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不意打ち

 それからしばらく経ったある蒸し暑い夜。

 実技特訓を終えたラドは天の川が照らす星空の中、ホムンクルス工場までの道程を急いでいた。


 この日のヒュウゴには珍しく怒っており、いつもの青空のような笑顔を重苦しい雷雲の向こうに隠して、ピリピリと声を荒げて実技の指導をした。

「気を散らすな! 集中しろ!」

 ラドも集中してやっているのに怒鳴られる始末だ。

 その指導は夜まで続き、もう工場に行く時間だというのに、あまりに鬼気迫る指導のため途中で止めるとは言えず、おかげで工場には大遅刻確定となってしまった。

 ウィリスはもう帰っただろうが、明日の朝には間違いなく怒られる。しかもネチネチと日頃の不満も織り交ぜながら説教されるのだろう。それを想像するとため息が出る。



 珍しくヒュウゴに背中をバンと叩かれ、「気をつけて帰れよ」の言葉をもらって私邸を送り出される。

 虫の声がリンリンと鳴く真っ暗な砂利道をぽつねんと歩く。

 土の道は晴れの日は良いが雨が降るとぬかるむので、工場から出る荷馬車がスタックしてしまわないように、この道は辺境では珍しく砂利整備がされている。

 王都では路地まで石畳だというが、こんな田舎は砂利が敷かれているだけでも大したモノなのである。


 馬車には優しい砂利道だが人にはそれほど優しくない。疲れた体で気を抜いて歩くと足首をひねって怪我をするので、足の裏全体で砂利を踏みしめて歩かねばならない。

 ラドの体重は軽いが、それでも石が崩れる震動がゴリゴリと体に伝わり足を取られる。

「次の給料で革靴を買おう。木靴は足が痛いや」

 くるぶしが痛む木靴の踵を砂利に打ちつけて、そんな算段をたてる。


 すると、

「ん?」

 ラドの耳が自分の足音とは違う別の石音を聞き分けた。


 気のせいかと思い、また歩きだす。

 見事に歩調を合わせているが、歩くと体に響く振動とは別の足音がする。

 止まると音も止まる。

「つけられている?」

 だがなんでと思う。貧乏な男の子一人だ。金目のものはないし、売るにしても女の子に比べて遥かに安い。いくら一人とはいえ狙う理由は薄弱だ。


「やっぱり気のせいかな」

 試しに意表を突いてダッシュをしてみる。すると足音は乱れて複数の石踏み音を闇夜に響かせる。

 間違いない。つけているのは複数人だ。どうする? 逃げるか?

 だが考えるまでもなく逃げられないのは想像が出来た。相手はこんな街外れまでつけてくるヤツらだ。逃してくれるとは思えないし、子供の足で巻けるとも思えない。

 ラドはすぅと息を吸う。


「つけているのは分かっている。誰だ!」

 張り上げた声は闇に吸い込まれて消えて行く。

 いつぞやの悪漢の仲間か。でも仲間を殺ったのは自分だとは分からない筈だ。


「返事がないなら、こっちから行くぞ」

 言ったと同時だった、闇の向こう、ラドの来た道の側から火の弾が三発こちらに飛んできた!

 魔法士! 暗闇でどこにいるのかも分からないのに。

 間髪をおかず右からも火の魔法弾が来た。少なくとも相手は二人。だが更に左から小さな高めの声で魔法の詠唱をする声がする。

「三人!? 一人は女!?」

 突然三方から来た火の魔法弾だが、遠くからの魔法なので冷静に対処すれば難なく避けられる。だが最初に攻撃が来た方向からの魔法弾は軌跡をクロスさせた四連打。これは逃げにくくするための手管だ。


 姑息なと心の中で舌打ちをし、ヒュウゴに教えられたとおり軌跡をしっかり見極める。

 こういう時は引きつけてから逃げる。先の動くと敵は逃げ先を押さえにくるので、自分からスペースを失い不利な状況を作るからだからだ。

 学校では魔法だけではなく、魔法兵ならではの実践的な戦い方も教えてもらった。ようするにヒュウゴは魔法を教えているのではなく、魔法を使った戦いで勝つ勘所を教えていたのである。

 魔法など戦うための手段にほかならない。そしてそんな事を教えるのは兵士を養成するためだからだ。


 ラドはギリギリのタイミングまでひきつけ、トンと横っ飛びして避ける。だが、

「えっ!」

 背後からガサリと音がした!

 ――ヤバい! もう一つ忠告があったんだ。軌跡に集中しすぎて周囲の警戒を怠るなと!


 驚いて振り向いたときはもう遅い、どこから来たか分からない打撃が脇にあたり、直撃に踏ん張れなかったラドは道端にすっ飛ばされる。

 脇腹に強烈な痛み!

