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テンプレをぶち壊す少女

テンプレをぶち壊す少女〜悪役令嬢逆転物編〜

作者: アンチ悪役令嬢委員会委員長

と言うわけで始まります。

私は……と言うかお姉ちゃんは俗に言うテンプレが嫌いだ。何故かは知らないけど(興味ないし)テンプレがでる作品を読んでると毎度私に愚痴ってくる。


例えば悪役令嬢逆転物だと……

「自分が死にたくないからって別の男に浮気するなんて最低よ! 大体、乙女ゲームの悪役令嬢は高位の貴族なんだから虐めで処刑台とかあるか! 良くて修道院、悪くても国外追放が妥当よ! 死亡なんてそれこそ戦闘があるRPG要素のあるものしかないんだから死亡フラグなんかあってたまるか! それに転生ヒロインがバカっぽく書かれてるけど……(以下略)」

てな感じに延々と(昨日なんて5、6時間も続いた)愚痴を言うので自然と私もテンプレに対して少し怒りを抱いている。


……唐突だが君は平行世界を知っているだろうか?

平行世界とは読んで字のごとく所謂IFの世界だ。分かりやすく言うと私が右に歩いた世界と左に歩いた世界に分かれている……って感じかな?

何故いきなりこんな話をしたかと言うと私は幼い頃から平行世界の自分と話す事ができる(ただし話すのは口からじゃなくて頭の中……所謂テレパシーのようなものだ)。

更に私と平行世界の私達は望んだタイミングで入れ替わる事が出来るんだ(ただし制限時間があり精々3、4時間くらいしか入れ替われない)。そんでもって平行世界の中には所謂テンプレな世界もあるわけで……


…………


「(小百合、聴こえるか?)」

私『小鳥遊小百合』が学校でのんびりとしていると『乙女ゲーム』な世界観で王子の護衛をしている騎士の私『リリィ・アスコット』が話しかけてきた。


「(リリィ、どうかしたの?)」

「(ああ、とうとう殿下が婚約者であるアイナ様に婚約破棄を宣言しようとしている。このままじゃ殿下が破滅しかねんから証拠集めをしていたお前に変わりたいんだ)」

「(あ~……とうとう暴発したんだあの王子様。昔からヒロインに一途だったものね)」

「(……お前の言ってることはわからんが殿下がフレイアに一途なのは同意する。と、言うわけで殿下とフレイアの事を宜しく頼む)」

「(OK、リリィも学校宜しく)」

「(うむ。完璧に代わりを努めよう)」

そう言って私は机に突っ伏すと意識はそこで一旦途絶えた。


…………


私が目を覚ますと涙目になった黒髪の女の子が目の前にいた。


「リリィ! 良かった、目を覚ましたのね!」

「ああ、すまない。フレイア、また心配をかけたな」

リリィ……入れ替わるなら少しでも目だたない方法にしようって話し合いで決めたじゃん。いや、まあ状況を考えればナイスアシストなんだけど……

私は内心で溜め息をつきながら黒髪の女の子……リリィの住む世界のヒロインでありリリィの親友でもある『フレイア・リオン』に話しかける。


「フレイア、私はどれくらいの間気絶していたんだ?」

「10分くらいよ、その間アイナ様の義弟の嫌みがひどかったんだから!」

あ~まあ、何度も倒れるならそりゃ嫌みの1つや2つ言われるか。


「あ!? そう言えばリリィ! 大変なの! 『ラケル』様がアイナ様に婚約破棄を申し出たの!」

「なんだと!? それでどうなっている!?」

「リリィが倒れたことでなんとかうやむやになってるけどこのままじゃラケル様が大変な事になる気がするの! リリィ! 私どうすれば良いの!?」

「大丈夫だ、フレイア。私の部屋に殿下を救う切り札がある! それを取ってくるからお前は殿下の側に!」

「う、うん!」

フレイアと私は保健室を飛び出すと私はリリィとフレイアの部屋にフレイアは婚約破棄が行われている大広間に向かっていった。


…………


「結構時間かかったけどなんとか持ってこれた!」

私は両手一杯に持った切り札を落とさないようにしながら大広間に向けて突っ走っていた。


「もういいでしょう。陛下! 平民にうつつをぬかし王族としての義務を忘れた殿下を……」

「その言葉、そっくりそのまま熨斗を着けて返してやる!」

私はアホな事をぬかしている宰相の息子の言葉を遮りながら扉を蹴り開ける。


「リリィ!」

「リリィ!? もう大丈夫なのか!?」

私の登場にフレイアは喜び、リリィの主であるラケル王子が驚く。


「ふん、誰かと思えば殿下の護衛か。主が失脚する姿でも見に来たのか?」

「ふ……殿下が失脚だと? 違うな、失脚するのは……お前達だ!」

私は的外れな事を言う騎士団長の息子に容赦なく真実を言う。さあ、ショータイムと行こうか!


