すると芋の山にかざしたリレイラの手がうっすらと光り出し、それは一点に収束すると空中に浮かぶ金色の光点になる。

 輝きは詠唱の終了と同時に指向を定め、猛スピードで走りだすと過たず芋の山に着弾! 同時に爆発して芋の山は跡形もなく飛び散った。


「よし、やっぱり!」

「マジ? 今の私の魔法?」

「そう。今のはアキハの魔力だよ。それをリレイラの魔法陣で展開して魔法にしたんだ」

「なら魔法陣があれば、わたしも火の魔法、使えるの?」

「あればだけどね、まだ解読されてないけど」

「すごい!」

 やはりアキハが火の魔法を使えないのは魔力や呪文の問題じゃない。魔力魔法転換系の方だ。

 ならば絞り込むべきは魔方陣の研究である。


「じゃ次は、さっきイチカが書いた『駆けめぐる感覚』の図だ。イチカとリレイラは火の魔法のときに感じる形をどんどん芋根紙に書いて。僕はそれを順番につなげるから」

 やることを理解した二人は、さっそく作業に取り掛かる。

 イチカとリレイラは呪文を口ずさんでは、体内の感覚を確認し紙に書き写す。そんなのを何十回と繰り返すと膨大な量の一筆書きの幾何学模様が現れた。どれもこれも全く意味が分からない図形だが、それを呪文の順に並べてつなげる。


「よし、全部書きだして線でつないだぞ、さぁアキハやってみよう!」

「どうすればいいの?」

「そうだな、魔法陣に手をかざして魔力を流してみようか」

「うん」

 アキハは魔法陣を書いた紙を手に取り魔力を流してみる。だが何も起こらない。


「ダメみたい」

「魔法陣が間違えてるのかな」

 横からのぞき見ていたイチカがアキハの脇からひょいと顔を出す。

「書いた線に魔力を流してもらえませんか。私が感じるのはその図形だけではなく、何かが流れてる感触なんです」

「そうか。アキハ、言われた通りにやってみて」

「わかったわ」


 アキハは紙に書いた図形の一辺に指を添え魔力を流す。すると、ちょうど夕日が背負う位置にいたリレイラが小さな声をあげた。

「線が光ってます」

 これは魔法が発動するかもしれない!

 部屋の中では危ないので、いつ発動してもいいように外に出て試してみる。だが強く魔力を流しても描いた線が光るだけで何も起こらない。


「なんだろう、他に足りない要素があるのかな」

「呪文ではないでしょうか? 先ほどとの違いは詠唱のありなしですから」

「そうだなぁ、やってみるか」


 アキハは右手を魔法陣に、左手を掲げて掌で天を受けるポーズをとった。

「インエル――」

 アキハが詠唱すると声に合わせて図形の特定の部位がぽっと光り、次に図形全体が強く光る。それが詠唱に合わせて次の図形へ次の図形へと伝搬して、その度に魔方陣の明るさが脈動して強まっていく。

 光の連鎖はあたかも水路に水が満ちるようにスムースに行われ、遂には魔方陣の堰を越えてアキハの左の手に移動していく。詠唱がゆっくりしてるからだろうか? 腕に移った光はゆっくりと掌に移動し、遂に掌の上でオレンジ色の光点へと結実する。


「――インゲッテン カティーロ!」

 最後のセンテンスを言い終わると同時に、手のひらにあったオレンジ球は火の弾となって空に打ち上がった。

 初めてラドが見た魔法騎士と同じ色の火の魔法は急峻な放物線を描いて天に留まり、今度はナナリーINNの入口付近に積んでいたキャベツの山に落ちてくる。

 キャベツの山はぼんっと轟音を発して飛び散り、路地のあちこちにゴロゴロと転がる……。


「でちゃった」

 拍子抜けしたアキハは、この一言で全てを言い終えた。放った本人でさえ驚きそびれるほどあっさりの結果。

「ラド?」

 イチカがラドの様子を伺う。

「ラド、成功ですよ」

「……」

 ラドも言葉が出ない。

「あっさりだ」

「主任、どうしましたか」

「あまりにあっさり成功して気が抜けたよ」


 本当に成功してしまった。

 あれほど追い求めた魔法というものが魔力と魔法陣と呪文があれば発動する。たったそれだけの事だったのだから。

 だが、ジワジワとラドとアキハの中に成功の喜びが沸き起こってきた。

「ラド……すごい、すごいよ! これで訓練しなくても魔法が使えるようになるんだよ。学校なんていらないよ!」

「なるほど、確かに」

「それだけじゃないって、みんな簡単に護身できるんだよ。すごい発明だって!」

「そ、そう、そうだね。たしかにそうだ! でもまだまだだ。今のはただ、効率の悪い魔法を魔法陣で再生したに過ぎない。僕の感覚だけど光の魔法に比べて火の魔法は効率が悪いんだ。きっと別の正しい方法があるはず!」

「うん! ラドならきっと見つけられるよ!」

「主任」

「ラド、一緒に頑張りましょう」

「ありがとう、みんな!」

 持つべきものは友である。お陰で魔法解明の手がかりを掴んだラドたち四人は、がっしりと手を重ねて新しい魔法を作るべく決意を固めるのだった。


「なぁラド、盛り上がってるところ悪いけどな」

「はい?」

 声をかけてきたのは、ナナリーINNの店主。

「外の芋とキャベツの弁償たのむわ。おまえ、全部焼き芋と野菜炒めにしやがったろ。ありゃ一週間分のうちの仕入れだ。一万ロクタンな」

「ええ!」

 ちらっと三人の顔を見ると、

「あたしじゃないわよ」と、顔をそむけるアキハ。

「主任の言うとおりにしました」と、顔をそむけるリレイラ。

「ラド、ごめんなさい!」と、手を合わせて頭を下げるイチカ。

「キミ達! 本当の友というのは苦楽をともにわかち合って――」

「お金と友情は別腹とリレイラの記憶にはインプットされています」

「リレイラ、毒舌すぎ!」

 アキハがぺろっと舌を出してごまかす。

「みんなぁ~、さっき友情を育んだばかりじゃない! 裏切らないでーーー!」



 やるべきことは決まった! 魔法陣を集め、その意味と効果を確認し、魔法陣を組み合わせて魔力変換効率のいい新しい魔法を作ること。

 呪文と魔法陣の対応はイチカにお願いすれば分かる。魔法陣が分かれば古文書にある魔法陣と照らし合わせれば効果が分かる筈である。

 だが……。

 照らし合わせられても古文書が読めない。

 今から古代文字の勉強をしても僅か二か月でどこまで解読できるか。いやそもそも古代文字って何処で勉強すんの?

 ここまで分かって、またお手上げだ。

誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