 だがケリの主は油断がなく全く声を上げずに闇に消える。普通ならここで勇んで追撃にくる筈だが。

 ――手練れか!?


 ラドは蹴られた勢いでゴロゴロと転がりながらも、次の攻撃を予見して位置を変えた。だかその先を狙うように左右から魔法弾が飛んでくる。

「なんで分かるんだよっ! こんなに暗いのに!」

 とっさに足を広げて回転を止め、その反動を利用してくるりとコマのように一回転する。ラドが転がる先だった場所に魔法弾が着弾し、ジュッと音を立てて地面に消えていく。

 なんとか回避したが安心はしない、

「なら、次はここだろ!!!」

 ラドは手元にあったあった土を石ごとつかみ空に投げつけた。

「うわっ!」と、声高い悲鳴。

 予想通り! 四人以上いるなら敵は翻弄するようにアチコチから違う攻撃を繰り出すべき。そして位置的にココ、転がった先に忍び寄って不意打ち攻撃が正しい。というか正しすぎる、この攻め方はまるでラドがヒュウゴから習った事そのものだ。


 土と石を浴びた敵は暗闇の中でバタバタと暴れる。砂利を蹴る音に混じって「くそっ! くそっ!!!」の怨嗟の声。

 ――子供の声!? なんで子供がこんな夜中に?

 などと答えを探している場合ではない。本能が告げる。『今すぐ、ここを動け!』と。


 ラドは急ぎ立ち上がり地の利がある場所を探す。だが星明りだけでは周囲の様子はほとんど見えない。

 ――落ち着け、落ち着け、どこに動く。

 何度も自分に言い聞かせ、頭をフル回転させて地形を想起、背中を預けられる場所を思い出す。

 ――そうだ。ちょっと戻ったところに崩れた石塀のあったはずだ。あそこなら背中を守れる。


 だが魔法弾は背後から四発もきた。きた道を戻るとより多くの敵に出会うことを意味する。なら戻らない方がいいのではないか。いや四方を囲まれた結果がこれである。ならば危険でも戻るべき。

 ラドはもと来た道を戻る決心し、魔法弾が来た方向に向けて駆け出す。

 しかし砂利道は使わない。この道を正面からたどるのは愚だ。砂利の音は出るし攻撃の軸線に入ることになる。道を降りて脇に広がる畑を走った方がいい。葉擦れの音は出るが、この暗さなら風音に紛れて相手にも分かるまい。


 そっと畑に降りて身を伏せようとするが――。

「待ち伏せ!!!」

 なんと正面から、何者かが飛び掛かってきた!


 馬鹿か僕は! 左右に敵がいたなら当然詰めてくるだろ!

 不意を突かれて後ろに倒れこむラド。相手はそのまま乗りかかって体を押さえようとする。

「このっ! 離せ!」

 イモの葉のマットの上で取っ組み合の格闘を演じる二人は、何度も上下を入れ替えながら相手の後ろを狙う。武器を持たない敵なら後ろとるのが一番いい。さながらアマレスだ。


 この勝負は僅かにラドの方が強かった、いい具合に相手の腕がラドの手にすべりこみ、腕を逆にひねり上げることに成功。曲がらない方向に腕をひねられた敵は「いててて!」と声を上げる。

「子供!? お前は誰だ! なんで狙う!」

「くっ! ああっっっっっ!!!」

「答えろ! さもないと」


 その答えは本人から聞く必要はなかった。

 空に向かって大きな魔法弾が上がり、それは五階程度の高さまで駆け上がったかと思うとパンと弾けて、まるで花火のようのように空に広がっていく。そしてはじけた魔法弾の破片は明るいスパークとなりゆっくり地に落ちてくる。

 その欠片は照らされた相手の顔は、

「ケツ夫!」


 残念ながら交友がないから名前は分からないが、この顔は例の四人衆の一人、最初に絡んできて本に腰掛けてきたヤツだ。ケツネタが好きだから密かにケツ夫と呼んでいた。

「なんでお前が!」

「うるせー!」

 その詰問はここで切られる。なぜなら二人に向かって魔法弾が飛んできたからだ。

 仲間でも構わず狙ってきている!

