行くも行かざるも同じ。ならば歩け。
夕方に
後部座席から眺めるこの世は
寂しさと
虚しさと
明日への渇望
そんな奴等と戦っている様に見えた
前に座っている運転手は
かつて人を殺めた
だから自分も死ぬという
助手席に座っている老婆は
死人のような青い顔で
遠く離れた孫を思い
これから会いに行くという
僕の隣に座った幽霊は
これから愛する人の所へ行くという
僕はどうしよう
何をしよう
何処へ行こう
どちらまで、と
運転手は聞く
では、このままでいよう
そう答える前に
太陽が沈み
車は落ちた
何処でもない
確かな場所へ