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おすままん雑記  作者: 心漢母人心
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第一回 異世界転生モノがかかえる齟齬の正体 前編

異世界転生モノというジャンルが昨今流行っているがこれに異を唱える人が一定数存在する。それが何故なのか個人的見解をここに書き示す。

おすままん雑記 

第一回 異世界転生ものにおける言語問題 前編


 異世界転生モノというジャンルが昨今流行している。その大まかな内容としては、何の変哲もない一般人である主人公が突然現代社会とは全く異なった世界へ転生することとなり、転生先の社会にて大活躍をするというのものだ。そんな異世界転生モノだが、かねてよりツッコミ満載であると指摘されることが多い。例えば、理由もなく主人公が最強の力を手にするという展開や、複数の異性〔もしくは同性〕が主人公と交際する展開などである。そのなかでも特に指摘されがちなのが現代日本と全くない接点がない異世界において何故日本語が通じるのかということだ。

 確かによく考えてみれば不思議だ。中世ヨーロッパ風の世界にて、現地住民たちが何故日本語を流暢に話せるのか。日本に留学する外国人ですらアクセントに少し違和感を感じるような話し方をする。日本への渡航経験すらなさそうな奇怪な風貌をした現地住民達がなぜ日本語を話すのか。実は異世界と言っておきながら異世界風のテーマパークに迷い込んだだけなのではないかと疑いたくなるような光景だろう。

 この疑問をより突き詰めてみるとこんな感じだろうか。ある異世界作品にて「大丈夫」という言葉が使われていたとしよう。この「大丈夫」という言葉、諸説あるが語源は古代中国の丈夫な男を意味する言葉であるらしい。この言葉が日本に入ってきて長い時間をかけて現在日本で使われるような意味に転じたといことだ。言葉一つ取っても歴史や経緯があるのだ。つまり、「大丈夫」を始めとする日本語を使用するとしいうことは言葉を使用するまでの経緯をも共有していることになる。すなわち、「大丈夫」を使った異世界が暗に古代中国等の現代日本に関する存在を認めたことになるということだ。現代社会から隔絶した社会であるはずなのに現代日本社会とのつながりを示す、これは齟齬だ。恐らくこれが異世界転生モノの言語に対して我々読者が抱く疑問であろう。

 しかしだ。賢明な人は、この齟齬はあらゆる創作において発生する可能性があるということに気付くことだろう。どれだけ創作物を現代社会に似せて作ったとことで創作は創作、所詮は作り物だ。あらゆる創作物は現代社会そのものではない。創作者がどれだけ現実世界に似せて創作したとしてもどこかで必ず現実世界との齟齬が生じる。ここで言う齟齬というのは、例えば漫画のキャラクターの様に目の大きい人は現実にはいないというようなことだ。どれだけCGをリアルにしても現実になり替わることはない。創作は創作なのだ。

 しかしたとえ創作に齟齬があったとしてその齟齬をいちいち指摘するというのが許されるかといえばそうではない。ディズニーランドには着ぐるみが沢山いるぞと声高に叫ぶ人間がいたら興ざめだろう。まさにそれに似た行為が異世界転生モノに対する批評においては多く見られれるのだ。

 では、なぜ異世界転生物は齟齬を指摘されるのだろうか。それは異世界転生物のとある宿命に由来する。異世界転生モノでは転生前の主人公の住む現代日本社会が描写されることが多い。舞台は日本国内であることから当然にごとく日本語が使われる。我々はこの時点では疑問を抱かない。なぜなら現代日本社会において日本語が使われるのは当たり前だからだ。では場面が移り変わり異世界転生後にて日本語が使用された場合はどうだろうか。転生先の多くは中世ヨーロッパのような世界観であることが多い。中世ヨーロッパのような世界観にて話されるべき言語は中世ヨーロッパの言語がもっとも相応しいだろう。しかしそれはなされない。現代日本の描写がきっちり日本語で描写されているのに対し中世ヨーロッパらしき世界では中世ヨーロッパ言語では描かれないという対比がなされる。これによって齟齬が強調されていたのだ。

 上記のような対比により生じる齟齬の根本的な原因はリアルと非リアルを唐突に並べてしまうことだ。異世界転生モノの主人公の多くは転生前の世界にて現代日本人が抱えるような、非常にリアリティのあるストレスに侵され苦しむ。これに対して転生後には非現実的な幸福が理由もなく主人公に訪れる。そしてこの描写の差こそが異世界転生モノが抱える最大の齟齬だ。リアルと非リアルを唐突に並べてしまうことで齟齬は齟齬たらしめられるのだ。

 当然、この齟齬に対し違和感を感じる方もいることだろう。そのようにして違和感を感じた方々が異世界転生モノに対する辛口な意見を述べていらっしゃるのかもしれない。この齟齬を許せるか許せないかが異世界転生モノを楽しめるか楽しめないかの差に大きく直結するのではないかと私は感じる。


 さて、長くなってしまったので今回はここまで。次回はこのような齟齬を発生させねばならなかった理由と創作における言語問題の解決手法について述べていく。この文書についてご意見ご感想があれば気軽に書いてくださると嬉しいのでください。ここまで読んで下さった方ありがとうございました。それではまた。

初投稿なので非常に緊張しましたがなんとか書き終えました。頑張って書きましたので良ければ読んでいってくださいまし。

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