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Game of crimes  作者: Riviy
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第4戦:平和な時は平和に

「マジでやべぇってぇぇえ…この課題できてないとあの先生にマジで殺られる」


殺られる=怒られる(すっごく)。

盛大なため息を尽きながら勇馬は持っているプリントを握りしめた。

今、彼は登校中でちゃんと学ラン姿でもある。なのでさっきのため息は大勢の生徒や先生に聞かれているが今の勇馬にはそれどころではないのだ。


「ユウちゃんどぉーしたのっ?」


ピョンッとウサギのような効果音が聞こえて来そうな感じで彼の手元を後ろからジャンプして見る後輩がいた。


「ミク、お前2年の数学分かるわけねぇd「あ!わかった!問1はx=3だ!」マジかよ?!」


未来の言葉に勇馬はプリントの問1を凝視した。


「……あってる…なんなんだよお前!」

「え?だってこれこの前レーちゃんが解いてた奴だもん」

「あの女王かチートじゃねぇか!!」


勇馬が頭をかきながら叫ぶ。未来は自分の横で大騒ぎしている勇馬を見てクスクスと楽しそうに笑った。


勇馬と未来は先輩後輩の関係。勇馬は敬語が嫌いらしく後輩にも先輩にも敬語使用禁止命令という名の笑顔を振りまいている。


勇馬は“女王”というあだ名を持つ友達を持つ未来を見た。見たといっても勇馬の方が断然、背が高いので未来を見下ろす形になっているが。


「後でなんか奢るから教えてくれ」


後輩に勉強教わるってどうよ?! というその光景を見た生徒はそう心の中で思ったに違いない。

それはそうとそれを聞いた未来はパァァと笑顔になった。


「ホント?!んじゃオレンジジュース!」

「わかったわかった。んじゃ行くか」

「あ、待ってユウちゃん!」


さっさと課題を終わらせたい勇馬が歩くスピードを上げる。とそれを未来が慌てて追いかけた。


「……仲良いねぇ…」

「兄妹に見えるオレは末期か?」

「いや、あれは誰でもそう見えてもムリはないで」


そんな2人を春、零、鈴都が微笑ましそうに見ていた。もう、勇馬と未来が兄妹に見える。………兄妹じゃないですよ。


「今日体育あるんやった」

「リンの方って今バスケだろ?大得意じゃん。なぁハル」

「……ボクに振らないでよ……うんまぁリンは、バスケ大得意…だもんね」

「そんなわけあらへんやろー大得意大得意って連呼すんなや。こっちが恥ずかしいわ」

「「リンの照れ顔ってあんま見ない」」

「ハモって見るなー!!」


そんな仲の良い会話をする3人を周りの生徒がこちらも微笑ましく身守っている。なんか中には「王子の照れ顔…!」「王女、可愛い!」「眠そうなだな、王子」なんて声が聞こえる。

春、零、鈴都は高等部、いや学園内でも有名なイケメン(容姿&性格)達である。多分、この学園内で彼らを超えるイケメンはいないのではないか。いや、絶対にいない!

それに彼らは高等部の学園きっての凄まじい行動力で「こいつら3人、“王族の末裔”って呼ぼうぜ!」というある意味アイドルグループのような名前すら付けられている仲良しグループである。それを3人は気にするどころかある意味楽しんでいるのだ。次、どんなの来るかなーと。


「楽しそうに何話してんのー!」


と勇馬や未来、そしてこの3人の妹分で制服姿のマヤが鈴都に後ろから抱きついた。その途端に黄色い悲鳴が上がった。簡単に言おう。「かわいいいいい!!」という女子の悲鳴だけだ。

一応いっておこう。6人とも知り合いである。


「マヤ、危ないで。人が歩いてんやから」

「えーでも大丈夫でしょー?」

「そうだそうだ!」

「………(( _ _ ))..zzzZZ」

「立って寝るなハル!」


立って寝出した春を起こす零、鈴都に抱きついたまま動き出すマヤ。

そんな再び微笑ましい光景を見て、周りの生徒(中にはちゃっかり紛れ込んだらしき先生)は心の中でガッツポーズした。「これで今日も生きれる!」と。


申し上げよう。春も零も鈴都も未来も勇馬もマヤも…まだ何人かいるが彼らは有ることがきっかけで学園中から愛されることとなった人気者です。そんなに人気者たくさんいていいのかって話だけどね。

まぁその話は別の機会にとって置きましょう。





七星野学園高等部1年A組。このクラスにはあの仲良しグループで鈴都だけが在席している。


「地灰ー次、移動ー」

「おん。待ってや」


鈴都はクラスの友達に急かされる中、机の中ら教科書類と筆記用具を出し、脇に抱えて立ち上がる。


「ほな、行きましょか」


クラスの友達数人と共に教室を出ようとした時、だった。


「ちょぉぉおおっと失礼!」


という大きくて明るい女子の声がした。振り返って見てみると廊下にはYシャツ姿の男子に話しかけている女子がいた。


「元気がええ女子やなぁ」

「鈴くん早く行くよー」


鈴都は先に行ってしまったクラスの友達を追いかけて再び歩き出した。


そんな彼の後ろ姿をさっきの2人が見ていた。一人は先ほどもいったが男子で壁に背を預けて立っていて両腕を組んでいる。その目の前には彼よりも背の低い、大きく明るい声の持ち主の女子がいた。


「……分かってるよね?」

「嗚呼」


女子はクスリと笑って、もう一言その男子に言った。


「これを知ってるのはウチらと“裏”の君達、そしてあの子だけなんだから」

「嗚呼、充分承知してる」

「そう。ならいいの。」


くるっと女子は踵を返して歩き出す。


「用心しとけよ」


男子が女子に言う。と彼女はパタ…と立ち止まり、彼を振り返って言った。


「ウチらに“用心”なんて言葉はいらない」


そして再び歩き始める。

ちょうど、チャイムが鳴り出した。


「………ハッ、バカバカしい」


そう言って男子は女子と反対側の廊下を歩いて行った。

誰ですかねーリンが見た2人は…

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