第11戦:悩める秘境
ーーーーずっと、皆の荷物になりそうで怖かった。
だって、皆と違って能力が覚醒していないから。それに“第一の覚醒”も今だに出来ていない。
「「いつも、皆の後ろを見ていた」」
きっと、追いつけない。皆、すごく遠くへ行ってしまう。
「怖かった」
「辛かった」
離れていく仲間達。置いて行かれる自分。
なんで自分はこうなんだろう。なんで自分は弱いんだろう。
嗚呼、罪があるのなら、大罪人ならば、この痛み、どうにかしてほしい。
『大丈夫』
『一人じゃない』
頭に響く聞いたことのある懐かしい声。誰の声かは思い出せない……。
『覚醒はお前の“光”次第』
『君の自覚次第』
頭に響く声が優しく自分を励ます。
嗚呼、そうか。思い出した思い出した。この声は………。
「「アッハハハハハ!!」」
突然、響き渡る笑い声。
「なんで“今の自分”にそんなこと言うの?」
「もっと地獄にはまってしまうのに」
クスクスと笑う2つの声。それに頭に響く声はこう答えた。
『自分のためじゃない。未来のためだ』
『もう、あんな思いはしたくないから』
嗚呼、なんて心優しいんだろうか。
笑っていた2つの声は笑うのをやめ、言う。
「それが選んだ道なら、とやかく言うつもりはない」
「けどね、これだけは覚えておいて」
少しの静寂の後、2つの声は言った。
「「過去はやり直せない。過去の自分は消えない。そして、過去に犯した罪はなおさら消えない」」
「「もう一つ」」と2つの声は続ける。
「「過去はやり直せないけど、未来は何も描かれていない真っ白なキャンパス」」
「自分の思い通りに筆で絵を描き」
「ペンで言葉を描ける」
「「だから、未来は思いっきり描いて」」
それに自分は大きく頷く。
『さすがだな』
『ホント。過去については対立しちゃうのに未来については一致する』
頭に響く声に2つの声の1つが嬉しそうに笑う。とそれを最後に2つの声は聞こえなくなった。
『さぁ、どうする?』
『君達が決める未来だよ』
そうだ。自分で……自分で決めるんだ。
「自分で…」
「道を…」
胸に秘めた悩みの種。それはやがて、大きな大きな、希望の道標になる。
『もう決めたか?』
『自分の道を!』
自分は微笑んで、言い放つ。決めた道を!
「「自分はーーー!!」」
その答えに頭に響く声は嬉しそうに笑い、聞こえなくなった。
体の奥から湧き上がるこの何か。これはきっと…そう、きっと!
意識が目覚める直前、誰かの声が聞こえた。
ーTo be continued?ー
という、男性の声が。