 魔法弾を見たケツ夫はさすがに戦き「はなせ! はなせ!」と暴れに暴れる。ラドもこのまま当たってはタダではすまないので回避を考えるが、もう避けられる状態ではない。なら――

「やいっっっ」

 ラドは捕まえていたケツ夫を思いっきりぶん回し、魔法弾に向かって投げつけた。

 投げられたケツ夫はよろけながら肩に魔法を被弾する。魔法は業火となり彼の体に一気に燃え広がる。

「うぁぁぁぁぁぁ」

 あわてて服を脱ぐが、慌てるあまりなかなか脱げない。

 轟々と全身から上がる炎が、芋の葉の葉脈まで見えるほど辺りを照らす。

 ケツ夫はそれでもなんとか服を破りすてて、下着一枚になって炎から身を遠ざける。

 火傷を負っていると思うが、なんとか命は取り止めたようだ。


 こいつはイヤな奴だが顔見知りだ、助けるべきなんだろう。本当は。だがそんな余裕はラドにはなかった。もう次の魔法弾が来ているのだ。

 もはや石壁に向かって走るしか選択肢はない。


 あいつら本気だ。自分は狙われている。しかも仲間に当たるかもしれないリスクも計算しないでやってきている。そんなに恨んでたのか。でもなぜ”殺る”まで至ったんだ。

 そんなことを考えながら回避のためにジグザグに走るのだが、相手はラドの行き先を目がけて魔法弾を放ってくる。

「なんで見えるんだよ!」

 小声で愚痴る。


 実はラドの背中には薄ぼんやりと緑に光る手形があった。言うまでもない、ラドを送り出すときにヒュウゴがつけたものだ。

 ヒカリゴケの明かりは非常に暗いが、暗順応した目ならば視界の端にうっすら映る。彼らはそれを追っているのだ。

 だがこんな状態でラドが気づくはずもない。


 格闘の直後で息が苦しくて足を止めると、さっきまで自分がいた場所に数多くの魔法弾が着弾する。動作が数秒遅れても命にかかわる。

「そうだ!」

 ラドは走りながら畑にあったひげ根イモの葉っぱを五、六枚むしり取る。もし魔法を避けきれなくても、こいつに受けさせれば一瞬だけなら、そう思った瞬間、


「直撃!」

 避けられないと悟ったラドは反射的に片手に持っていたイモの葉で顔を覆った。

 これが功を奏した。相手の狙いが正確だったから魔法弾はイモの葉にあたり、葉の上で魔法は効果を発揮し始める。しっとり濡れている葉っぱが白い煙を上げてあっというまに着火する。


「あっぶな……」

 出かかった声を押さえて安堵する。だが手がビリビリと痛い。

 手はやけどをしたが炎は体に燃え移っていない。魔法は触れた物体で一気に力を解放し物体を伝って広がる特性がある。だから対処を知っていれば――強力な魔法でなければだが――初撃を受けることが可能だ。

 他にも魔法を無効化する方法がある。それは魔法による相殺だ。どういう原理か分からないが魔法に魔法を当てると魔法は上書きすることができる。まさにこういう時に使える技だが魔法が使えない事が悔しい。

 打ち消すのもそうだが、発射位置から相手はどこにいるかは分かるのだから魔法が使えれば反撃も容易にできる。それがあいつらにはできて自分にはできない。

 場所を晒すことに躊躇していないのも苛立たしい。しかも腹立たしい事に四人衆はラドが魔法を使えない事を知っていて一方的に攻撃しているのだ。

 

「バカにしやがって! ならやってやる!」

 ラドは身を伏せて魔法の詠唱に入る。相手が魔法を投げつけてくる先に向けて魔法を放ってやるのだ。

「インエルアルトフォルス エンゲルト アンゲルト ルレートジンク ゲッテンカティーロ!!!」

 だが詠唱が終わっても、虚しく虫の鳴く声が広がるばかりで何も起きない。


「うわっっ!」

 逆にこちらに魔法弾が飛んでくる始末。


 くそっ! やっぱりダメか。このままじゃ本当に殺される。それにこの猛攻では石壁にたどり着くのは無理だ。なら伏せたまま息を殺して朝まで身を隠そう。

 そう画策して匍匐前進を一つ、二つした矢先、誰かが横から飛びかかりラドの上にガバっと覆いかぶさってきた。

「うわ!」

 二人は取っ組み合いになる。上になる敵を足で蹴り上げるが敵はそれを横にそらし、逆にラドの顔に拳をぶち込む。それに耐えて逃げ出そうと這いつくばると今度は足を取られてまた転ぶ。その手を反対の足で蹴り上げ、暗闇を蹴った足が敵の腕や顔や当たる。だが敵はそれでも諦めずにラドの足を引き寄せ覆いかぶさる。

 そんな攻防が何度か繰り返され、遂には相手の大きさに負けてラドは完全に動きを封じられてしまった。


 上乗りになった相手は、ラドの両肩を取ってダンと地面に叩きつけた。

 暗闇のせいでよく見えないが、かぶさる相手も怪我をしているのだろう、上からポタポタと熱いモノがラドの顔に落ちてきた。それは自分も同じ、頬に流れる熱い何かは鼻血だ。

「反撃してこいラド! 魔法で!」

 聞き覚えのある声だった。


「エルカド!」

「手は空けてやる、かかってこい! 魔法でかかってこい!」

 確かにエルカドの言う通りだった。上に乗られていても両手は空いている。

「お前がかかってこないと俺は――」

 火の魔法の詠唱がはじまる。


 魔法がくるのか! この距離で!

