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1話
「知ってるかー?今度ウチに来る見習い、成績オールAだって」
本棚に並べられた、ファイリングされた資料を指で追いながら、神谷は言った。
隣には椅子に座って机に向かう東堂の姿。
東堂は神谷の質問には顔を上げずに、広げられた書類に何やら書き込みをしている。
彼が仏頂面なのはいつものことなので、神谷は気にしない。
「ああ…その見習いならオレの担当だ」
視線は書類に向けられたまま、書く手も止めずに言う。
「ええ〜⁉︎聞いてないぞ、ソレ」
基本的に、死神見習いの担当がどの教官がになるのかは、当事者にだけ知らされる。
「まぁ…そうだろうとは思ってたけどなー。ウチじゃホープを任されるのはだいたいお前だもんなー」
視線は相変わらずそのままに、作業がパソコンへと移ったようで、カタカタとキーを打つ音がする。
「別に…アカデミーでどんなに優秀だろうと実施でコケるやつはいるからな…」
「冷めてますこと。…本当は、少し楽しみだろう。教えがいのある見習いが来るんで」
神谷の言葉に、東堂は何も言わずに笑っただけだった。