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Game of crimes  作者: Riviy
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第5戦:光は届かず、『神』さえも来なくなった世界


「どういうことなのじゃ」


暗い暗い、一筋の光さえ侵入することはない何処かの場所に一人に少女の声が響いた。


「落ち着いてよぉーお金数え間違えちゃうじゃん」


チャリンチャリンとお金を数えているのだろうか。中性的な声が「1枚、2枚…」とお金を数える声が聞こえる。


「お金好きだな、お前。」


そう呆れる男性の声がした。その次に誰かの舌打ちも聞こえた。


「あ"ーあ"ー話すか金数えるかどっちかにしろよな」


舌打ちをした青年の声はお金を数える声に苛立っているようだ。


「なんですって!?私の仕事に口出さないでよね!このヘタレ!」

「んだと?!」


ガタタッと2つの椅子が悲鳴を上げる。

どうやら、ここにはよく見えないがとても長いテーブルがあり、それを囲むように座っているようだ。


「……2人共…やめてよ…」


ゆったりと、少し怠そうな優しい声が2人をたしなめた。


「そうだヨ〜こうハーノも言ってることだし、今回はこれくらいにしとこうヨ。ネ?」

「そうじゃぞ!妾が直々に質問してやっとるというのに貴様ら2人はなんじゃ!」


少年の声が再び2人を仲裁し、最初の少女の声が「まだなのかぁああ!!」と質問に答えてくれないのではだだを捏ね始めた。


「レイーナ、落ち着いて」


そこに天の救い(だだを捏ね始めた少女を抜かす)とも言うべき別の少年の声が響いた。レイーナ、と呼ばれた少女の声は嬉しいのか「オト!来たんだね!待ってたよ!」と少年の名前らしき名を叫びながら彼に抱きついたようだった。ギィーと椅子がまた悲鳴を上げた。


「……皆揃ったみたいだし…始めようか……ね、マーシャ、ユウ…座って…?」

「ホラ〜年長様の言うことは聞かないとネ〜?」


喧嘩をしていた2つの声、マーシャとユウと呼ばれた2人は渋々、席に戻ったようだ。


「そこのいちゃつくリア充も席戻れ」


男性の声が今だ楽しそうに抱きしめあっていたレイーナとオト(皆から見ればリア充)に声をかけた。


「あ、それは失礼しました皆様。レイーナ」

「はーい」


そんな会話を経て、2人が席に着く。


「……じゃあもう一度、レイーナに質問して……貰おうか…」

「うむ!妾が直々に質問してやったのは『なんでまだあやつらが“覚醒”しないのか』ということと『“七つの大罪”の暴走』じゃ」


それに男性の声が答えた。


「“覚醒”の事については次回日を改めよう。しかし、問題は…」

「『“七つの大罪”の暴走』、でしょリンハレィ?」


マーシャがリンハレィと呼ばれた声に言うと彼は頷いたように「嗚呼」と言った。


「それでは『“七つの大罪”の暴走』について今日はお話するんですね」


一度話をまとめるオト。

ハーノと呼ばれた声が口を開いた。


「不思議だね……“暴走”なんて、起きた……ことなかったのに…」

「過去一度もな」


彼の言葉に付け足すユウ。うーんと悩みながらレイーナが言った。


「やはり『神』の仕業かのぉ?」

「ありえる話だネそれも。でも、おかしくナァイ?」


残った少年の声が可笑しそうに笑って言う。


「?おかしいってどういう事?アイト」


マーシャの問いにアイトと呼ばれた声はクスリと口元を歪めた。


「だって、おかしいじゃん?“暴走”しているのは“七つの大罪”。でもサ、『僕ら』は?“暴走”なんてしてないヨ?」


ザワッと皆が驚き出す。

そうだ。なぜ彼に言われるまで気づかなかったのか。“暴走”しているのは“七つの大罪”のみだ。


「残りの2つは“暴走”していない…ということですね」


オトの答えにアイトは「そうそう〜」と笑った。


「だってあの子はまだ『彼』の元にいるんだからネ。それにもう一つ」


もう一つ? と皆が首を傾げる。アイトは口元を歪めて言った。


「僕が手に入れた情報だと『神』が3人降りて来ちゃったらしいヨ」

「「「「「「?!」」」」」


皆に動揺が走る。

なぜ3人も『神』が降りて来た?何が目的で?


ーパンパンッ!ー


ハーノが手を叩き、皆を沈めた。


「……落ち着いて…それじゃあ…リンハレィ…さっきまでの話をまとめて…」

「嗚呼。“七つの大罪”が“暴走”しているが残りの2つは“暴走”していない。ここまでいいか?」


ハーノの指示でリンハレィが話をまとめ、質問がないか皆に聞いた。


「稀にしか出来ないあいつらは“暴走”してんのか?」


ユウの素朴な疑問にオトが答えた。


「していないはずです。『彼女』からの情報ですから」


それにユウは少し苛立った感じに言った。


「『彼女』って、あいつか」

「そうじゃぞ!」


レイーナが文句あんのかという感じに言うとユウはわかったと瞳を一度閉じて応じた。


「…皆、今日の話し合いで……やるべきことは……わかった?」


ハーノが皆に問う。そして皆を見回す。暗い中、皆の顔は見えないが皆、使命に燃えていることがわかった。


「まっかせてよね!」

「上等だ」

「妾に出来ぬことはない」

「やってやろう」

「お任せください」

「頑張るヨー!」


皆のやる気を聞き、ハーノはクスリと笑う。

ギィ!と皆が一斉に立ち上がり、ある一点を見る。


ここは光が届かず、闇だけが視界を支配する、『神』さえも来なくなった世界。限られた者達しか足を踏み入れることが出来ない。

そして、彼らに許された者達のみここに入ることが出来る。

闇しかないこの、忌まわしき世界を『神』はこう称した。


「さぁ、わかってるでしょう?」


救われない魂が彷徨う世界、「冥界」と。

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