 体を固くするが詠唱の声はエルカドではなく、その隣のから聞こえた。


「インエルジャル フォルスエンゲルト ハルヤクートレートジンク――」

 長い詠唱だ。大型の魔法が来る。葉っぱなんかじゃ受けられないような。


 生成されつつある魔法は、次第に光を帯び次第に術者の姿を顕にする。そこにいたのは冷い瞳で魔法を詠唱するヒュウゴの姿であった。

「ジンゲルト ルレートジンク――」

 エルカドがラドから飛び降りる。

「先生は本気だ、魔法で当てかえせ! 本当にやられるぞ!」

 そんなこと言われても!


 ヒュウゴは魔法の詠唱を一旦止めてラドに語りかけてきた。

「ラドくんは私のもとにきて光の魔法すら覚えられなかった。私の所からそんな出来損ない出す訳にはいかないんだ。キミなら分かるだろう。私にも生活がある、悪評を広められては困るんだ。だからキミにはここで死んでもらう。幸いキミは身よりのない貧民だ。キミ一人が死んだところで何も影響はない。みな夜盗に襲われたと思うだろう」

「ヒュウゴ先生!」

「ラド! 撃ちかえせ、先生の魔法を撃ちかえせ!!!」

 確かにこの状況ではそれしか方法はない。詠唱している魔法は顕現先で弾ける魔法だ。逃げられないなら魔法で打ち消すしかない。


 ラドは渾身の力を込めて魔法を詠唱し始める。

「インエルジャル フォルスエンゲルト――」


 詠唱の終了はほぼ同時だった。

 

「さようなら」

 ヒュウゴの背筋の凍るような深く冷たい声。


「――イン ゲッテン カティーロ!!!」

 ラドは両手を突き出しヒュウゴに向けて全身全霊を込めて練り上げた魔法を放った!


 眩く光を放つヒュウゴの魔法迫る。それが怖くてラドは目を瞑った。

 はたして魔法が発現したのか――。



 ラドが恐る恐る目を開けた時、そこには表情を固まらせたヒュウゴとエルカドが立っていた。いつの間にか炊かれたライトの魔法が仄かに辺りを照らしている。

 いや違う。ヒュウゴが放った魔法がラドの背後で炸裂して、明かりを供給しているのだ。


 その明かりがゆっくりと消えて行く。


 ヒュウゴは静かにラドに寄り添い、しゃがみこんで両手でラドを抱いた。

「ラドくん、すまない、これが私に出来る最後の事だった」

「最後?」

「極限まで追い込まれたとき魔法が顕現することがよくある。生きたいという想いが力を引き出すんだ。だが――」


 ヒュウゴの魔法が炸裂しているということは、自分の魔法は……。


「わたしにはもうどうすることも出来ない。ガウベルーアに生まれて魔力を持たない子はいない。キミは拾われた子だからもしかしてとは思ったが」

「えっ?」

「何か月たってもラドくんからは魔力の気配を感じなかった。分かるんだよ魔法士にはピリピリくる魔力の気配というものが。それがキミにはない」

「ちょっと待ってください。それって」

「キミには生まれながら魔力がない。だからどれだけ努力しても、どれほど魔法に詳しくなっても永遠に魔法を使えることはない」

「永遠に……」

「ああ、永遠に、決して」


 ラドは自分の目頭が無性に熱くなるのを感じていた。せっかくこの世界に生まれて、あこがれを抱いて努力してきて、その結論がこれなのか。

「だって、僕は……」

「すまない。期待を持たせてしまって」

 全身から力が抜けてヒュウゴの手から力なく倒れ込む。

 地べたに仰向けに横たわるラドの目からぼろぼろと涙がこぼれた。三十路の男がこんな所でぼろ泣きなんてみっともない。みっともないったらありゃしない。でも涙が自然に出てしまうのだ。夢見ていたものが完全に断ち切れた悲しみと、自分だけが欠陥品だった行き場のない怒りと、失ったものが永遠だったやるせなさが。


「うわーーーーーーーーーっ」

 子供のように声だして泣いた。まるでガキのように大声で人目もはばからず泣き散らした。


 その場から一人、一人と人の気配が消えてゆく。四人衆が「欠陥品、クズやろう」と言って去っていく。ヒュウゴも静かに無明に沈んでゆく。


 最後まで残ったエルカドが「それでもお前は凄いヤツだと思う。なんの気休めにもならないが」と言った。


 そして嗚咽を漏らすラドだけが、闇夜を微かに照らす一本のロウソクのようにぽつんと残った。

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