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転生したけど死んだので死神になりました  作者: 1st
<[ヘルセト]>王都死神狩り編
10/18

1ー⑤ 初めてのお泊まり 2nd

(まぁ、そんなお色気は)ないです

 ガチャン、


 扉を開けた瞬間、湯気が中から出てくる。この感じ、懐かしい。世界も身体も違えど、魂が覚えてる。これがサムライジャパンというやつか。

 俺は中に入る。


「ん、やっと来たのか。どうだ?凄いだろ!水魔法と熱魔法をあわせてお湯にするものがあるんだけど、それで作っ、ひゃぁぁ!///」


 急にランスロットの声が女の子みたいになった。いやどうした。


「ちょっ、君、裸!」


 自分をさし、言う


 この人は何を言ってるんだろうか。


「そんなこと言ったって、ランスロットさんだって脱いでるじゃないですか。」


「それはそうだけど…ってそうじゃなくて!、君!女の子だったの?!」


「は…え?いやいや僕は男なんですよ!ちゃんとついて…」


 そこにあるものを持とうと、右手で下半身をまさぐる。しかしその手はひっかかることなく、まっすぐに真ん中らへんから通り過ぎる。本来そこにあるはずのモノが、無かった。


 いやいやいや、そんなことあるわけ、え、は?!


 焦っていた自分だが、自然とどこか冷静さがあった。

 この気持ちを例えるなら女子高生同士でふざけあってて、「ちょっとやめてよー」という女子に「いいじゃんいいじゃんw」とか言った後に「次やったら友達やめるから」とか言われたときの相手のひどく覚めた心境のようなものだ。


 完全に忘れてた。イケメンにはスキル、「ラッキースケベ」があることに。

 なぜこんなおきまりのことを忘れていたのだろう。過ぎてしまったことは仕方ない。ならばせめて最後までおきまりといこうじゃないか。


 手で目を隠しながら、たまに指を動かしてこちらを見るランスロットを見て、深呼吸をする。


 すー、はー、すー、はー、すーーーー!!!


「この変態ーーー!!!」


 大の男二人分の平手がほっぺに直撃する。

 ランスロットよ、許してくれ。これもまた因果の法則なのだ。


 叩かれる方より、叩く方が痛いってのは本当だったんだね…。


 そのときまたもやハデスさんの言葉が思い浮かぶ。


『寿肉化するということは、生無きモノがある者へと変わる。つまり反対の物になるということじゃ、だから希に性別とかも反対になるから注意が必要じゃよ』


 そうだった…、女体化したハデスさんを想像したら気持ち悪過ぎて完全に忘れてた。







それから数時間後…。


 辺りは真っ暗になる。


「で、君は女性だったのかい?」


 左の頬を手でさすりながらランスロットは聞いてきた。


「一応男性なんだけど…。なんやかんやあって女性になってた。」


「なんやかんやって…、というかそれを知ってるならなんで一緒に風呂に入ろうとしたんだい?」


 なんて答えたらいいのだろうか。実は死神で寿肉化するときに女性になってました。なんて言っても信じて貰えないんだろうな。


「…うーん、この世界には魔法もあることだし、元は男性だった。と、言われたらきっとそうなんだろう。」


 ランスロットさんは軽くため息をして、頬をさするのを止めた。


「でも、いつかはちゃんとどういう事か教えてくれよ?」


「…うん。」


 一瞬の静寂。ロウソクの火だけが、時間が進んでいる事を証明する。


「暗くなってしまったな、両親はいないのか?」


 両親、そんな存在もいた気がする。確かどっちかは死んでしまっていた気もする。なんせ前世のことなので記憶があやふやだ。


「いないよ。」


「そうか…、よし今日はもう遅いから泊まっていくといい。ベッドは一つしかないのだが…。」


「別に心は男なんだし、一緒でいいよ。」


 ランスロットさんは動揺する。


「そ、そんなもんなのか?」


「そんなもんだよ。」


 強引に納得させる。

 ランスロットさんについていき、寝室に行く。なんていうか、上から薄い布が垂れてるベッドがあった。このくらいの大きさなら大人1人と子ども1人なら問題ないだろう。


 俺は先にベッドの端に入る。ベッドは柔らかく沈むような感覚だ。


「じゃあ寝るぞ?」


 ロウソクの明かりが消える。完全な闇となる。


「うん。おやすみなさい。」


 俺は目を閉じる。


「そんな言葉もあるのか?」


 横から声が聞こえてくる。


「うん。寝るときにいう言葉かな。」


「そうなのか…。おやすみ、なさい。」


 ランスロットさんが入った反動でベッドがさらに沈む。


 初めて長時間寿肉したからだろうか。物凄くまぶたが重い。これが睡眠『欲』というものなのか。


 目を閉じる。数秒としないうちに。顔が上下に揺れる錯覚に(おちい)る。よくわからない星のような光を放ってるものが集合し、まるで宇宙空間にでもいるような感覚になる。


 俺は完全に肉体をベッドに委ねた。

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