第7戦:“裏”に支配されるな
「……ハァ……ハァ…」
練は冷たい壁に左手を付け、しばしの休憩を取る。
「っ!……早く帰らないと」
練は痛みで顔を歪めた。右腕と足、左足の傷がヒリヒリと痛む。
逃げ出して来たはいいが、傷のせいか、それとも零の言霊の副効果か、帰る途中で霧が完璧に晴れてしまい、歩いて行かなくてはいけなくなった。なるべく人があまり通らない路地裏を今、歩いている。
「ハッ。無様だな」
その声に練が顔を上げるとそこには彼よりも少し年下そうな青年がいた。
銀色のセミロングに緑色の瞳。服は制服姿で上を脱いでYシャツ姿になっている。
練は彼が誰かに似ている気がした。
「……誰?僕これでも急いでんだけど?」
練が問うが青年は何も答えない。練は不思議に思ったが彼を通り過ぎようと痛む左足を引きづりながら歩き出した。
ここまでくれば、あと数分だ。と練が思いながら青年の横を通り過ぎようとした、その時、
「バカだよなぁ」
ーダン!ー
「っ!」
突然、青年に右肩を掴まれ、壁に叩きつけられた。ヒリヒリと傷とは違う痛みが背中と右肩に広がる。
練は青年を睨み付けた。青年は練を緑色の瞳で見つめる。
「俺達は“裏”であり、あいつらの人格体として造られた。お前らは“そんなこと”さえ知らないだろう?」
よくわからない。練は青年の手から逃れようと体を捻る。
「何の話だ?」
青年は練の答えに不満そうにすると彼の左耳に顔を近づけ、あることを囁いた。
「**********」
「!?」
その内容に練は驚く。青年は手の力を緩めた。その隙に練は脱出し、青年を再び睨み付けた。
「アハハッ。本当に哀れだな、“七つの大罪”よ」
口元を歪めて嗤いながら、青年は路地裏の闇に消えていった。
練は、一応警戒しつつ、そこから立ち去った。
走りながら練は思い出した。あの青年に似ている誰かを。それは……
「………サツキ?……」
大罪人の一人、サツキだった。
でも、自分の思い違いかもしれないと練は頭を振って疑問を頭の中から追い出す。
そして、皆に伝えなければいけない情報を頭の中で確認し始めた。
題名で書いている通り、“裏”です。何の“裏”かは…まだ、秘密です?