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Game of crimes  作者: Riviy
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第13戦:切り裂け、その鎖をⅡ


「おや、それは良かったですね」


唄はマヤの言葉に嬉しそうに笑った。

敵なのに、今は敵なのに。


唄に褒められたマヤも嬉しそうに笑う。


「私ね、ウタが敵になっちゃってとっても悲しかったの。でもね」


マヤは両手でズボンを握りしめる。マヤの笑顔がゆっくり、ゆっくりと次第に“壊れ”始める。


「……でもね、私は思ったの。これは全部、ぜぇーんぶ、私のためなんだよね?」


マヤの問いに唄は、両手の指と指の間にシルバーナイフを挟め、言う。


「何故あなたはそう思うのですか?わたくしは一言も“あなたのため”だなんて……言っていませんよ。敵同士になってから“一度”も」


クスリと嗤う唄。その答えにマヤは“壊れ”そうになる笑顔を必死に作って言う。


「そ、そっかぁ。でも本当はどうなのかな?前、ツキがね、『アタシ達はアタシ達の意志でアンタ達を殺しに来てるの』って言ってたんだ。そのあと私が本当かって聞いたら、『“ええ、そうよ”』って言ったの」


それに唄が「それがどうかしたんですか?」と首を傾げる。もちろん、この2人の様子を伺っている鈴都と哀も「それがどうした」状態である。

マヤは何が言いたいのだ?


「………ハハッ…なぁ〜んだ、ウタじゃないんだ。まぁ良かったのカナ?」


マヤは握りしめていたズボンから手を外し、その右手に大罪武器を出し、持つ。


「まぁいいや。ウタに言いたかったのはこのことじゃないの」

「!」


言いたかった事はコレじゃない?じゃあ、なんなのだ。さっきまでの会話は単なる茶番か。


「じゃあなんなのですか?あなたが……マヤがわたくしに言いたい事とは?」


唄が問う。警戒しつつも、だ。


「それはね……」


と、マヤは俯いた。


「鎖を切り裂いた、という事だよ、ウタ」


顔を上げたマヤの笑顔は完全に“壊れ”ていた。

今まで見ていたマヤの笑顔が突然消え、唄に鈴都、哀は驚いた。彼はこんなに簡単に笑顔を“壊せる”ような子だっただろうか。記憶が正しければ違う。マヤはいつも笑顔を“作る”側だった。


「………意味がわかりません。さっきの“あなたのため”という話もツキの話も何の関係があるんですか?その言いたかったことに」


唄が困惑気味に言う。


「マヤ、我達もよぉわからん」

「どういうコト〜?」


マヤの後ろから鈴都と哀が言う。彼は2人を顔だけで振り返ると口パクで何かを言った。それを読み取った2人はハッと驚いた。

なるほど…マヤが、強欲マモン大罪人パートナーが言いたい事はそういうことか。


マヤは唄に向き直り、“壊れ”てしまった笑顔をもう一度作る。その笑顔はぎこちない。マヤらしくない笑顔だと唄は思った。


「まだわかんないの?もう、ヒントはたくさん詰め込んだのになぁ」


それに唄はわからないと首を降る。


「じゃあ第一の答え。あなたのためっていうのは私達、大罪人パートナー全員を指すの。つまり、君たちは忘れてるだけで本当は『大罪人パートナーのためにやってる』の」

「………ハッ。馬鹿馬鹿しい。そんな訳ないでs「この答えを聞いても?」……」


唄のセリフを遮り、マヤが言う。


「あのツキの答えは確かに『用意されたセリフだった』」

「!!」


そう、あの時、一番近くにいたマヤは気づいたのだ。月の言葉が自らの意志ではなく、『誰かによって用意されたセリフ』だと。何処かで聞いたきとのある、凛とした響きだった。あれは月だからという訳ではない。あれは零の能力である“言霊”の響きだ。傲慢ルシファーの罪が簡単に使える訳がない。


「あり得ません。ツキさんはいつもその場その場の言葉をおっしゃいます。用意なんて……無理に決まっているでしょう?」


唄が驚きながらも冷静に言う。

そんなはずはない。自分達が忘れているだけで大罪人パートナー達のためにやってるなんて。月の言葉が用意されていたなんて。………嘘だ。


「かの有名な『神』様やったら気づかれずに出来るんやない?」


鈴都が言う。

確かに『神』ならば誰にも気づかれずに出来ることは簡単だ。だが、それは一つの可能性。


「……我が『神』を侮辱するのですか」

「いいや、そういう訳ちゃうねん。ただ、可能性や」


睨みつけられた鈴都は笑ってそれを受け流した。

そう、これは可能性。誰も『神』が、“七つの大罪”を愛した『神の双子』が犯人だなんて言っていない。


「第二の答え……がその『神』様のことだったんだけど。君たちは、まだ隠してるでしょ?」


マヤの問いに唄は答えない。と突然、バッとマヤに向かって走りこむと右のシルバーナイフを振りかざした。それをマヤは斧で防ぐ。身長的にも唄の方が有利だ。


「何も隠していませんよ。それよりもあなた達が殺すのにふさわしいということがとてもよく、分かりました」


唄がニッコリと嗤う。

マヤはただ可能性を言っただけだ。『罪達が大罪人パートナー達のためにやってることを忘れているのは『神』のせい』という、仮定を言っただけ。なのに彼は何を勘違いしたのだろうか。『神の双子』が侮辱されていると思ったのだろうか。


「マヤ!」

「!」


ブンッと哀が薙刀を振って唄を追い払う。唄は後方に下がって、言う。


わたくしはあなた達のその仮定を消して差し上げましょう。我が『神』を侮辱するのは万事にあたいしますしね……塵も残らないと思いなさい!」


唄が戦闘態勢に入るとマヤと哀も大罪武器を構えた。


「我が援護する。2人は思いっきり行きぃ!」


鈴都が魔導書を開き、言う。

そして、唄がこちらに向かって来た。それにマヤと哀が反応し、こちらも相手へ向かった。


戦闘の火花は切って落とされた。

はてさて、どうなることやら。そろそろキャラクターの説明、一回出します。

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