「な、何を馬鹿な事を! ラケル王子は平民にうつつをぬかし本来の婚約者である義姉さんを蔑ろにした! これは不義密通と言えるだろ!?」

「それは婚約者としての役目をきちんと果たしていた場合だろう? アイナ様は殿下に対して婚約者らしい事をしたか? むしろ逆だ! 殿下がアイナ様に送ったプレゼントはすべてメイドに新品のままさげられていたらしいからな、それに殿下が会いに行っても予定があるだの仮病だので会うのを断られてたのも忘れてないぞ! どうやら平民に優しい公爵令嬢は王族には優しくないらしいな?」

私が皮肉混じりに言った言葉に悪役令嬢……に転生した女がここで口を挟んでくる。


「た、確かに少しばかり殿下に冷たくしましたわ! だからといって殿下が婚約破棄をすることにはなりませんわ!」

「確かにそうだな……しかし、そちらは不義密通と言ったがお前は何故『婚約者がいる』人間と仲良くしている?」

私の一言に悪役令嬢の取り巻き達の表情が凍り付き悪役令嬢は首を傾げる。

そして私は切り札を周りに突き付けた。


「諸君、これは平民に優しい公爵令嬢とその取り巻き達の不義密通の証拠だ。これを見てどちらが不義密通を行ったのかをはっきりさせてくれ!」

そこには宰相の息子が悪役令嬢に抱き締められている写真、義弟が悪役令嬢の部屋で楽しそうに話している写真、騎士団長の息子が悪役令嬢と楽しく茶会をしている写真……その他諸々の悪役令嬢とその取り巻き達が写った写真が大量に握られていた。


「……? それがどうかしたんですの?」

「「「この馬鹿息子どもが!」」」

悪役令嬢が首を傾げているともの凄く怒った取り巻き達の父親が取り巻き達を何処かに連れていった。


「え? え? え?」

「……気付いていないので言っておくががお前の取り巻き達にも婚約者がいる。最も、今見せた写真のお陰で怒り心頭の婚約者の両親達に婚約を破棄させられそうなんだがな」

まるで貴族についてわかっていない悪役令嬢に私は内心溜め息をつきながら説明する。


「先程お前の義弟が殿下とフレイアの関係を不義密通と言ったが……それはお前にも言えることだぞ?」

「な、何故ですの!?」

「当たり前だ、婚約者がいながらその婚約者ではない令嬢の部屋で楽しそうに話す、抱き締められている、楽しそうに茶を飲む……それを殿下以外としたお前も不義密通と思われてもおかしくないんじゃないか?」

「何を馬鹿な事を! 私は彼らと何一つやましいこともしていませんわ!」

うん、何一つやましいことをしていなくてもアウトなの。


「そして殿下の不義密通に関しては私が常に側にいた。人目があったのだからフレイアと会っていた事は不義密通とならん」

「へ、屁理屈ですわ! 人目があるからといって不義密通ではないなどと……」

「ああ、それから、取り巻き達と仲が良いのは結構だが殿下との婚約が決まった後も仲が良いのは最悪だったな」

「え……?」

……私は貴族についてまるでわかってない馬鹿に止めを刺すべく言葉を紡ぐ。


「確かに殿下とフレイアは幼い頃は親しかったさ、しかし殿下はお前との婚約が決まった後はフレイアとは会うことは一切なかった。なのにお前は婚約しているにも関わらず取り巻き達と交流を続けた。……これは殿下に、ひいては王家に対する明確な裏切り行為ではないか?」

「……あ、ああ、あ」

私は茫然としている馬鹿を放っておくと王様に臣下の礼をとりながら言う。


「陛下、ご決断を。これでもまだ殿下を廃嫡にすると?」

「……アイナ・ハミルトン公爵令嬢と我が息子ラケルの婚約破棄を認める。

またフレイア・リオンは何処かの貴族の養子にした後にラケルの婚約者とする」

「え、は、はい! あ、ありがとうございます!」

「フレイア! ありがとうございますなんて失礼な事を……」

フレイアは混乱しながら王様にありがとうございますと言ってしまいラケル殿下が慌てるけど王様は「今は良い」と言って許してくれた。


「この馬鹿娘が! 殿下のご機嫌を損ねたばかりか平民に婚約者の立場を奪われよって! 貴様はもう我が家の娘ではない! 何処へでも消え失せるが良い! 衛兵! そこの女をこの学園から叩き出せ!」

「そ、そんな!? お父様!」

「黙れ! 貴様はもう私の娘では無いわ!」

そう言って馬鹿の親は衛兵に自分の元娘を外に叩き出させた。


その際「これは夢よ……夢に違いないわ。次に目が覚めた時は皆と楽しくお茶をしてて、ヒロインと馬鹿王子を断罪ざまぁしてて……」なんて言ってたけど……残念、夢じゃないのよ。


……ざまぁみなさい馬鹿女。

世界は自分を中心に回ってると思った? 断罪されても王様が庇ってくれると思った? 所がギッチョン、これは現実なの。あんたが

知っているゲームの世界じゃないのよ。フレイアも殿下もリリィも生きているのプログラムじゃないのよ。


そう思いながら私の意識は途絶えた。


…………


「(……そうか。やはりアイナ様は婚約を破棄されたか)」

「(うん。最初から婚約者を裏切ってたんだから当然よ、当然)」

私は入れ替わる際のねぐらにしている体育倉庫の中でリリィに事の顛末を話していた。


「(確かにそうなんだが……まあ、良い。因みに私は……)」

「小鳥遊さん! 捜しましたよ! さあ、戻って練習を続けましょう!」

……あり?


「(り、リリィ……もしかして……?)」

「(うむ、部活途中に抜け出してきた。因みにもうすぐ大会だからスパルタで行くらしいぞ)」

え、ええ~~……?


「(確か今月は『鈴』の設立した女子合気道部と『ファム』の女子レスリング部にリリィの剣道部に私自身の弓道部の大会……あれ? 私、過労で倒れるんじゃない?)」

「(……大会の時は交代するぞ)」

わかってるよと返事をすると私は溜め息を吐きながら剣道場に向かって歩きだした。


これはテンプレ嫌いな少女が色んな平行世界で起きるテンプレな展開をぶち壊すお話。

てな訳でむしゃくしゃして書きました。

反省はしていません。

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